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⑥ACTトレーニング_行動へのコミットメント
●価値に沿った望む行動を増やしていくステップ 【その1】 自分の中にあるいくつかの“価値”から、今最も取り組みたいと思うものを選び、誓い(コミットメント)を立てましょう。 【その2】 “価値”の方向に向かって行動する際に、通過点として、ゴールを設定しましょう。ゴールとは実際に手に入る具体性のある出来事です。 【その3】 ゴールを達成するための「行動」を起こしましょう。 【その4】 内面の障壁を乗り越えるために、やりぬく気持ちを持ち続けましょう。困難への対処には自分自身への思いやりや優しさがとても重要です。 自分自身に対する優しさや慈しみをはぐくむ「セルフ・コンパッション」をトレーニングすれば、目的の行動に移りやすくなり、先延ばしがなくなります。 ●価値に基づいた人生の旅は始まったばかり ⇒【価値に目を光らせておきましょう】 マインドの中で価値を目立ったままにさせておく方法をみつけましょう。そうしないと、日常生活の中で、私たちはつい価値を自然と忘れてしまうのです。 ⇒【価値に基づく一日を送りましょう】 価値に沿った一日を過ごしてみましょう。一連の小さな行為をとる機会を見つけましょう。そのときあなたの内面に何が起こるか観察しましょう。 【セルフ・コンパッションのエクササイズ】 自分に優しくした行為やセルフ・コンパッションの瞑想で感じたことを書いてみましょう ⇒夜に、慈しみをもって、自分の一日をチェックしましょう ⇒自分を責めてはいけません。思いやり、しなやかさを大切にしましょう。 自分に優しくあり続け、自分が重視する方向に進んだ一歩や前進を記録しましょう。誰にも見せる必要はありません。自分の記録として書いておきます。
⑤ACTトレーニング_価値の明確化
●価値の明確化とは人生の方向性を明らかにすること アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT) における“価値”とは「人生を方向付けたり行動の原動力となったりするような、個人的な強みや資質」と説明されます。簡単にいうと、日々どんな行動を積み重ねていきたいか、理想や望みを要約した言葉なのです。「価値」はゴールや結果ではなく、それらが向かう方向性です。 ●価値は終わりのないプロセス 価値は達成されることがなく、人生の過程でずっと追い続けるものです。 例えば、大切な人を愛することがその人の「価値」であれば、愛情を注ぐ行為に終わりはないでしょう。 ●価値は言葉にすることで影響力をもつ あなたが人生において特に大切にしたいものを次の領域ごとに考えてみましょう。①健康、②人間関係(配偶者、パートナーや子ども、家族、友人)、③仕事・キャリア、④余暇(趣味やスポーツなど)、⑤自己啓発(トレーニング、学習、宗教など)の5つの領域ごとにリストアップしましょう。 【2つの主なトレーニング】 ・マインドフルネス&アクセプタンス ⇒「今、この瞬間」への気づきのトレーニング ⇒自分の内面の障壁に気づき、自由になる ⇒弱みを受入れ自己に対する思いやりを感じる ・ 価値に基づく行動 ⇒あなた自身の「価値」を言葉にして定める ⇒「価値に基づく行為」にマインドフルに従事 ⇒「価値」を日々の行動のガイドとして用いる 【価値に基づく行為にマインドフルに従事するためのエクササイズ】 人生の領域:健康/人間関係/仕事/余暇/自己啓発 今週取り組んだ個人的な価値は何ですか⇒ 今週マインドフルになった価値に基づく行為を書き出してみましょう ⇒行為を行う前、最中、後に気づいたことも書く 価値に基づく行為を実行しようとしたが、できなかった行為を書く ⇒外的な障害(例:時間、機会) ⇒内的な障害(例:浮かび上がった感情)
④ACTトレーニング_文脈の中の自己
●文脈としての自己~いろいろな自分の側面に気づきましょう ⇒「概念としての自己」は固定的な自分のイメージのこと 自己には異なるレベル(側面)が存在します。「自分は○○だから…」といった、自分の仕事の能力や収入、容姿などが、他人と比較して劣っていると感じる場面 では、その比較の元となる固定的な自分のイメージ(これを“概念”と呼ぶ)を信じ込んでいます。これは、言語を身につけてから後に生まれたものです。 ⇒「観察者としての自己」は言葉から独立した客観的な自分の視点のこと 概念としての自己に対して、それらにただ気付き、客観的に観察している視点もあります。この視点は「観察者としての自己」と呼ばれます。これは、概念としての自己が形成される前、すなわち「自分は○○だ…」と定義し始める前からいて、自分の根源的な存在そのものなので言葉から独立しており、不快な気持ちや感情、感覚に傷付けられることがない側面のことです。 ●将棋盤のたとえ 将棋盤の上で駒が動かされ、戦いが始まります。ポジティブな駒が優勢である場合もあれば、ネガティブな駒が勢いを増すこともあります。私たちが「概念としての自己」に執着しているとき、私たちはこの駒のように戦いの中にいます。駒同士の戦いがどんなに激しいものでも、将棋盤はただすべての駒を乗せる役割だけで、勝敗とは全く関係がありません。この将棋盤の視点こそが「観察者としての自己」の視点です。「観察者としての自己」は非常に気付きにくく、さまざまなACTトレーニングをしていく中で初めて気づく視点でもあります。 ●公平な観察者(賢明な心の持ち主)になるために 観察者でいることがどうして重要なのか。観察者でいることの利点は、今起きていることや自分の体験を、どちらか一方の側につかず、公平に観察できることです。だからこそ格闘を終わらせ、綱引きのロープを置くことができるのです。観察者としての自己を感じるトレーニングによって、重要な洞察を得ることができます。それは、あなたの行動は、あなたの思考や感情と区別できるということです。 「あなたの感じているもの」と「行動」との違いがわかれば、自分の行為を選ぶことができます。あなたは、内なる世界と闘うこともできれば、その痛みを抱えたままで前に進むこともできるのです。この選択はあなた次第なのです。
③ACTトレーニング_脱フュージョン
●「フュージョン」とは過去の記憶やイメージのまじり合った「マインドのわな」 事実と幻想が混じりあって区別がつかなくなってしまった状態。それがフュージョン(融合)です。感覚や感情と事実が何の関係もない場合でも、自動的に結びつけてしまう心の働きです。「パニック」という言葉を聞くだけで、いやな連想をしてしまって落ち着かなくなる心の自動的な働きのことです。ここで重要なのは、「パニック」という言葉は、本当のパニック発作ではなく、単なる言葉にすぎません。言葉を言葉以上に捕らえると、マインドの作りだした幻想を鵜呑みにして危険で深刻な思考に変わってしまいます。そうなると過去の行動パターンに縛られがんじがらめになってしまうのです。これを「マインドのわな」といいます。 ●「脱フュージョン」とは「フュージョン」から抜け出すこと 自分の抱いた嫌な思考の影響を和らげ、無力化する方法、それが「脱フュージョン」です。嫌な思考や無意識の感情に対する観察者となるスキルを学ぶには練習が必要です。「マインド・ウォッチング」のスキルは、自宅や買い物の途中でも、身体を動かすどんな活動の途中でも練習できます。「マインドのわな」がいかにあなたを縛っているのかに気づくことは、重要なステップです。自動的(勝手)に自分の感覚を動かしていた思考と距離を取ることで、これまでとは違ったふうに身体とつながり、これまでとは違う感覚を得ることでしょう。自分の本来の目的にしっかり向き合いやすくなります。
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②ACTトレーニング_アクセプタンス
●なぜACTでは「アクセプタンス」と「価値ある行動」が重要なのか ACTでは、今感じていることや考えていることに気づいた上で、それをあえて、そのままにしておく(脇に置いておく、棚の上に上げる)という行為(アクセプタンス)、それがいかに役立つか強調しています。そしてACTのトレーニングでは、あえてそのアクセプタンスという行為を自ら選ぶことができるよう練習します。 ●問題や悩みと闘うのは止めて、人生を歩き出しましょう、というアプローチ ストレスや不安や恐怖、仕事をする上でも、苦しい思いがあれば、そのままにはしておけないのが自然な反応です。しかし、その時点で立ち止まりましょう。不安や恐怖、ストレスなど内面の問題を解決しようと格闘するのではなく、そもそも自分が何を求めて、どんな風に生きていこうとしているのかを改めて考えてみようというのが、「価値の明確化」というステップです。もし、自分の価値を明確に言葉にできれば、今行うべき行動は何か、それを選択して宣言(コミットメント) し、行動を起こし実行しやすくなる、というわけです。 ●アクセプタンスとは、受け入れて心のスペースをつくるプログラム アクセプタンスとは、自分で変えられないこと、コントロールできないことを平静に受け入れ、自分で変えられることには変える勇気をもち、その違いを区別できる知恵を育みましょう、自分のエネルギーを注ぐべき方向性を見極めましょう、というものです。アクセプタンスのトレーニングは、苦痛や問題と闘わず、そのまま受け入れる心のスペース(余地)をつくるためのものなのです。
①ACTトレーニング_呼吸と身体のマインドフルネス
●「今、この瞬間」との接触とマインドフルネスとは マインドフルネスは「今」という瞬間に注意を向けることにより、自分の思考と距離をとって向き合えるようになることをいいます。「いま、この瞬間」に気づきを向け、思考や感情に囚われない心の持ち方を学ぶことは、目的地ではなく、旅のようなものです。学べば学ぶほど、時間をかけて上達していきます。 ●身体の声に優しく耳を傾けるには練習と真剣さが必要 今、この瞬間にとどまるには、自分の身体の声に優しく耳を傾けることです。呼吸を感じましょう。鼻の穴か上唇の一点に意識を集中させ、入る息、出る息を感じます。さらに心臓の鼓動、姿勢、緊張したり固くなったりする身体の部分に気づくことが必要です。痛みや熱くなったり、重く感じたり、震えたりする場所があるかをじっくり優しく観察します。自分が望むだけこの優しい観察の練習を続けていきましょう。 ●マインドフルな呼吸法 心がさまよって、いろいろな思考が出てきても心配いりません。意識が呼吸や身体から反れてしまったら、またすぐに、呼吸に戻ってくればいいのです。何度もさまよい出ては戻る、その繰り返しを見つめ、自分の思考を観察する自分に気づくことができればいいのです。一度コツがつかめたら、電車の中でも、仕事の合間の休憩時間でも、いつでもこのスキルが役立つことに気づくでしょう。