見出し画像

復職するのでマイナンバー制度について思い出してみる(1)


 皆さんこんにちは。先日受診してきまして、この度1月末での復職が決まりました。


 ただ、2ヵ月も職場を離れてしまったので、業務内容をすっぽり抜かしているんじゃないかと心配になります。まぁ、そんなもんを心配しているから症状が良くならなかったんでしょうけど。とはいえ、どこか「クソ」真面目なところのある私にとっては、仕事から100%離れるっていうのは感情的に難しいのかもしれませんね。

 そこで今回は、自分自身が仕事を思い出すために、マイナンバーに関するあれこれを調べなおして、私なりの言葉でまとめてみようと思います。多分めっちゃ長くなるので複数に分けて書きたいと思います。


 かくいう私は「マイナンバー実務検定」1級の有資格者であり、これまで市役所のマイナンバー担当として1年半の実務経験がありますから、一般の人やマスコミよりは「ちょっとだけ」マイナンバーについて正しく・詳しく理解できると自負しております。私自身が業務内容を忘れていないか確認するとともに、皆様のマイナンバー制度に関する理解の一助になれば幸いと思い、今回のお勉強結果をnoteにすることにしました。



1.マイナンバー(個人番号)とは?

(1)住民票がある人の背番号

 「行政手続きにおける特定の個人を識別する番号の利用等に関する法律」に基づいて、住民票のある住民に対して附番される12桁の番号です。平たく言えば「『チーム住民基本台帳』に所属しているメンバー(私たち住民)の背番号」みたいなもんです。「住民票のある人」に附番されますので、外国籍の人であっても住民票があれば個人番号の附番対象です。

 マイナンバーはそれ単体ではただの背番号にすぎません。しかし、番号と4情報(氏名・住所・生年月日・性別)などが紐づくことで個人を識別する機能が備わります。ちなみに、個人番号を含む個人情報は「特定個人情報」と呼ばれ、通常の個人情報より取り扱いの規制が厳しくなります。

 マイナンバー(番号)を導入するメリットとしては、同姓同名者の情報の取り違えリスクが減る、外字(PCで表示できない漢字)を含む氏名の人でも同一人物であると特定しやすくなるなどがあります。住民票情報の電子化や全国化を踏まえた制度だといえそうですね。


(2)厳しい制約

 そんなマイナンバーですが、使ってよいとされる事務は「社会保障・税・災害対策の3分野のみ」と法律で定められています。また、その3分野だったら好きに使ってもよいというわけではなく、使ってよい事務は法律で限定されており、「個人番号利用事務」と呼ばれます。

 この「個人番号利用事務」を実施する者は「個人番号利用事務実施者」といい、こちらも法律で限定(多くは官公庁)されています。


 「あれ?会社の書類にマイナンバーを書いて提出してるけど、会社は何に使っているの?」って思われた方がいると思います。会社は、従業員の特定個人情報を取りまとめて個人番号利用事務実施者(税務署とか)に提出しているだけなんです。なので、会社がマイナンバーを使って何かをしているというケースはほぼありません。あったらその会社はヤバそうです。

 こうした個人番号利用事務の間に入ってくる事務を「個人番号関係事務」といい、この事務をする者を「個人番号関係事務実施者」といいます。


 このように、マイナンバーの利用範囲は法律で厳格に制限されており、安全性が確保されています。一方で、この厳格さが「マイナンバーが不便である」元凶にもなっていたりします。


(3)附番と通知方法

 では、そんなマイナンバーはいつ附番されるのか、そしてどのように通知されるのかについて簡単にまとめます。

 マイナンバーは、制度が動き始めた平成27年(2015年)10月時点に住民票を置いている住民全員に一斉附番され、通知されました。その後は、住民票を日本においた時点で附番となります。一番多いのは出生ですね。あとは、外国人が初上陸してきたときとかです。

 なお、番号の附番は番号制度開始以降に住民票を置いた時ですから、例えば日本生まれ日本育ちだが、平成20年にアメリカへ移住した。それ以来ずっとアメリカで暮らしていて、去年(令和4年)久しぶりに日本へ帰ってきたという場合、日本へ帰ってきた令和4年が附番のタイミングになります。

 番号の通知は、かつてなら通知カード、現在なら個人番号通知書で行うと定められています。番号が変更になった場合も同様にです。ということで、次は通知カードと個人番号通知書についてまとめます。


(余談)番号の変更

 番号は、一度附番されればめったなことでは変更されません。コロコロと変えてしまったら個人を識別する機能が損なわれてしまいますから。番号が流出し、不正に利用されるおそれがあると認められる場合でない限りは同じ番号を使っていきます。

 とはいえ、先述のとおりマイナンバーが利用できる機会というのはかなり限定的なので、仮に番号が漏れてしまったからといって、番号だけでなにか不正な利用ができるという可能性はかなり低いんですよね。現時点では。

 今後規制が緩和されて、番号が使える範囲が広がれば話は別なのかもしれませんが、現時点ではそれほど万能な番号ではないのです。

 


2.通知カード・個人番号通知書とは?

(1)再発行不可の通知書

 先述した、「行政手続きにおける~」に基づいて生成したマイナンバーを通知する手段(書面)として当該住民(世帯主)に対して送付されるものです。ただし、「この人のマイナンバーはこれである」という事実を「通知」しているだけにすぎませんので、これらは本人確認書類として使えません。マイナンバーを提出する場合は別で本人確認書類を添える必要があります。

 マイナンバー制度開始から令和2年5月までは通知カードによって、それ以降は個人番号通知書によって通知する決まりになっています。繰り返しになりますが、これらはあくまで「通知」ですから、身分証と違って再発行はできません。無くしてしまったうえで自分のマイナンバーを知りたければ、マイナンバーカードを申請するか、「個人番号の入った住民票」を請求することとなります。


(2)"マイナンバーカード"じゃない

 ちなみに実務経験上「マイナンバーカードを無くしたんやけど」と市役所へ問い合わせてくる人の9割はこいつらのことをを「マイナンバーカード」と間違えて問い合わせています。

 配属当初は問い合わせ内容をそのまま受け取り、マイナンバーカード紛失時の案内をしたら話が嚙み合わないというケースが多々ありました。現在はこういう問い合わせがあった場合「紙のものですか?プラスチックのものですか?」と聞いて誤解を生まないようにしています。

 まぁ知らない人からしたら通知カードだろうがマイナンバーカードだろうが一緒ですよね。私も最初はわかりませんでした。

 では、次以降、うわさの「マイナンバーカード」についてまとめます。



3.マイナンバーカードとは?

(1)ただの写真付本人確認書類

 平たく言えば「個人番号の載った顔写真入りの本人確認書類」です。それ以上でもそれ以下でもありません。

 カードの表面には顔写真や4情報などが印字され、裏面にはマイナンバーが記載されます。番号と4情報が記載されているので、マイナンバーカードは「特定個人情報」ですね。また、カードにはICチップがついており、内部にはカードに印字されている情報と、電子証明書(後述)が格納されます。

 本人確認書類という点でいえば、運転免許証とほぼ一緒(顔写真付の公的なもの)です。ただしカードには正確な住民票記載事項が印字されますし、市町村長(実際には担当職員)が厳格な本人確認をしてから交付(お渡し)をするため、本人確認書類としては一番正確なものだといえるでしょう。


(2)作るのにクッソ時間がかかる

 マイナンバーカードといえば、申請してから受け取りまで時間がかかるという印象が強いのではないでしょうか。実際その通りで、受け取りまで大体1~2ヶ月ほどかかります。今は混雑しているのでもっとかかるでしょう。

 なぜかというと、マイナンバーカードは、地方公共団地システム機構っていう国の機関が一括で作っているからです。市役所じゃないんです。んで、機構がカードを作ったら市役所に送ってくるんですけど、市役所にてカードのチェック作業(カードの券面が申請書情報と一致しているか、ICチップが動くかなど)をひたすらやるんです。これがまたクッソ時間かかるんです。なんとかしてくださいマジで…。

 住民が申請 → 国の機関が審査してカードを作成 → 市役所でチェック → 住民へ通知 という流れを経てようやくお渡しになるので、そりゃ時間がかかるわなと。


(3)電子証明書という機能

 繰り返しますが、マイナンバーカードそれ自体は「個人番号の載った顔写真入りの本人確認書類」でしかありません。また、マイナンバー(番号)は規制が厳しいのでそう簡単には扱えません。

 なので、今話題になっているポイントとか保険証とかはマイナンバーでもマイナンバーカードでもなく、マイナンバーカードのICチップに格納されている「電子証明書」という機能を使っています。そしてこの「電子証明書」という存在が、世間のイメージをややこしくしている気がします。


 で、これから電子証明書についてまとめていきたいのですが、文章の量が多くなってきたので今回はこの辺にしておこうと思います。次回は、混乱の原因である電子証明書や、今話題のマイナ保険証などについてまとめていきたいと思います。

 間違い等があればご指摘ください。社会復帰の源にさせてもらいます。



【続編】

 続編です。(2)では電子証明書に関すること、マイナポイントに関すること、マイナンバーカードの保険証利用に関することなどをまとめました。



【参考文献】

 水町雅子『マイナンバー実務検定 公認テキスト』(全日本情報学習振興協会編)全日本情報学習振興協会,2018年。

 マイナンバー制度やマイナンバー通知カード・個人番号通知書、マイナンバーカードに関する基本的な情報は、私が資格勉強時に使用した上記書籍を参考にさせていただいています。

 マイナンバーカードについては、地方公共団体情報システム機構のマイナンバーカード総合サイトも一部参照しております。



 そのほか、実務に関係することは自身の実務経験から、個人情報等に配慮して内容を精査したうえで記載させていただきました。



いいなと思ったら応援しよう!