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【短編小説闇ギャン】運命の分岐点
絶望の淵から見上げた一筋の光
第1話: "序章"
暗い地下の一室。天井の蛍光灯がちらつき、薄汚れたテーブルの上には無数のカードとチップが散らばっている。主人公の**斉藤剛(さいとう ごう)**は、汗ばんだ手でカードを握りしめ、心臓が破れそうなほど鼓動を感じていた。
斉藤は30代半ばの平凡なサラリーマン。だが、借金に追われた彼は、ある日謎の招待状を受け取り、この地下賭博場に足を踏み入れた。
"このゲームに勝てば、借金はすべてチャラ。さらに大金を手にできる。しかし、負けた場合のペナルティは...覚悟していただきます。"
部屋の隅に立つスーツ姿の男が、無感情な声で説明する。その背後には、暗い影のような存在感を持つ"オーナー"と呼ばれる人物が微笑んでいる。
斉藤が目をやると、他の参加者たちも緊張の面持ちで説明を聞いていた。中年の男、派手な服装の若者、そして静かに座る女性。皆がそれぞれの理由でここに集められているのだ。
ゲームの始まり
最初のゲームは「命の石」。プレイヤーはそれぞれ3つの石を持ち、その中に1つだけ"生きた石"がある。他人の石を奪い、最終的に生きた石を多く持つ者が勝者となる。だが、石を失うたびに体へのペナルティが科せられる。
ペナルティは電撃、痛覚シミュレーションなど様々。決して命を奪うことはないと説明されるが、痛みはリアルそのものだった。斉藤は他人の反応を観察しながら、慎重に行動を開始する。
最初のターンでは、誰も動こうとしない。重い沈黙が場を支配する中、一人の若い男が口を開いた。
"こんな状況、じっとしてても意味ないだろ。どうせ誰かが仕掛けてくるんだ。"
そう言って男は隣の中年男性に挑みかかる。突然の行動に場がざわめき、斉藤も動揺を隠せない。しかし、これがきっかけで次々と動きが出始めた。
心理戦の激化
斉藤は慎重に他のプレイヤーの動きを観察しながら、自分の石を守る手段を考える。隣に座る中年の男が、低い声でささやく。
"お前、本当に生きた石を持っているのか?"
斉藤は冷や汗をかきながら、ポーカーフェイスを崩さないように努める。しかし、その裏では自分の手の内を隠しつつ、相手の意図を読み取ろうとする。
ゲームが進むにつれ、プレイヤーたちの間で同盟や裏切りが次々に起こる。斉藤も一人の若い女性プレイヤーと協力し、生きた石を守ろうとするが...
"ごめんなさい、あなたを信じるわけにはいかないの。"
その女性は、斉藤を出し抜き石を奪い去る。痛覚ペナルティにより斉藤は床に倒れこむが、その瞬間、彼の頭にある考えがよぎる。
"これはただの運ではない。奴らには何か隠されたルールがある..."
斉藤の逆転の一手
痛みから立ち上がった斉藤は、オーナーの微笑みに気づく。彼の目にはまるで何かを試しているような光が宿っていた。斉藤は自分の過去の経験を思い返し、過去に培った観察力がここでも通じると確信する。
彼は場の全員を観察し始める。小さな仕草、視線の動き、言葉の裏に隠された意図。それらを組み合わせて、隠されたルールを推測する。斉藤は気づく。
"この石、ただの石じゃない...。光の反射具合、手触り、それぞれ微妙に違う!"
次のターン、斉藤は確信を持って若い男に挑む。緊張感の中で、男は石を選び間違え、斉藤は見事に生きた石を奪取する。
"やった...これが俺の生きる道だ!"
次回予告
斉藤は果たして、この心理戦と陰謀の渦中で生き延びることができるのか?そして、ゲームの真の目的とは?さらに明らかになるオーナーの計画。
次回、第2話「勝利の鍵」!
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