ファーストラヴを読みました。

ファーストラヴを読んだ。父親を殺してしまった女子大生の環菜が何故事件を起こしたのかを明らかにしていく話。読んでいて思ったのは誰かから受けた行為にどう思ったかの気持ちの度合いを知るのは当たり前だけど本人しかいないという事。こちらから見たらそこまでと思う事も当人からしたら物凄く辛かったりする場合もあって、自分の基準で他人の感情を勝手に測ってはいけないのだという事。何気ない台詞が言われた方の心に刺さってしまうという経験が自分にもあったから、終盤で環菜が母親に怪我の事を気持ち悪いと言われてから絶対に知られてはいけないと思うようになったという部分に心がギュッとなるような感覚がした。仲が悪いわけではないけど心の底から信頼し合っているわけでもないって感覚は親子だからこそなのかなとも考えた。好きだけど好きじゃないみたいな。起こしてしまった事件は取り返しがつかないけれど裁判を通して自分の気持ちをしっかり整理して、それを誰かへ遠慮する事なく、自分の言葉で伝える事が出来たというそれだけで今までとは違う暗闇のような薄暗い場所から一歩を踏み出せたのを感じられて、環菜のこれからが少しでも明るくなって欲しいと感じた。決して明るい話ではないのだけど環菜の人生が前向きになれたように思える。そして彼女と向き合った由紀にとっても前に進むきっかけになったように思えて印象的なラストだった。我聞さんが裏があるのかなと思いきやただただいい旦那さんだったのも良かった。作中で一番のいい男だなと思った。

 #読書の秋2020 #ファーストラヴ

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