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浅草ルンタッタを読んだ

劇団ひとりの小説は『陰日向に咲く』を以前読んだ事があるので2度目。明治から大正にかけての浅草を舞台にした群像劇のような話。明治から大正とだけで人によってはピンと来るだろうけど震災の話もあり、主人公のお雪をはじめとして登場人物の大半は苦しい状況になる事が多いのだけれど、そこに住む人たちと支え合いながら乗り越えていく感じの底力やパワーなんかの逞しさを感じられて、起こる出来事に反してとても清々しい気持ちになれるような、そんな話で面白く読めた。 タイトルは軽快な感じなんだけど、本筋

    • 『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』

      気づけば5年以上同じメイクのあなたへ と書いてある帯を見て、これは私の事だ!と思うと同時に、いや、5年どころじゃなくメイクをしなければならないと恐る恐るメイク用品を揃えてメイクをし始めた時からやり方を一切変えていないのでは!?という事実に気づいてそんな自分にゾッとした。別にド派手なメイクをしていないので、一旦変ではない自分のメイクパターンが出来上がったらずっとそのメイクをしていた。 私はメイクが苦手だ。そもそも自分の顔が好きでもないからそんな自分の顔を盛る事に苦手意識をずっ

      • 『明日の子供たち』有川浩

        有川さんの本は読みやすくて好きなので内容をあんまり見ないで手にとる事が多い。これもその1冊。児童養護施設に関する話で、物語として楽しめつつも児童養護施設に関する問題点みたいなのも描写されているので自然とそういった知識が頭に入ってきた。普通に親と一緒に生活してきた人たちが感じてしまう施設で育つ子に対して抱くイメージやそうしたイメージについて当事者たちはどう感じるのか、施設での生活について実際はどういう風に感じているのかみたいなのがメインの語り手である慎平を通して分かり、慎平と一

        • 文章は接続詞で決まる

          タイトルで難しそうだなーと思ってしまうけれど読んでみたら読みやすく、訳が分からない!みたいな事もなく読み終わった。 接続詞って小中高と国語や現代文の勉強をしてきたしちゃんと習っているはずだけど、どんな効果があってどう使うべきなのかみたいなのは意識もしていないし、知らないなあと思った。元々日本人だし当たり前のように日本語を喋って書いているから何も意識せずに書いたり読んだりしていたのだと気付いた。折角読んだんだから自分も接続詞を意識した文章でも書いてみようかなと思ったけれど、そ

          ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー

          山田詠美の『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』を久しぶりに読んだ。この本を初めて読んだのは高校生の時だった。読書というものを意識してするようになり、夏の100冊とかのフェアに入っていたのをきっかけに『ぼくは勉強ができない』を読んだのが確か山田詠美作品との出会い。その中でも『ぼくは勉強ができない』とか『蝶々の纏足・風葬の教室』みたいな10代の子が描写されている話が無性に好きで、山田詠美の作品を読み漁った時に読んだうちの1冊。初期の作品に向かうにつれて恋愛の描写が生々しく

          ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー

          かがみの孤城

          かがみの孤城を読んだ。ある出来事をきっかけに学校へ通えなくなったこころはある日自分の部屋の鏡が光だし鏡の中の世界へ行けるようになる。そこには自分と同世代の男女が他に6人と狼の面をつけた少女がいて、この世界に願いの鍵があり、それを使えば願いを叶える事が出来ると聞かされる。期限は3月の30日まで。こころたちは鍵を見つける為に城へ通う生活を始める。 最初はメンバー同士も知らない人たちだったけれど段々と打ち解けてそれぞれにとって学校には行けなくても友達になって大事な場所になっていく

          かがみの孤城

          刺さる本は時に読むのが辛くなる

          有川浩さんの『フリーター、家を買う。』を読んだ。 ドラマもやっていたと記憶しているのだけどそちらも見ていないので本当に初めて作品に触れた。タイトル通りの本なのかなと読み始めたけれど、正確にはちょっと違う。フリーター状態であった主人公が母親が精神的に病んでしまった事をきっかけにして自分を見つめなおし立ち直りバイトから正社員になって成長していく物語だった。そして最終的にはタイトル通りに家を買う。ネタバレになってしまうけど内容はそんな感じ。 まあーとにかくまっさきに浮かぶ事は読

          刺さる本は時に読むのが辛くなる

          どっちに転んでも辛い

          『望み』を読んだ。子供だけど子供すぎない年齢の少年が自分の周囲で起こったトラブルを自分の力でどうにかしようと考えた事で起こる事件の話。もうとっくに大人になった自分は読んでいてまずは親に相談して対処法を考えた方がいいと思ってしまうのだけど、子供の立場からしたら迷惑かけたくないとか反抗期もあったりして言いたくないとか色々思いや考えがあるんだろうな。ただこの小説では親の語る話をどうでもいいような感じで聞きながらもちゃんと自分で考えて受け止めているのが分かるからきっと素直に話せていれ

          どっちに転んでも辛い

          ファーストラヴを読みました。

          ファーストラヴを読んだ。父親を殺してしまった女子大生の環菜が何故事件を起こしたのかを明らかにしていく話。読んでいて思ったのは誰かから受けた行為にどう思ったかの気持ちの度合いを知るのは当たり前だけど本人しかいないという事。こちらから見たらそこまでと思う事も当人からしたら物凄く辛かったりする場合もあって、自分の基準で他人の感情を勝手に測ってはいけないのだという事。何気ない台詞が言われた方の心に刺さってしまうという経験が自分にもあったから、終盤で環菜が母親に怪我の事を気持ち悪いと言

          ファーストラヴを読みました。