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肢体不自由だからできないっていうテンプレよ、さようなら
肢体不自由だとどうしてもできないことがあります。
その一番楽しめないものはアウトドアです。バリアありありなので、どうしてもみんなと一緒に楽しめない。お留守番になってしまう。
「アウトドアを絡めた旅行はあきらめるしかない」
私たちのテンプレ言葉。
私たちにとっての障害は、したいな、やりたいなという気持ちの時にできないことで、それはどんなに自分なりにあがいても家族だけではどうにもならないことなんだと、脳性麻痺の次男を育てていく中で日に日にその気持ちが増していた2016年の夏。
そんな私の悲観的な気持ちから生まれたテンプレ言葉を思いっきりぶっ壊してくれたことがありました。その瞬間から生まれ変わったといっても過言ではない、そのくらい脳内スパークした出来事を書きたいと思います。
この話を語るためには、随分と前からさかのぼります。私aco自身のことを少し語らせてください。
私は独身時代からアウトドアにどっぷりつかり、仕事終わりから休日最終日夜までがっつり登山ザック引っ提げて、仲間達と大自然満喫して仕事をするそんな生活をしていました。
結婚、長男誕生後もそのスタイルは変わりませんでした。
次男が生まれても、小さい頃は他の家族と同じように、バギーや抱っこやおんぶしながら楽しみました。
しかし、年齢と共に同じような楽しみ方ができなくなりました。基本アウトドアはバリアありですから、どうしても介助する私達の負担と本人の負担、仲間達との歩調が合わない、そんな理由から徐々にアウトドアから遠のいてしまいました。
仲間の楽しんでいる姿に羨むようになり、なんで我が家は…と悲観的に思うようになりました。
そう思ってしまう自分に対して嫌悪感まで抱くようになりました。どうにか楽しめないかと一生懸命に検索しても名案が見つからない日々。もやる気持ちだけが反比例して積もっていき、とうとう苦しくなってしまいました。
私たちは大好きなアウトドアを楽しむことはできないのかな。
「我が家はあきらめよう。仕方ない。肢体不自由児家族なんだもん。」
ある時そう自分の中で決めました。そう決めた方が楽だったんだと思います。考えたところで解決できないし辛くなるなら一層考えるはやめよう。
それからこの言葉がテンプレになりました。
仲間の誘いもテンプレで断り、すっかりアウトドアとは無縁になりました。
さて、次男は小学校普通級へ入学しました。
3年生で登山遠足があり、肢体不自由児にとって大きな行事になるだろうと入学してすぐリサーチをはじめました。
アウトドアを捨てた我が家だけど、登山遠足だけは何とかしてあげたい。
そんな時、八ヶ岳に引っ越しした次男つながりのママ友から情報をもらいました。
「近くのスキー場で『ユニバーサルフェス』開催されるよ」
どうしても行けず、友達ママ家族が代わりに参加してくれました。その感想は、ワクワクするものでした。
「アウトドア、みんなで一緒にできる体験があってやってきたよ!すごく楽しかったよ!登山遠足の相談できるかもしれない!来年もこのイベントをやるって!」
そして待ちに待った1年後の2017年秋に次男と二人で車に飛び乗り高速に乗って「八ヶ岳 富士見高原リゾート」へ向かいました。
会場受付のスキー場の駐車場に着いたら、なんと車いすで空を飛んでいる風景が目に飛び込んできたんです。
「!!!!!!」
その瞬間、私が公言したテンプレ言葉がガラガラと音を立てて崩れていきました。
できないってあきらめたの誰だよーーーー
展示場には、水陸両用の車いすや障がい者用のバイスキー、デュラルスキー、車いすを人力車のように操作できる装置JINRIKIが付いた車いすが並んでいました。
「これらは、ヨーロッパでは当たり前に用意されていて、登山も海水浴も雪山もみんなと一緒に楽しめるんですよ」
とスタッフの小泉さんが説明してくださり。(この方がその後登山遠足でお世話になります)
「これならば、肢体不自由児がいるからと家族であきらめなくていいんですね!ずっとあきめていたから…」
ヤバい。泣きそうだ。なになに??ヨーロッパでは当たり前に楽しんでいる?胸のときめきが半端なくて興奮が止まらない!!!
「サスペンションが付いている重心の方でも安心してスキーを楽しめるデュアルスキーはようやく日本上陸したここにある1台です。これから増やして誰もが楽しめるようにと思っています」
ようやく日本に上陸してきたんだ!それじゃあ私が検索しまくってもヒットしないわけですね。
体験コーナーもあり、次男にはアウトドアの醍醐味を体験させてあげたいなと思いました。「専用の車いすにパラグライダーをつけて空を飛ぶ体験」「専用車いすでツリークライミング体験」「どんな状態の山道でも下れる専用の四輪に乗って坂下り体験」がある中で、ツリークライミングを体験することに。
ツリークライミングは私自身やったことがあり、降りたくなくなるほど楽しかった思い出があります。申し込みをして水陸専用の車いすに乗り換えてツリークライミングができる場所まで急斜面をインストラクターさんが介助していきました。どんな凸凹もすいすいと登っていくではありませんか!感動と共に「登山遠足行けるぞ!」でぞわぞわして自体初めてまた潤んでしまう私。
次男はすっかりインストラクターさんに慣れてルンルン、笑顔爆裂しています。
ロープを使い、次男を引っ張りあげていく。
あがるたびに「たのしいーーーーーーー」と声が聞こえる。
徐々に次男が小さくなってきた。横には別の枝から登ってきたインストラクターさんがサポートしていただきながら、どんどん上がっていく。
気づけば10メートル以上も高い場所の木の枝元付近まであがってしまった。
「おかあさーーーーん!楽しすぎるよーーーーーー!!!」
スマホ動画を撮る手が震えるほど、嬉しくて涙ダバーーーーーー!!!高い場所の経験が皆無だった次男が初めて知った世界。彼がこんなにも高いところが大丈夫だったなんて誰が想像したことでしょう。
それも、家族みんなで楽しめるだなんて!!!感じていることを一緒に共有できるだなんて!!!
私の世界がガラリと変わった瞬間。この世界最高!大好きなアウトドアをあきらめるなんて言葉のない世界。そしてきっと次男も新しい世界を知ったことでしょう。ここに来てよかったーーー!!!
このフェスを企画したのは「ATA Alliance」(現:Adaptive tour & activities - ata Tours)さん。代表のあきさんが「日本にも必要だ」と立ち上げた世界基準の『アダプティブツーリズム(Adaptive Tourism)』を研究し提供してしている日本で唯一の旅行会社団体です。詳細はこちらをどうぞ→HP
アウトドアだって家族で仲間で楽しめると知ったこの日から、次男と過ごす全てがワクワクに変わりました。
もうあのテンプレ言葉は私の中にはいません。
次男と共に新しい世界を知ってしまってから、私の探求は高まるばかりです。
あたらしい世界は、想像以上の広がりを与えてくれることを知りました。
可能性は無限大だということを次男なりに心の中心に炎を灯し続ければ、どんな困難が訪れたとしてもなんとか這い上がってこれるんではないかと思います。「こんな工夫すれば一緒に楽しめる」という考えを仲間とシェアすれば、あたらしいコトも生み出せるかもしれないですよね!(学校生活で活かしています)
次男が生き生きと自分の人生を生きている。
大好きな仲間と楽しめることの喜びをもっともっとたくさん経験してほしいなー。
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![あこ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/66142251/profile_bef515f40f3f83a5aecb1db905ff4dd0.png?width=600&crop=1:1,smart)