軍曹と新兵
軍曹は新兵に言った。
「これからお前の赴く戦場では、苦しみや痛みは日常茶飯事だ。それに耐性をつけるために、俺はお前を日々痛めつける。お前は毎日殴られ、罵られ、他の兵士の前で恥をかかされる。覚悟しておけ」
戦争が終わり、年月が経って、軍曹は一介の老人になり、新兵は医師へと転身した。元軍曹が重い病に倒れて、自分の医院に入院してきたので、医師は彼に告げた。
「これからあなたの臨む死というものは、苦しみや痛みに満ちています。それに耐性をつけていただくために、我が医院は最先端の医療技術を駆使し、あなたに日々苦しみと痛みを最期の日まで与え続けます。死ぬ瞬間には、死など何でもないことに思えますから、どうぞご安心ください」