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ほんとにすごいと思った上司の退職(年度末に毎度見直したいからメモ)

つなぐ課の上司

年度末の今日は、SNSも人事異動の話や、転職、退職の記事が多いですね。
僕も今年は異動になります。
2年前に神戸市の久元市長肝入りで創設された「つなぐ課」の初期メンバーとして特命課長に選定されましたが、この2年で当初メンバー全員が異動になりました。
新しい職場についてはまた明日にでもnoteに書こうと思うが、つなぐ課として働いた2年は、自由にかつ積極的に、ほんとにいろんなことをやらせてもらったと感謝しています。

他部局の所管である社会課題に切れ込み、黒船のごとく突っ込んでいって、結構(いや、相当?)嫌がられながらも、細かい調整も重ねて新しい取り組みを生み出していく仕事でした。

他部局からいろいろ苦情的なことを言われても、私たちの想いに寄り添って話を聞いてくれて、的確なアドバイスをしてくれて、そして「これは市民のために必要なことだ」と応援し、陰でこっそり他部局との調整に走ってくれたりする上司がここには存在しました。

そんな素敵な上司が今日で定年退職でした。

心から尊敬できる上司

私は上司に噛みつくタイプです。採用1年目で上司と喧嘩しました。「もう新しい道路をつくる時代じゃない」と豪語した私に「土木の仕事を減らすようなことを提案するな」と言われ半切れしました。
2年目は「20年後を見据えて歩行者メインの都心を」と提案したら「そんな先の話なんか考えられない」と言われ、ブチ切れて上司に「お前なんか辞めてしまえ」と暴言を吐きました。

若気の至りです。すいません・・・

その後は上司に恵まれたのか、私が大人になったのか、理解しあえる方と仕事することが増えました。折り合えないことも多々あったけど。

ただ、その中で三宮のプロジェクトをやっていたころの上司と、そして今回のつなぐ課の上司、このふたりは別格でしたね。

企画調整局長という重み

今回退職された私の上司は企画調整局の谷口局長です。

写真で見ても一目瞭然ですが、とても穏やかな方で、「人格者」ってこういう人かと思える人です。
人が良いだけではこのポストは務まりません。神戸市政の中心を担っているのがこの企画調整局です。前例のない世界で戦い、次々に発生する新しい社会課題に対して新しい政策を生み出し実行していく部所です。
「住宅」とか「福祉」とか決まったテーマがなく、ありとあらゆる社会課題が持ち込まれ、素早く対策を練り出さなければなりません。

この企画調整局が正しい施策を展開できるように舵を握るのが企画調整局長なので、激務でないわけがないです。毎日様々な施策に関する相談が持ち込まれ、意思決定を迫られます。15分刻みのスケジュールを庶務担当が組んでくれますが、トイレの時間を確保することもままならないほどの忙しさ。

「文化財」の話をしたと思ったら、次は「スマートシティ」、「医療産業」、「外郭団体」、「水素エネルギー」、「総合計画」、「交通実験」、「スタートアップ」、「アート」、「自治会組織」、「LGBT++」などなど、ほんとに何でも相談受けて指示を出していかないといけない。

議会からの質問も集中しやすい案件が多いし、実際バンバン質問してくるから、勉強やら準備やらでほんとに大変。

でも、谷口局長はいつも市民目線であり、また部下のこともずっと気にして対応してくれていました。ほんとに尊敬できる上司でしたね。この人みたいには到底なれないな~と、素直に思いました。

退職のあいさつ

今日の定時後に局長の最後の挨拶がありました。たくさんの部下が局長の言葉を聞きたくて、上司に尊敬の謝意を表したくて集まってきました。

谷口局長は、部下のみんなからのプレゼントを受け取って、涙しながら、挨拶をしてくれました。挨拶というより、私たちに贈る言葉でした。

3点伝えたいことがあるとお話してくれました。

1つはアリストテレスの説得のお話でした。市の施策は論理が正しいだけではうまくいかない。論理(ロゴス)に加えて、信頼関係(エトス)と、共感(パトス)がないといけないという話でした。市民との信頼関係を気付き、共感できる施策をつくっていくんだよ。と話してくれました。

2つめはカール・ユングの幸せの5条件のお話でした。

【ユングの幸福5条件】
1.心身ともに健康であること
2.ある程良のお金を持っていること
3.美しいことを知る能力や感動する能力があること
4.人間関係が豊かであること
5.朝起きた時「やるべき」仕事があること

これを引用して、自分の好きなことで良いので感動することを忘れないで欲しい、そして毎日朝起きて「今日は嫌な仕事があるなあ」という時も、毎日やるべきことがある幸せを感じて頑張って欲しいと言われました。

3つ目は震災対応のお話

谷口局長が係長時代に阪神淡路大震災があった。当時はほとんど家に帰れず必死で働いていたが、係長として上司に相談する余裕もない中で自らの責任、自己判断で早く動くようにしていた。そして独断でローテーションを組んで部下を休ませていたという体験を話してくれました。
いずれ必ず南海トラフが動いて地震が起こる。その時の心がけを伝えてくれた。「自ら考えて判断し行動する」「部下を必ず守る」これをほんとに大切に大切に伝えてくれました。

最後の最後まで部下のことを気遣った言葉で最後を締めて退職された谷口局長をほんとに尊敬します。明日からのお仕事に気合が入りました。

この言葉を年度末になったら見直したいなと思ってnoteにまとめました。

谷口局長ほんとにお疲れさまでした。ありがとうございました!

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秋田大介(社会課題解決コーディネーター)
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