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まんまる。月と瞳。

私は食べ物の好き嫌いや人の好き嫌いは少ない方だ。

ただどうしても苦手な物がある。それは月と目だ。

昔から満月が苦手で人と目を合わせる事が苦手だった。だって不気味じゃないか。恐ろしいじゃないか。どうにも腹の底まで見透かされているような気がする。

ちっぽけな自尊心も歪んだ自意識も、薄べらな愛想笑いも刺激のない人間性も何もかもが覗かれている気分になる。鼻で笑われてしまうんじゃないかと思ってしまう。もちろんそんな事はないだろうし月に意思があるなんてメルヘンチック過ぎるとは自分でも思うけれど、どうしても背中の神経をジリジリと焼かれているような気分になってしまう。


私は満月に覗かれるのがどうしようもなく恐ろしい。自分の様な中身なんて物が無い人間は上から見たら空洞になってるんじゃないかとさえ思う。全自動良い人機械人形ver.不細工。最悪じゃん。バッテリー抜いて山奥に捨てろ。ハードディスクは叩き割れ。


私は人と目を合わせるのがたまらなく恐ろしい。目を合わせた瞬間にどデカイ虚栄心と裏側に潜む身勝手な人間性が見抜かれてしまって愛想を尽かされてしまうのではないかと思う。「コイツおもんな」つって。


18年一緒に暮らしていた兄の目も12年一緒に暮らしていた弟の目も、8年付き合っている親友の目も見れない。ごめんな。なんなら顔も見てねえ。横顔しか見れねえ。

自分にとって大切な人の目くらいはちゃんと見たいなと思う。だから俺が目を合わせなくてもそれは怒ってるとか嫌いとかそういうのではないから気にしないで欲しい。


いつか目を見て「月が綺麗ですね」なんて言える日がくるのか。なんてどちらにせよ気持ち悪過ぎて言えないな。

それでは。

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