商標登録をしよう!
スタートアップ企業の法務に置いて注意しなければいけないことの1つに、知的財産の管理があります。そこで、今回は商標についてお話ししたいと思います。
商標登録のタイミング
最近ではゆっくり茶番劇の商標登録問題が話題になっておりますが、自分のビジネスで使っているブランド名を他の人が商標登録してしまうと困りますよね。商標登録をすることで、他人が同じ名称を用いにくくする効果がありますし、他人から商標権侵害を申し立てられること防げます。スタートアップ企業で商標登録がまだできていない会社であれば、早めに登録することを検討した方が良いでしょう。というのも、商標登録は先願主義と言われ、簡単に言えば早い者勝ちと言う事だからです。商標登録はしようと思ってすぐその日にできるわけではなく、まず事前調査を行って問題がなければ登録すると言う流れになります。そして、この事前調査に数ヶ月、登録に数カ月かかりますので、半年から1年以上の時間がかかることを覚悟しておいた方がよさそうです。
商標の区分
商標登録の事前調査は、他人が既に同一・類似の商標を登録している場合には、登録を受けることができないため、商標登録するにあたって障害がないことを確認するために行います。無断で他人が登録している商標を使うと商標権の侵害となる可能性もあるため、すでに同じ商標か登録されていれば商標を変更せざるを得なくなります。せっかく築いたブランドが台無しになってしまう可能性もあるので、このような事態は避けたいですね。ただ同じ商標であっても登録しているサービス・区分が異なれば問題ありません。区分は特許庁のホームページなどに記載されていますが、大変細かく分かれているので、ご自身の会社がどの区分に登録したらいいかについては、弁理士等の専門家にご相談するのが良いと思います。なお、登録する区分が増えれば増えるほど、登録にかかる費用が高くなります。
外国での商標登録
同じ商標を外国でも使用している場合には、外国での商標登録も検討すべきです。
商標登録の制度は各国によって異なります。日本のように先に登録をすれば保護される国もあれば、アメリカのように使用の実態が先にあることが重要となる国もあります。
外国で商標登録をするにあたっては、各国で個別に登録する方法と、商標の国際登録出願制度であるマドプロ(マドリッド・プロトコル)出願をする方法があります。マドリッドプロトコルに準拠した国際商標登録は、まず特定の国に基礎出願をしその基礎出願をもとに複数の国で国際登録をすると言う流れになります。5年間は基礎出願に従属したものとなり、5年を超えると独立した登録となります。費用は各国で個別に登録するより一般的には安いといえます。ただし、基礎出願が認められないなどの場合には、後から行った国際出願認められなくなる(いわゆるセントラルアタック)ということが生じてしまうので、法的には不安定な期間が生じます。
個別出願の場合は、登録したい国の専門家を代理人として雇うことになります。マドプロ出願より早い段階で現地の事情に詳しい専門家からアドバイスを得ることができますので、この点は大きなメリットです。マドプロ出願より登録までにかかる時間も短い傾向にあります。費用はやはり現地の代理人に依頼することが多くなるため、高くなってしまうでしょう。
個別出願とマドプロ出願のどちらが良いかは、ケースバイケースで判断するしかありませんが、登録したい他の国が多ければマドプロ出願、少なければ個別出願をするという考え方もあるのではないかと思います。
™️と®︎マーク
TMマークは、trademarkの頭文字からとったものですが、日本の商標法に基づくマークではないためこれを表示する必要はありません。もともとアメリカの商標表に基づくもので、日本でも慣習的に使われているものです。TMは登録されていると言う意味合いを持つものではないので、商標登録前や登録中に商標であることをアピールするために表示していても問題ありません。商標が普通名称化することを防ぐために使用するのは有効と思われます。
ところで、裁判所により普通名称化したとの判断が示された商標にはどんなものがあるのか気になって調べてみたところ、巨峰、サニーレタス、ポケベルなどがありました。確かに、、、という感じです。普通名称化しちゃってますね。
®︎マークはTMマークとは異なり、Registered Trademark(登録商標)を意味する記号です。こらもアメリカの商標制度に基づく表示であり、日本の商標法に基づく表示ではありませんので、日本で登録商標にこのマークを表示する必要はありません。ただ、商標法では、登録されていない商標を使用する場合において、商標登録表示やこれと紛らわしい表示を付ける行為が禁じられているので、登録前の商標に使用する事はやめておいた方が良いでしょう。登録商標であっても、他人が使用することにより効力が弱められ、普通名称化してしまうことがあるわけです。そうすると他の業者等にその商標を使用されても権利を行使することができなくなるので、商標を守るためにも効果的に使用したいですね。