個人的2021年のLMP2ドライバー十選
Honorable Mentions
トップ10に含めるのを最後まで迷ったドライバーの筆頭として、まずはレーシングチーム・ネダーランドのギド・ヴァン・デル・ガルデの名を挙げたい。代名詞であるオープニングラップでの非常にアグレッシブなスタイルに目を奪われるが、彼は非常にクレバーであり、加えて優れたチームプレイヤーでもあった。次いでストフェル・バンドーン。彼はブロンクビストと並び、Jota28号車の中核として素晴らしい速さを見せたものの、潜在的にレースの敗因となった可能性のあるミスをいくつか犯した。また、インターユーロポルのアレックス・ブランドルとレンガー・ヴァン・デル・ザンデのコンビは目立たないながらもこのチームに望める最大限の成果を通常持ち帰ってきた。
IMSAにおけるLMP2クラスに関してはフィールドにあった台数と独自のフォーマットを踏まえると、なかなかヨーロッパのシリーズと同列に評価することは難しいが、ミッケル・イェンセンがほとんど常に最速であったことは確かだ。
もちろんトップ10にいないWRTのチャンピオンたち――フェルディナント・ハプスブルク、ルイ・デレトラズ、ロバート・クビサは皆プロトタイプの経験をほぼ、あるいは全く持たない中で王者に相応しい仕事をこなした。彼らがリストから漏れたのはラインナップの中でより高いパフォーマンスを見せたドライバーがいたからに過ぎない。
Gドライブのルーキー、フランコ・コラピントはまだまだ耐久ドライバーとして発展途上であったとはいえ、僚友のデ・フリースに純粋なスピードでたびたび肩を並べた。また、フォーミュラの階梯を半分降りかけていた青年、ローガン・サージェントによるレッドブルリンクでのポールポジションはセンセーショナルなものであった。皮肉なことに、彼の場所とマシンを選ばない才能の顕示は再びF1への道に呼び戻されるための評価点の一つになった可能性さえある。ソフィア・フローシュは目に見える成果のない半年を送った後、シーズンの終盤にかけて何かを掴んだようであり、スポット参戦したELMS最終戦とWECルーキーテストで好タイムを刻んだ。
この節の最後に、LMP2クラスの本来の趣旨に照らして、WEC、ELMS、IMSAにおいてそれぞれ最速であったブロンズドライバーである、デニス・アンダーセン、ジョン・ファルブ、ベン・キーティングの三名の名を挙げておきたい。
10. フィル・ハンソン
ハンソンにとって今年はゴールドレーティングに昇格すると同時に、ELMSの22号車において経験の浅いドライバーを従えるチームリーダーとしての役割を初めて担う年であった。シーズンが終わった今、その面での評価はやや辛いものにならざるを得ない。彼自身によるものを含めた多くのミスと様々な不運のために本来の速さから成績への変換は上手くいかないことが多く、新参者WRTの進撃を止められずにタイトル防衛に失敗した。WECでもバーレーン二連戦を通じてタイヤとのマッチングに苦しみ、WRTの追い上げに屈する形でタイトルを失ったとはいえ、ハンソンの速さに疑いは全くなく、WEC開幕戦スパでの半ばクラス違いのオープニングスティントは間違いなく今年のハイライトであった。
9. ウィル・スティーブンス
おそらく今のLMP2フィールドにおいて最も見過ごされているであろう才能の一つ。今季のパニス・レーシングのラインナップは非常に安定しており、チームは総体として決してミスを犯さなかったが、スティーブンスの速さがなければELMSでの1勝とGドライブ・レーシングを上回る年間3位という好成績は望めなかったであろう。彼が最も輝いたのはル・マンであり、彼の戦いは好機が巡ってきた時にそれを掴む場所にいるべく同一周回に留まり続けることであった。そして65号車はレースの最後の瞬間に表彰台の一角を見事手に入れることに成功したのである。スティーブンスはマクラーレンの開発ドライバーとしての経験も持ち、LMDh時代に重宝される人材となる可能性は十分あるように思える。
8. アンソニー・デビッドソン
デビッドソンは自身の引退について、「より若いドライバーたちに対してタイムが遜色ない間に退く」ことを目標にしていたと語ったが、トヨタLMP1時代の末期に少し姿を見せた陰りはLMP2への参戦と共にいつしか消え去り、最後の瞬間まで彼の走りは輝きを放った。彼ほど耐久ドライバーに求められる資質を全て兼ね備えたドライバーはほとんど見当たらない。決してエゴを見せず、タスクを常に理解し、時計仕掛けのようにラップを刻み続ける、そのような彼の能力はJota38号車の年間3位に不可欠だったはずだ。ラストレースとなったバーレーンで、デビッドソンはクラス最速のドライバーとしてダ・コスタへとバトンを繋いだ。ピットレーンの速度違反でペナルティを受けたとはいえ、スワンソングとしては上出来だろう。
7. ロビン・フラインス
2021年のフラインスの活躍を見る限り、彼がプロトタイプで本格的にレースをするのは今年が初めてだという事実は後景に退くようである。彼にはフォーミュラE、ブランパンGT、DTMといった多彩な場での実績があるとはいえ、LMP2マシンをほぼ初めて運用するチームと遥かに経験の少ない同僚を束ね、タイトル争いのための心棒となることは簡単な仕事ではない。チームメイトのミレジはフラインスに伍するタイムを度々刻んだものの、トラブルにより片輪ずつの交換を強いられたル・マンの最終盤、チャージをかけるJota28号車を間一髪で凌ぎ切るという芸当は彼にしかできないものであっただろう。初年度での世界選手権のタイトルは悪くない報酬であり、彼が「論理的に必然」と語ったアウディのLMDh部隊への配属の道を大きく開くはずである。
6. トム・ブロンクビスト
以前のBMWワークスドライバーにとって、かつて彼のパトロンであったジャゴニャ・アヤムとその御曹司にして良き友人、ゲラエルとの再会はキャリアの新しい扉を開いたといえるかもしれない。ウィンターシーズンのAsLMSから彼らはコンビとして上手く機能し、バンドーンを加えたWEC戦ではモンツァ6時間を除くすべてのレースで表彰台に登った。トリオの中で彼は常に最も多くの周回を担当し、最も一貫性のあるスティントをこなし、Jota28号車の二度のポールポジションはどちらも彼によってもたらされた。とはいえ、結局のところ、このトリオには優勝するためのアウトプットと巡り合わせがほんの僅か欠けていたという批判はかなりの程度まで正当であり、彼らが一度でも勝利を挙げていれば、それはもう少し高い位置でのランクインに繋がっただろう。
5. シャルル・ミレッシ
イーフェイはアルガルヴェ・プロ・レーシングとWRTに見出された今季最高のルーキーとして世間の注目を集めたが、ミレッシもまた同程度に、通常のシルバーレーティングのドライバーとしての枠を超える活躍をしてみせた。彼のレース中のラップタイムは遥かに経験豊富なWRTのチームメイトであったフラインスによくマッチし、特にル・マンでのペースは印象的であった。しかし、彼の評価をここまで高いものとしたのはELMSへの2回のスポット参戦におけるパフォーマンスによるところが大きい。率直に言ってトップチームとは呼べないクール・レーシングで彼は連続してポールポジションを獲得し、どちらのレースでもファーストスティントで他を寄せ付けない逃げを見せた。彼の速さは即応的であり、妥協のないもののようだ。
4. ニック・デ・フリース
トヨタのリザーブドライバーへの就任はデ・フリースがLMP2でレースを行う機会を減らしたが、それでもこのフォーミュラE王者がマシンに乗り込んだ時はいつでも格別の走りを見ることができた。彼はル・マンのラップタイム平均においてLMP2クラスの最速ドライバーであり、夜半に僚友が起こしたクラッシュからのリカバリーという長く困難なレースを主導した。ELMSにおいても自らの手の及ばない所で歯車が全く噛み合わないシーズンを過ごしたものの、唯一の優勝となったポール・リカールのレースで勝利を手繰り寄せたオーバーテイクはデ・フリースの手によるものであった。彼のトヨタでの役割にもかかわらず、将来ワークスチームのシートを手に入れられなかった場合、それはこのスポーツにおける大きな損失に違いない。
3. フェリペ・アルバカーキ
2020年から引き続き、アルバカーキはプロトタイプドライバーとしての絶頂期の最中にあるように見える。独壇場であったスパでシーズンを始めたものの、フラストレーションの溜まるル・マンを経て、バーレーンの終盤戦でユナイテッド・オートスポーツは期待外れのペースしか生み出せずに22号車のタイトルレースは完全に崩壊した。しかしその中でもアルバカーキは一度の接触を除いて常にベストな仕事をこなした。このランキングではDPiでのパフォーマンスを考慮の対象から外しているものの、アルバカーキに関する限り、今年ELMSに代えて大西洋を股に掛けたレース活動へと再び軸足を移したことは彼の評価を下げる理由とはならない。たとえ彼が昨年と異なり、王者の称号なしで一年を終えたとしても、である。
2. アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ
今年、ダ・コスタの発揮するパフォーマンスがフィールドを圧倒しているように見える瞬間が幾度となくあった。彼が最も輝いたル・マンではハイパーポールで2番手のデレトラズにコンマ5秒の差をつけて堂々の一番時計を記録し、決勝においても彼がハンドルを握っていた間はリードを譲らなかった。また、通常のWECレースではダ・コスタのスティントの開始を合図にJota38号車が後方からの反撃に転じているように見え、ポルティマオやバーレーンで彼の傑出したペースとオーバーテイクの能力はレース終盤の華となった。モンツァとサルトで起こったマシントラブルがなければ、シルバードライバーが他のライバルチームに比して貧弱であったにもかかわらず、ダ・コスタらのトリオは最後までタイトル争いの有力馬であったはずだ。
1. イェ・イーフェイ
イーフェイをこのリストのトップに選んだ理由は、彼がシルバーレーティングのルーキーとしてだけでなく、LMP2の経験豊富なライバルたちと比較しても素晴らしいパフォーマンスを見せ、ELMSとAsLMSの両方でタイトルを獲得したことによる。彼はシーズンを通してWRT41号車のクルーの中で最速であり(とりわけル・マンは特筆に値する)、アブダビでの勝利を手放したブレーキロックを除いてほぼミスを犯さなかった。ポルシェ・アジア・パシフィック・モータースポーツへの所属により、イーフェイは来たるLMDh時代のスター候補としての地位をゆるぎないものとしたが、おそらくこれからの彼の輝かしいキャリアの中で、2021年は素晴らしきスポーツカーでのデビューイヤーというよりもむしろル・マンでの勝利を目前で失ったほろ苦い年として振り替えられるだろう。