フォーミュラEシーズン6 ドライバー紹介
(記事中の数字はシーズン5終了時のもの。)
DS・テチーター・フォーミュラEチーム (シーズン5チームランキング1位) 〇アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ (カーナンバー:13)
・国籍:ポルトガル
・生年月日:1991年8月31日
・フォーミュラE出走数:54、優勝数:2、表彰台数:5、PP獲得数:1
・シーズン5ドライバーズランキング:6位
GP3での活躍が評価されて2012年にレッドブル育成入りしたが、クビアトとの選考に敗れてF1への昇格は果たせず。代わって、引き続きレッドブルの支援を受けながらドイツツーリングカー選手権(DTM)に参戦し、以後、BMWのワークスドライバーとして地歩を固める。フォーミュラEにもシーズン1から参戦し、3戦目にして初勝利。しかしながら、その後は体制の混乱に巻き込まれて成績は低迷し、昨季は久々に調子を取り戻したシーズンとなった。今シーズンはBMW i・アンドレッティからチャンピオンチームのテチーターへと移籍、同じくレッドブル育成出身のベルニュとコンビを組むが、セカンドドライバーに甘んじるつもりはなさそうだ。
〇ジャン=エリック・ベルニュ (カーナンバー:25)
・国籍:フランス
・生年月日:1990年4月25日
・フォーミュラE出走数:56、優勝数:8、表彰台数:20、PP獲得数:10
・シーズン5ドライバーズランキング:1位
下位フォーミュラ時代からレッドブルの支援を受け、2012年にトロロッソからF1デビュー。2014年まで3シーズン参戦したものの、レッドブルへの昇格は見送られてチームを放出される。そのオフシーズンにアンドレッティからフォーミュラEにデビューし、その初戦でポールポジションを獲得する速さを見せるが、バトルでの荒さやバッテリー管理に課題を抱え、初優勝までにはかなりのレースを要した。シーズン3の後半戦より安定感を備えるようになると、すぐにトップドライバーとして台頭し、翌シーズンには全戦入賞の成績でチャンピオンを獲得、さらにシーズン5も3勝を挙げてフォーミュラE初の二連覇を成し遂げた。
アウディ・スポーツ・アプト・シェフラー (シーズン5チームランキング2位)
〇ルーカス・ディ・グラッシ (カーナンバー:11)
・国籍:ブラジル
・生年月日:1984年8月11日
・フォーミュラE出走数:58、優勝数:10、表彰台数:30、PP獲得数:3
・シーズン5ドライバーズランキング:3位
ルノー育成チームの出身であり、F3やGP2を経て2010年にヴァージンよりF1に参戦。F1は一年限りの参戦であったが、2012年に地元ブラジルでのレースにスポット参戦したことをきっかけに世界耐久選手権(WEC)を戦うアウディワークスに起用。同時期には第一世代のフォーミュラEマシンの開発にも携わった。この二つの経験からアプトのレギュラードライバーに起用され、記念すべきフォーミュラE初戦のウィナーともなった。チャンピオン経験はシーズン3の一度のみであるが、毎シーズン必ず王座争いに姿を見せる高い実力の持ち主。高IQ団体であるメンサ会員であり、ロボレースや電動自転車サービスの経営にも関わる多彩な一面も持つ。
〇ダニエル・アプト (カーナンバー:66)
・国籍:ドイツ
・生年月日:1992年12月3日
・フォーミュラE出走数:58、優勝数:2、表彰台数:10、PP獲得数:2
・シーズン5ドライバーズランキング:7位
父はアプト・スポーツラインを経営するハンス=ユルゲン・アプト、叔父はレーサーのクリスチャン・アプトというレーシング一家に生まれる。GP3やGP2への参戦を経て、フォーミュラE初年度から父のチームであるアプトより出走。当初はチームメイトのディ・グラッシに大きく遅れを取り、「縁故採用」といった批判も当初は見られたものの、シーズン4では2勝を挙げてチームタイトルに貢献すると共に、エースのディ・グラッシを脅かす存在にまで成長した。レーサーとしての活動の他にインフルエンサーとしても活躍しており、YouTubeへの動画投稿や自身のブランドの展開も盛んに行っている。
・エンビジョン・ヴァージン・レーシング (シーズン5チームランキング3位)
〇サム・バード (カーナンバー:2)
・国籍:イギリス
・生年月日:1987年1月9日
・フォーミュラE出走数:58、優勝数:8、表彰台数:17、PP獲得数:5
・シーズン5ドライバーズランキング:9位
ユーロF3やGP2を経てメルセデスのテストドライバーも務めたが、2013年にGP2で年間2位を獲得した時には既にF1へのステップアップのタイミングを逃し、翌年にフォーミュラEと世界耐久選手権(WEC)へと転向。初戦から一貫してヴァージンから出走し、これまでの全シーズンで勝利を挙げている数少ないドライバーの一人である。年間順位も5位、4位、4位、3位と推移し、シーズン5も3戦目で勝利を挙げる順調な滑り出しであったが、予選出走順の不利や接触に翻弄されてまさかの9位に終わった。WECとのカレンダーの重複が予定されている今シーズンはフェラーリ陣営のAFコルセを離れ、フォーミュラEに専念する形でタイトル争いの仕切り直しを狙う。
〇ロビン・フラインス (カーナンバー:4)
・国籍:オランダ
・生年月日:1991年8月7日
・フォーミュラE出走数:35、優勝数:2、表彰台数:5、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:4位
2011年にフォーミュラ・ルノー・ユーロカップを、翌年にワールドシリーズ・バイ・ルノーを制し、有望な若手として注目を浴びる存在であったが、レッドブル育成への加入を固辞した頃から運命が暗転、資金を持ち込んでザウバーやケータハムのテストドライバーを勤めたものの、F1デビューは果たせなかった。フォーミュラEにはシーズン2,3にアンドレッティから出場していたが、アウディのワークスドライバーとなった自身とは対照的に、チームがBMWとの関係を深めていったためにシートを喪失。昨季はアウディ製パワートレインを載せるヴァージンから1シーズン振りの復帰であったが、2勝を挙げてチームメイトを上回る望外の結果を得た。
日産・e.dams (シーズン5チームランキング4位)
〇オリバー・ローランド (カーナンバー:22)
・国籍:イギリス
・生年月日:1992年8月10日
・フォーミュラE出走数:14、優勝数:0、表彰台数:2、PP獲得数:3
・シーズン5ドライバーズランキング:10位
イギリスの下位フォーミュラで頭角を現し、スカラシップを得てヨーロッパのミドルフォーミュラに参戦。2015年にワールドシリーズ・バイ・ルノーでチャンピオンとなると、翌年からはGP2/F2に転じて2017年には年間3位を獲得した。2018年はウィリアムズの開発ドライバーを務めながら耐久レースに散発的に参戦していたが、シーズン5開幕を直前にしてトロロッソへと引き抜かれたアレクサンダー・アルボンの代役としてDAMSからレギュラー参戦。決勝では若さゆえのミスも見られたものの、予選では時にエースのブエミを上回る速さを見せ、彼に並ぶシーズン3度のポールポジションを獲得。ルーキー年間最上位となる10位で初シーズンを終えた。
〇セバスチャン・ブエミ (カーナンバー:23)
・国籍:スイス
・生年月日:1988年10月31日
・フォーミュラE出走数:56、優勝数:13、表彰台数:25、PP獲得数:16
・シーズン5ドライバーズランキング:2位
レッドブル育成を代表するドライバーの一人であり、ユーロF3やGP2を経て2009年にトロロッソからF1デビュー。そのフィードバック能力は高く評価されており、2011年を以てF1のレギュラーシートを失った後も、現在に至るまでレッドブルの開発ドライバーを務めている。フォーミュラEでもシリーズ開幕時からトップドライバーの一人として君臨し、優勝13回、ポールポジション16回の記録はいずれも最多。昨年からはe.damsの日産ワークス化、レッドブルのホンダPU搭載により、トヨタのLMP1マシンを操る世界耐久選手権(WEC)と合わせて、国内3メーカーの世界選手権への挑戦に何らかの形で関わることとなった。
BMW i・アンドレッティ・モータースポーツ (シーズン5チームランキング5位)
〇アレクサンダー・シムス (カーナンバー:27)
・国籍:イギリス
・生年月日:1988年3月15日
・フォーミュラE出走数:13、優勝数:0、表彰台数:1、PP獲得数:1
・シーズン5ドライバーズランキング:13位
2008年にイギリスの有望な若手ドライバーに与えられるBRDCアワードに輝き、GP3までフォーミュラの道を歩んだが、2012年にマクラーレンのファクトリードライバーとしてGTに転向。2年後にはBMWのGT部隊に移籍し、ブランパンGTシリーズや北米のIMSAなどを主戦場に戦った。シーズン3には既にアンドレッティのテストドライバーとしてフォーミュラEには関与していたものの、レギュラー参戦は昨季のシーズン5が初めて。しかしながら、早くも第2戦マラケシュでトップを争う速さを見せた。ダ・コスタが移籍した今シーズンは二年目の飛躍と共に、エースとしてチームリーダーとしての役割が期待される一年となる。
〇マクシミリアン・ギュンター (カーナンバー:28)
・国籍:ドイツ
・生年月日:1997年7月2日
・フォーミュラE出走数:10、優勝数:0、表彰台数:0、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:17位
弱冠22歳は今年もフォーミュラE最年少ドライバー。2011年に四輪レースにデビューし、2015年からはユーロF3に参戦。メルセデスのサポートを受けながらジョージ・ラッセルやランド・ノリスと鎬を削った。苦戦した一年のF2シーズンを経て、フォーミュラEにはシーズン5にGEOXドラゴンからデビュー。チームが結んだフェリペ・ナスルとの契約のために自身は3戦を欠場する羽目となったものの、後半戦はエースのロペスを上回る速さと安定感を示した。この活躍が評価され、ダ・コスタの後任として今シーズンは前年度躍進したBMW i・アンドレッティへと大抜擢、シーズン前テストでも好タイムを連発して更なる高みを目指す。
マヒンドラ・レーシング (シーズン5チームランキング6位)
〇ジェローム・ダンブロジオ (カーナンバー:64)
・国籍:ベルギー
・生年月日:1985年12月27日
・フォーミュラE出走数:58、優勝数:3、表彰台数:9、PP獲得数:2
・シーズン5ドライバーズランキング:11位
GP2時代は小林可夢偉のチームメイトとして名を知られ、2011年にヴァージンからF1に出走。その後ロータスでリザーブドライバーを勤め、出走停止となったロマン・グロージャンの代役ともなった。近年は専らフォーミュラEでの活動を中心としており、シーズン1,2ではいずれもトップチェッカーを受けたディ・グラッシの失格により勝利を得た。昨シーズンはドラゴンからマヒンドラへと移籍し、2戦目で「真の」初勝利を挙げてランク首位に躍り出る好調なスタートであったが、シーズン中盤以降は中段へと飲み込まれてしまった。婚約者はハプスブルグ家の末裔にして、同じくレーサーのフェルディナントの姉であるエレオノーレ・ハプスブルク。
〇パスカル・ウェーレイン (カーナンバー:94)
・国籍:ドイツ
・生年月日:1994年10月18日
・フォーミュラE出走数:12、優勝数:0、表彰台数:1、PP獲得数:1
・シーズン5ドライバーズランキング:12位
2013年にメルセデスのジュニアプログラムに加入し、ドイツツーリングカー選手権(DTM)に参戦。2015年に最年少でDTMのチャンピオンを獲得すると、タイトルを引っ提げてマノーからF1デビュー。ザウバーに移籍した翌シーズンを含めてマシンには恵まれないキャリアであったが、その中でも数度の入賞を果たして世界を驚かせた。F1シート喪失後の2018年末にメルセデスとの契約を解消してマヒンドラからフォーミュラEにデビュー。第4戦メキシコでは初優勝を文字通り「目前」にしてスローダウンする悲劇に見舞われた。ロマン・グロージャンのシートを求めてハースに接触を図っていたことが報道されるなど、F1への未練はまだまだ強い様子。
パナソニック・ジャガー・レーシング (シーズン5チームランキング7位)
〇ミッチ・エヴァンス (カーナンバー:20)
・国籍:ニュージーランド
・生年月日:1994年6月24日
・フォーミュラE出走数:37、優勝数:1、表彰台数:4、PP獲得数:1
・シーズン5ドライバーズランキング:5位
母国ニュージーランド時代は日本でもお馴染みのニック・キャシディと切磋琢磨を重ねた仲で、2011年にヨーロッパへ。F1ドライバーのマーク・ウェバーの世話になりながらGP3に参戦を始め、2012年にはタイトルを獲得した。4シーズンをGP2で過ごした後、フォーミュラEへのワークス参戦を始めるジャガーのドライバーに選出。ジャガーの進歩と軌を一にして、シーズン4には初ポールと表彰台を、シーズン5にはロッテラーとの激闘を制して初優勝を記録した。さらに2位表彰台を2度得て、最終戦までタイトル獲得の可能性を残す大健闘のシーズンとなったが、今シーズンもこの好調を維持し、トップドライバーとしての地位を確立したい。
〇ジェームス・カラド (カーナンバー:51)
・国籍:イギリス
・生年月日:1989年6月13日
・フォーミュラE出走数:0、優勝数:0、表彰台数:0、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:― (初参戦)
イギリスF3ではベルニュと、GP3ではボッタスとタイトルを争い、GP2に昇格。その実力はランキング以上に高く評価され、2013年にはフォースインディアからフリー走行に数度出場した。翌年からはマネージャーのニコラス・トッドの手引きもあって、世界耐久選手権(WEC)でフェラーリを走らせるAFコルセに起用され、特に2017年にジャンマリア・ブルーニが宿敵ポルシェに移籍した後は、フェラーリ陣営のエース格としてWEC、IMSA、ブランパンGTなどで縦横無尽の活躍をしている。シーズン5を走ったアレックス・リンを押しのけての起用はサプライズを以って受け入れられたが、久々のフォーミュラでどこまでGTでの速さを活かせるか。
ヴェンチュリー・レーシング (シーズン5チームランキング8位)
〇フェリペ・マッサ (カーナンバー:19)
・国籍:ブラジル
・生年月日:1981年4月25日
・フォーミュラE出走数:13、優勝数:0、表彰台数:1、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:15位
2002年にザウバーからF1デビューし、2006年には同郷のルーベンス・バリチェロの後任としてフェラーリに抜擢。陽気なキャラクターの一方で、1ポイント差で敗れた2008年のタイトル争いや翌年の頭部への負傷による長期離脱、フェラーリ時代のセカンド待遇など、不遇なエピソードにも事欠かさないこともあって、F1関係者やファンの大勢から愛されるドライバーであった。2014年からは中堅ウィリアムズに移籍して度々表彰台に顔を見せ、2017年に惜しまれつつもF1から引退。F1時代よりセカンドキャリアとしてフォーミュラEへの関心をしており、約一年の休養を経てヴェンチュリーから参戦。F1で馴染み深い9戦モナコでは3位表彰台を獲得した。
〇エドアルド・モルタラ (カーナンバー:48)
・国籍:スイス
・生年月日:1987年1月12日
・フォーミュラE出走数:22、優勝数:1、表彰台数:3、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:14位
ジュネーヴ出身でスイスとイタリアの二重国籍を持つドライバーであり、フォーミュラEではスイスのライセンスで走行する。2010年にユーロF3の王座に輝き、翌年からアウディワークスの一員としてドイツツーリングカー選手権(DTM)に参戦。2017年からは同選手権を戦うメルセデス陣営に移籍した。「マカオマイスター」として特にその名を知られ、2009-10年にF3で史上初の連覇を果たしたことに加え、GTレースでも4勝を挙げている。フォーミュラEにはメルセデスとの関係が深いヴェンチュリーから参戦。二年目となった昨シーズンの第5戦香港ではトップチェッカーを受けたバードのペナルティにより初優勝を達成。シーズン4の雪辱を果たした。
メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム (シーズン5チームランキング9位[HWA])
〇ストフェル・バンド-ン (カーナンバー:5)
・国籍:ベルギー
・生年月日:1992年3月26日
・フォーミュラE出走数:13、優勝数:0、表彰台数:1、PP獲得数:1
・シーズン5ドライバーズランキング:16位
マクラーレンのヤングドライバープログラム出身のドライバーで、2015年のGP2チャンピオン。2年間のGP2時代に成し遂げた11勝、26回の表彰台はGP2の歴代最多記録となる。スーパーフォーミュラでの修行を経て、2017年にマクラーレンからF1デビュー。しかしながら、チームの低迷期と重なったこともあり、チームメイトのフェルナンド・アロンソには大きく水を開けられた。マクラーレンを放出されたところにトト・ウォルフから直々のオファーがあり、メルセデスの開発ドライバーとフォーミュラEレギュラーに起用。ルーキーシーズンの昨季はHWA初年度の中々走らないマシンを駆って幾度となく予選上位に顔を見せる活躍を見せた。
〇ニック・デ・フリース (カーナンバー:17)
・国籍:オランダ
・生年月日:1995年2月6日
・フォーミュラE出走数:0、優勝数:0、表彰台数:0、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:― (初参戦)
カート時代より「ロン・デニスの秘蔵っ子」として知られ、フォーミュラでのステップアップを重ねていたが、成績の伸び悩みとマクラーレンの体制変更の動乱が及んで2018年末にマクラーレンの育成プログラムから放出。しかしながら、翌年はその逆境を跳ね返すかのようにF2で安定した成績を見せ、1ラウンドを残してチャンピオンを獲得した。その一方で耐久レースへも活躍の幅を広げており、LMP2で世界耐久選手権(WEC)に参戦するほか、トヨタからルーキーテストに参加することも先日発表された。フォーミュラEには本格参戦を始めたメルセデスからデビューするが、奇しくも同じくマクラーレン育成出身のバンドーンとコンビを組む。
GEOX・ドラゴン (シーズン5チームランキング10位)
〇ブレンドン・ハートレー (カーナンバー:6)
・国籍:ニュージーランド
・生年月日:1989年11月10日
・フォーミュラE出走数:0、優勝数:0、表彰台数:0、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:― (初参戦)
レッドブル育成出身ドライバーの一人であり、2009年にはF1チームのリザーブドライバーに選ばれるが、その後成績が低迷したことから育成を放出、その後はメルセデスのシミュレータドライバーを勤めながら耐久レースに参戦していた。転機が訪れたのは2014年。この年から参戦したポルシェLMP1のドライバーに選ばれると一気に耐久のトップドライバーとして開花し、2017年にはこの活躍を見た古巣のトロロッソから声がかかって約十年越しのF1デビューを果たした。現在はトヨタLMP1でレギュラードライバーを、フェラーリF1で開発ドライバーを勤めており、多忙な中でドラゴンからフォーミュラEデビューを果たす。
〇ニコ・ミュラー (カーナンバー:7)
・国籍:スイス
・生年月日:1992年2月25日
・フォーミュラE出走数:0、優勝数:0、表彰台数:0、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:― (初参戦)
今季4人が出走するスイス人ドライバーの一人であり、GP3、ワールドシリーズ・バイ・ルノーを経て2014年にアウディからドイツツーリングカー選手権(DTM)に参戦。2019年には安定感を武器にランキング2位を獲得した。近年はGT3、プロトタイプ、ストックカー、ラリークロスなど様々なカテゴリーへの挑戦を行っており、今シーズンはフォーミュラEが新たにその一つに加わることとなる。シーズン4よりアプトのリザーブドライバーを勤め、テストでは速さを見せたものの、チームはダニエル・アプトとの契約延長を選択し昇格はならず。代わってドラゴンからデビューし、ブレンドン・ハートレーとルーキーコンビを組む。
NIO・333・フォーミュラEチーム (シーズン5チームランキング11位)
〇オリバー・ターベイ (カーナンバー:3)
・国籍:イギリス
・生年月日:1987年4月1日
・フォーミュラE出走数:47、優勝数:0、表彰台数:1、PP獲得数:1
・シーズン5ドライバーズランキング:20位
ミドルフォーミュラで活躍しながらケンブリッジで工学の学位を修めた異色のレーシングドライバーで、フィードバック能力の高さは2012年から現在に至るまでマクラーレンの開発ドライバーを勤めていることからも窺える。その傍らで耐久レースの経験も豊富で、2015年から翌年にかけてはマクラーレンとホンダの繋がりを活かしてSUPER GTにも参戦していた。フォーミュラEにはシーズン1の最終戦にデビューし、初戦からチームメイトのネルソン・ピケの王座獲得のサポート役を果たした。以後、このチャンピオンを上回る成績を残してチームリーダー的存在へと成長したが、昨シーズンはマシンの競争力不足で苦しいシーズンを過ごした。
〇馬青驊 (カーナンバー:33)
・国籍:中国
・生年月日:1987年12月25日
・フォーミュラE出走数:9、優勝数:0、表彰台数:0、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:― (シーズン2, 3, 4参戦)
近年とみに存在感を増している中国人ドライバーのはしり的存在であり、2012年にHRTの育成プログラムに加入。同年のルーキーテストと数度のフリー走行に出場して初めてF1マシンをドライブした中国人となった。2014年に世界ツーリングカー選手権(WTCC)を戦うシトロエンに起用されるなど、中国市場を意識した起用が目立つものの、WTCCや後継のWTCRでは数度の優勝も経験している実力派。フォーミュラEにはチームアグリ、テチーター、NIOからそれぞれスポット参戦の経験があり、NIOが中国の力生レーシングに売却された今季は1シーズン振りにフォーミュラEにカムバックすることとなった。
タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム (初参戦)
〇ニール・ジャニ (カーナンバー:18)
・国籍:スイス
・生年月日:1983年12月8日
・フォーミュラE出走数:2、優勝数:0、表彰台数:0、PP獲得数:0
・シーズン5ドライバーズランキング:― (シーズン4参戦)
黎明期のレッドブル育成チームに所属し、2006年にはサードドライバーとしてトロロッソから出走。F1から離れた後もレッドブルの支援を受けながらチャンプカーやA1グランプリに参戦を続け、2009年からは耐久レースに転向した。プライベートチームでの激走が評価されて2014年にはポルシェLMP1のメンバーに起用、ここでもトップドライバーとして2016年のチャンピオンと同年のル・マンを制した。フォーミュラEにはシーズン4にドラゴンからデビューしたが、チームとポルシェの提携交渉が破談した余波でわずか2戦を走っただけで離脱。今シーズンは改めてポルシェからフル参戦デビューを果たす。
〇アンドレ・ロッテラー (カーナンバー:36)
・国籍:ドイツ
・生年月日:1981年11月19日
・フォーミュラE出走数:25、優勝数:0、表彰台数:4、PP獲得数:1
・シーズン5ドライバーズランキング:8位
元はジャガー育成に所属していたが、育成チームの解散と共にシートを求めて来日。2017年を最後に日本を離れるまで、15年もの長きに渡り同時代の「ガイジン」ドライバーの筆頭としてSUPER GTやフォーミュラ・ニッポンで活躍した。日本での活躍と共に、2009年からはル・マン24時間にも挑戦し、初年度から印象的な走りを見せて世界にその名が知られるようになった。その後はアウディLMP1の中核的なドライバーとして3度のル・マン優勝を果たし、アウディ撤退後はポルシェやレベリオンに移って世界耐久選手権(WEC)を戦った。今シーズンは2シーズンを戦ったテチーターから初参戦のポルシェワークスに移籍し、初優勝を狙う。