旅装を解く
業務上の出張旅行であっても、プライベートな旅であっても、ここ最近は、帰ったら直ちに旅装を解きたい気持ちに駆られる。
荷物を片付けて元あった場所に仕舞う。
使用した衣服等を洗濯する。
お土産があるとすれば、その仕分けを行う。
30代の頃までは、旅行鞄の中身をそのままに、(荷物の片付けめんどくさいなあ、と感じつつ)別の用事をしようとしたことの方が多かったのだが、いつ頃からだろう、何より、荷物という側面に関していち早く、モードチェンジしたくなってしまう。
出張旅行等の場合は、特に気持ちを切り替える目的もあって、比較的すぐに帰着後の整理をしていたのだが、プライベートな旅で、それも、余韻を味わいたいような楽しさに満ちたものであっても、まず、旅行鞄を空っぽにしたい、と半ば衝動のようなものが内から湧き出るようになっている。
ここ最近も、宿泊を伴う出張旅行があった。
その最終日は、勤務時間の関係もあり、午後のかなり早い時間に帰れることになっていた。
早い時間に仕事を離れられる場合は、「あの店に寄ろうかな」とか、「お茶して帰ろうかな」とか、「スーパーでアイスクリームを買って帰ろうかな」とか、思ってしまうのだが、今回の場合は、そんなことよりも、まず思いついたのが「洗濯したい」ということだった。
その思いのままに、一目散に、家へと向かった。
そのまま、まだ太陽が高い時間帯に、洗濯物を屋外に干した。
荷物を全部片付けて、旅行鞄は、空っぽになった。
「旅装を解く」このことオンリーの欲求に駆られたのは、自分自身の中のどういう作用なのだろうか。
ほどなくして、次なる出張宿泊がある。
その時には、どんな感慨を抱くのだろうか。