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ペナンに、出会い直す。
海外でも国内でもそうであるのだが、
その土地の記憶を上書きして過去を払拭したいところと、思い出の地として大切にしておきたいところとがある。
「上書きしたい」ところには、嫌な感情、未熟ゆえの恥ずかしいエピソードとか今思い出しても自分自身を恥じてしまうような記憶が、その大小多い少ない濃淡などの度合いはあれど、厳然と自分の中に存在する。
自分のホームグラウンドであるマレーシア🇲🇾で、その「上書きしたい」地、それは、2008年に世界遺産になり、リゾート都市として人気の観光地でもある、ペナンである。
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自分の中に残るネガティブな記憶を払拭してニュートラルな存在にして、単なる旅先にしてしまうことが今回のペナン行きの目的だったのかも知れない。
いわば、ペナンに「出会い直す」ための訪問。
ペナンは実はこれまで4回行っている。
2006年10月には、JICA赴任時の領事館あいさつの用事があり、そのついでにこの地を観光した。
2007年2月には、マレーシアへのインド系移民の祭り『タイプーサム』見学に、JICA仲間と一緒に休みを取って赴き滞在した。
同じ2007年11月には、JICA隊員の同じ職種の学習会、ということで訪れた。
実は、この滞在の際、自分自身のメンタルの状況もあり、当時の人間関係の状況に強い強い同調圧力を感じて過ごしたペナンは、ただただ疲れた、そして「(当時住んでいたマレー半島東海岸の)トレンガヌに帰りたい」とばかり思っていた、ということが記憶に残っている。
心許せない他者に気を遣って滞在する場所ではない(のにここにいなければならない)。
そんな感じの重苦しい記憶が、それからの僕にとってのペナンへの印象を強く形作っていた。
もう一回は、2008年8月。
航空券の関係で、ペナンに寄る機会があったのだ。JICAから帰った後の2008年の夏、という人生のタイミングは、今から思い出しても払拭したいことがあまりに多い「迷走」の期間、という位置付けである。
その旅自体行くべきだったのかどうなのか、人生において著しい迷いの中にいたタイミングでの旅。
ペナン自体にまったく罪はない。
その時、わざわざ会ってくれた人に対して失礼だったとか、厚かましかったな、とか、そんな自分自身を恥じたいような印象がペナンという地に付随していた。
僕のペナンの記憶で払拭したかったのは、上記の4回のうち、記述の文章が長ったらしくなってしまった17年前、16年前の後半2回の分である。
今回、2024年7月末〜8月にわたる15日間の旅は、「タイから陸路で国境を越える。ハジャイ🇹🇭からクアラルンプール🇲🇾」ということが第一の目的。
その途中でどこに滞在するのかは、まったくの任意で、実は「どこでも良かった」と言える。
旅をルーティングをするプロセスの中で、何となく、2000年代中頃のことをぼんやり思い出し、そろそろペナンに行っておかなきゃな…という感慨が起こってきて、いやな感じの思い出を上書きしておきたいな、と、いう流れで、滞在候補地に決めた。
そういう経緯もあり、これまでの記憶や、意気込みめいたものや、不安や、複雑な思いを胸中に、2024年8月7日、僕は、5度目のペナンの地を訪れた。
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結果として。
めでたく僕自身、今回の2泊の滞在によってペナンのネガティブな記憶をしっかり上書きし、この地と「出会い直す」ことができた。
それは、この旅を経て、僕の中で著しくポジティブな新しいメモリーになった。
ありがたいことに、今回の旅、ペナンに興味を持つ何人もの友達への情報収集、というミッションもあり、夢中になってこの地のいろいろな事物を収集しつつの滞在時間だった。
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自分自身の経験だけでなく、この地に興味を持つ旅仲間と体験を共有することによって、自分のほうに向きすぎていた矢印を、ペナンにしっかり剥けることができ、そのことにより、16年前、17年前の払拭できた、という要素が大きいのは間違いない。
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もう、ペナンを旅の思い出の地として、語れるようになっている。
僕は、ペナンと、出会い直した。