死とセックス
セックスの時、割と死ぬ事を考える。
途中から私は相手の体を通り越して宙に浮いて、早く終わらないかななんて思うし、人間って無防備でバカバカしい格好でセックスをするよな、と笑えてくる。どんなに偉くても頭が良くても一生懸命に裸で他人に対して腰を振るし、本当に行為自体に意味が無いように感じてしまう。
高二の真夏のすごく暑い日、違う学校の生徒に無理やりに口説かれて、あれよあれよという間に無理やりに実家まで突撃され、無理やりに私の初体験は終わった。
好きでもないし、気持ちよくもなかった。親にバレないかとか、こんなことを大人はしていたのかとか、高二で初体験は早いのかな遅いのかな、とか色々な事が頭を駆け巡った。
途中、祖母が部屋の扉を少し空けた気がしたし、気が気じゃなかった。
あの時好きな人と全てを上手くやれていれば、今後の人生は変わっていたのだろうか。
その後はなんだか流されてばかりいた。
ツイッターで''姉がお試しで色んな人と付き合ってる''というツイートを見て、私もそうしてみようと思った。
お試し、ほんとお試し感覚だった。
最初こそ罪悪感は生まれたが、二股なんて当たり前に出来るようになった。最低だ。最低の人間の誕生だった。あの時、倫理観を殺してついでに私も殺してしまった。
大学に入って半年くらいして、元彼の人数や経験人数を数えるのをやめた。単純にこんがらがるし、面倒だし、思い出せない人が沢山出てきたからだ。周りは大学に入って誰とヤッただの、経験人数何人目だのでマウントを取り合っていたが、そんな人達のことをかなり下に見ていた。私が1番しょうもないのにね。
好きな人とデートする金欲しさに1度、いや2度ほどおじさんに抱かれて金を得た。カフェのバイトと騙されてラウンジで2ヶ月だけバイトしたりもした。でも私は決定的に向いていないのだと思ってやめた。心がものすごい速さで疲弊をしていったのだ。私はお金よりプライドが圧倒的に大事らしい。水商売だって才能がいるよね。
セックスが愛し合ってる人だけに許される行為だったら世界は変わっていたのかな。うーん、そんなには変わらない気がする。愛という物が絶対的な永遠だとは思えないし、私はやっぱり相手の体を通り越して天井辺りからマヌケに交わる様を見てしまうと思う。
まあ、そんな余裕もないくらい気持ちが良いセックスもあるのだけれどね。
今日も私達はだいぶ刹那的で、至って本能的な行為をしてしまう。人間なんてそんなものなのかなあ。