中学生
バンドをやろうと思った。
軽音楽部に仮入部して、ギターを親に買ってもらうべく一緒に楽器屋に行った夜、親にバンドなんて大変なんだからやめとけと言われて、呆気なく辞めた。
その後バドミントン部に入部して、練習したりサボって部室で漫画を読んだりしていた。
荒れていた地元の小学校から一変してお嬢様学校に入学した私は、授業中の静けさに驚いたり、お金持ちの文化に触れて小さくなったりしていた。
同級生たちはみんな元気で良い子達だったし、人見知りなりに友達も出来た。グループ内でのいざこざはあった気はするが、今となっては忘れた。
世の偏見通り女子校だからいじめが激しいなんて事はなかったし、男女のあれこれがない分平和だった思う。みんな純粋で可愛かった。ただ、女の子同士で付き合っている子もいた。その子達は大学に入ったら普通に男の子と付き合っていた。なーんだ。そんなもんか、と思った。
私はと言うと全くその気はなく、かと言って男の子と接触する機会もなかったので通学路で見る男の子を目で追ったり、小学校の同級生にメールを送ってみたりしていた。このままだと一生誰とも付き合えないしエッチも出来ない!と思って家のパソコンでこっそり「女子校 結婚」「女子校 彼氏」「女子校 出会い」などと調べて一喜一憂したりしていた。
そんな私にも唯一男の子と触れる機会があったのが男子校の文化祭だ。普段異性との関わりがない男子校や女子校の生徒たちはこぞって文化祭で出会おうとするのだ。
覚えたてのメイクで他校に初めて足を踏み入れ、初めてナンパというものをされてメールアドレスを交換して、Re:が続いていく事に喜びを覚えた。
そのうち何人かとデートをしたりして、中3で初めて彼氏が出来た。あの頃は映画とかを見てお互いお母さんの夕飯を食べる為に夕方に解散して、本当に可愛かったな。キスくらいしたんだったっけな。
バンドが出来なかったことが頭のどこかにあったのか、弾けたいと思いながらも大人しく、無難に過ごしていた。
本当は性格良くないし人見知りで大人しくて失敗をよくするだけなのに、「癒される、天然」と言われることに違和感を感じ始めていた。(心が動き始める高校時代へつづく)