移ろいゆく日々、日常を慈しむための空間をつくる
約5か月前、5年間務めた会社を退職した。
毎晩通った通勤路にあるアパートの階段の蛍光灯は、わたしが通っているあいだにチカチカと命を燃やし果て、また新たな命を灯すことを覚えていた。
はじめてこの地に降り立ったときは18歳だった。
自転車の空回りするチェーンの音に耳を塞ぎ、泣きながら見上げた関山越しの満月を鮮明に取り戻す。この地を歩いていた頃の生活におけるあれこれも、そこいらの景色に巻き付くようにしてまざまざと呼び覚まされる。
つやつやと光る金色の菜の花を横目に自転車を走らせた