「Outer Wilds」がとにかく素晴らしかった話(ネタバレ絶対あり)
「Outer Wilds」、DLCであるEchoes of the Eyeまでクリアしまして、あまりにも素晴らしかったので感想を書きます。なぜなら今、クリアした後の余韻ですでにプレイした人の感想を無限に検索して読んでいるため、また私ももれなく布教したいという衝動にかられたためです。なので今回、ネタバレなしの作品紹介とネタバレありの感想を別々に同時に公開しています。
この記事はネタバレありの感想。遠慮せずに書きたいこと書いてるので本編&DLCクリア済みの方のみお読みください。すでにOuter Wildsの評判を聞いていて興味があるという人はこの時点で迷わずこの記事をブックマークかなんかに入れて閉じ、すぐにでも遊んでください。
いやー、すごかった。本当にすごかったね。最初のうちはわけわかんないまま遊んでて、上下わかんなくて酔うし宇宙服着忘れてすぐ死ぬし、大変でした。とはいえ最初のほうはわけわかんないだろうなという覚悟のうえで遊び始めたのでわりと平気でしたし、各所の絶賛ぶりをみるにこのわからなさは信用していいわからなさだな、という直感が働いていたのでそれほど苦痛ではありませんでした。でしたが、3D酔いは酷かった。もともと塊魂ですら無限に遊べるくらいには3Dに強い方ではあるんですが、さすがに宇宙空間で上下わかんないし重力の向き変わるギミックあるしでしんどかったですね。
ここからは探索した星の順に書いてく。
巨人の大海
なんか最初に行くべきみたいな空気が出てたので。1回目の到着では幽霊物質にガンガン踏み込んでいってGabbroに話しかける前に死にました。
何回目かのループで着陸しようとしたら初めて見る塔みたいなところに着いたので登っていき、そのまま最後まで行きました。それが量子試練の塔で、竜巻の向きを見極めて突入しないといけない場所だと知るのは後になってからの話。一発でクリアして未探索マーク消えたので気づきませんでした。竜巻の向きの話聞いてワクワクしながら突入したら見覚えのある塔だったときの感情よ。
また、ループの最初に必ず見る変な爆発が軌道探査砲で、毎回違う方向に打ってて、それが実はとんでもない回数を繰り返していて、そのおかげで眼を発見したために今に至っている、というのが本当にしびれる。よすぎる。ループものの醍醐味が詰まってる。
木の炉辺
あのイバラにリトルスカウト投げた時に感じたゾワゾワ感は一生忘れられない。
あと、量子の詩のところの未探索マークがずっと消えなかったんだけど、シグナルスコープで量子のかけらの音聞かないと消えないことに気づくのにメチャクチャ時間がかかってしまった。累計2ループ分くらい無駄にしていた。
行き詰まった時に気分転換で話しかけたらたまーに住民のセリフが変わってるのがよかった。しょっちゅう変わるようならしょっちゅう聞きにいかないといけないので。
脆い空洞
はじめて到着した時はかなり崩壊が進んでた頃だったんでわけわかんなかったなー。そのあとも調べるところが無限に出てくるし常に形状が変わるので位置関係がまったく掴めずずっと大変な場所でした。位置関係に関してはクリアした今もよくわかってない。マーカー万歳。
最初は脱出ポッドから辿ってったんですが、はじめてNomaiの存在を強く感じた場所でした。巨人の大海ではもうNomaiのメッセージログに住み慣れてる感があったのでよくわからないうちは同じ種族だけど無関係なのかな、くらいのぼんやりした理解だったんですが、探索を進めれば進めるほどすべてがつながってることに気づけるんですよね。それがこのゲームのすばらしいところ。
重力反転してる道をずっと進んでったら途中が崩壊してたので、これはループ始まってすぐ行かないと辿り着けない所だ!と思ってすぐリセット(この時は瞑想を知らなかった)して行ったらとっくに探索済みの初期のMomaiの居住区に着いたときの感情よ。
南部観測所に入れれば絶対進展するぞ!そこまではがんばろう!と思って空中都市を上下してるうちに気付いたらひどい3D酔いしてましたね。探求心VS吐瀉。
侵入者
ロケットをどかせることに気付いて意気揚々とロケット呼び戻してから侵入者に行ってロケットのあった場所を見てぼうぜんとしたことのある人と飲みに行きたい。今となってはこの徒労感すらもOuter Wildsの世界を構成するピースの一つなんだよな、と納得しているが。
ここの内部探索も混乱しっぱなしでした。4択の道の次、これダメージ覚悟で幽霊物質に突っ込むしかないのでは?と思いながら突っ込んであっさり死んだりもしました。あんなところに次の道あると思わないじゃん。
Nomaiはこれで絶滅したのか、と知ったときの切なさ。もちろんもういないことは把握してましたけど、それでもその志半ばっぷりが切ない。
闇のイバラ
これも後から知って笑っちゃった話なんですけど、何回目かの探索で外殻部に降り立ったときにうっかり落ちてしまって、本当に偶然クラゲのある場所にたどり着いたことがありました。後からFeldspar経由でそこにワープしたときの感情よ。こんなんばっかりだ。
しかしまあアンコウ最後まで嫌だったな。急に大きな音とかかなり苦手なんで音量下げて進めたりもした。宇宙船よりは体一つで行ったほうが微調整しやすいかと思って宇宙服で船にたどり着こうと思ったら途中で燃料切れしたりもしました。
赤い場所の卵?種?みたいなのも気持ち悪いし本当に終始嫌な場所でした。Nomaiがバラバラになった原因でもあるし。
双子星
実は最後に探索したのが双子星で、思い返すと早めに来とけばよかったなーと後悔している。
だって「砂が常に移動してて刻一刻と状況が変わる」っていかにもめんどくさそうじゃないですか。観察して観察して少しずつ理解していくのはこのゲームの醍醐味ではあるけども。
太陽ステーションに行く方法、というかあのサボテンの山をどう乗り越えるのか全然わかんなくて、ものすごいジェットパック操作技術要求されるじゃん……って絶望して何度も試してました。しかもなまじ一回だけ(死にかけながらも)成功したもんだからほかの方法がなかなか思いつかなくて大変だった。その成功した回もすでに太陽ステーションが飲み込まれていたのでワープできず、その時は理由がわからず混乱してしまったしな。本当にちゃんと理論立てて情報を整理しないといけないゲームなんだよな。
あと大変だったのは湖底の洞窟。かけらに乗って電気を消すことはわかったんだけどかけらに乗りながら電気のスイッチを操作する方法がわからず2回くらい砂に埋もれてしまった。偶然ヘッドライトに気づかなかったら沼ってたと思うと怖い。あとNomaiの骨が急に立ち上がるのやめてほしい。
プロジェクト内部に入れた時も感動したなー。プロジェクションストーンで何度も見たあの仮面が実際に!という。
太陽ステーション
途中まで22分間のループはNomaiが滅亡を止めるために意図的に作り出したものだと思ってたんだけど、このへん調査したあたりで「偶然なのかよ……」ってびっくりした(厳密にいえば意図的なんだけど、今になって発動したのがってこと)。本当に奇跡的なめぐりあわせの連続でこの環境が生まれたんだなあ、とため息が出るような構造の美しさ。しかもそれを作りものだと思わせないような緻密な完成度で。これ本当にすごいことだと思う。
量子の月
今回いちばん詰まったところでした。
性質はひととおり理解できたんだけど、いざ向かうとなったらどうしたらいいのかわからない。観測したままにしておけばいいというのはわかるけど、リトルスカウト打ち込んでも通信できないから写真も撮れないし、視線を向けたまま突っ込んでも消えるし。空洞のロケット使うのか?と思っても向いてる方向わかんないからタイミングが掴めないし。
そんなときにTwitterのDMでヒントをもらい、どうやったら観測したままにできるかを改めて考えたのが、リトルスカウトが月に入る前に写真を撮っておく方法。これで行けたんですけど、リトルスカウトが地面などに固定された状態じゃないとダメじゃないの?(写真を撮ってもそれは過去の状態なので観測したままとは言えないのでは?)とずっと思ってたので少し腑に落ちませんでした。ですけどまあよくよく考えたら固定した状態でも写真は過去のものなのに量子は観測された状態のふるまいをしていたなあ、と今となっては思いますが。
量子の月に着陸して以降は、詰まってた時に情報を整理しまくってたおかげで非常にスムーズに進みました。
そして先ほどの腑に落ちなさを一瞬で吹き飛ばすSolanumとの出会い。言語こそ通じないものの感動しながら全ての話を聞いていました。
その後ほかの惑星にある状態の月で、北極の地点にあるNomaiの骨を見ながら切ない気持ちになったりしつつ、最後の目的を果たすのでした。
眼
最後に行うべき手順も理解していたので割とあっさりと眼に到着(当然アンコウには数回やられましたが)。
ここからは本当にさまざまな感情が体を駆け抜けていった。星の爆発、見覚えのある木、見覚えのあるマシュマロ、聞き覚えのある音色。粛々と楽器を集め、最後のセッションではもう肩を震わせて号泣していました。ゲームであんなに泣いたのはいつ以来だろうか。MOTHER3かニュールーマニアポロリ青春か。
もう戻れないという覚悟、もう助からないという絶望に耐えながらワープコアを取り外し辿り着いた結末はあまりに美しかった。今思い返しても鳥肌の立つようなゲーム体験でした。
ゲームでしか味わえない体験というのは絶対にあって昔は何年かに一度は感じていたのに、年々ゲームへの慣れなのかアンテナの弱まりなのか感性の鈍りなのか、とにかくそういう体験から離れながらゲームを遊んでいたんだけど、久しぶりにここまでのゲームならではの感動を味わえて本当に嬉しかった。まだこういうゲームがあることと、こういうゲームで感動できる自分であったことに。
Echoes of the Eye
そんな余韻を感じながら即DLCを購入しプレイ。したはいいものの……怖い。もちろん本編も怖いところ(主にイバラ)はあったけど、好奇心が大幅に上回っていたので簡単にモチベーションを保てたんですが、物語の結末を見届けてひと段落ついたところだったのでなかなかそれができない。もちろん謎が謎を呼ぶ構造はDLCでも共通なので好奇心は持ち続けていたんですが、恐怖の要素が強いので上回ることがなく、ついにステルスシーンを一か所飛ばして(YouTubeで該当シーンのスライドリールだけ見て)クリアすることにしました。星明りの入り(江?)のとこ。恐怖緩和オンにしてても嫌さが全然緩和されなくて、クリア後に何が変わるのか調べたら追いかけてくる相手の移動速度だけらしい。そうじゃねえだろ!暗闇自体が恐怖なんだから明るくするとか相手の位置を表示するとかせえよ!と思った。とはいえDLCのテーマだったり宇宙服の機能的にそんなのも出来ないしなあ、とは思う。でも実際こうやってスキップする人もいるということは知ってほしい。
普通のゲームなら敵が守ってる場所に行くことでフラグが立ち次の目的がわかるんだけど、そういったものが一切ないのがOuter Wildsなのでこういった芸当が可能なのである。知識というフラグ管理だけがプレイヤーにゆだねらていている。本当にすごい設計のゲームだ。
そんなこんなでクリアしましたが、まあこちらも素晴らしかった。本編に残った(改めて言われなければ気にならない程度の)些細な謎「なぜ眼の信号が止まったのか?」の答えもあるし、眼というものをNomaiとは別の種族がどう捉えていたのか?という観点からもよくできている。
そして、最後にすべてを知った囚人のあの咆哮。こみあげてくるものがありました。こちらも本編同様様々な偶然と奇跡がかみ合って今につながっているのだな、と感動しました。最後のセッションにも参加してもらったし。
なにより追加コンテンツとして、完璧な構造である本編を邪魔することなく成立させているのが素晴らしい。DLCは当初から構想されていたものではあるらしいけれど、外部から見えない宇宙船の中だけの話にすることによって、本編が物足りなかったり謎が残ることもない、というのが非常に良い。