紛失物を見つけるには…。
春休みに入るときに、長男の(散らかった)机の上に名札があるのを見たような気がしていたし、本人をはじめ、夫も次男も、そう言っていた。
しかし、春休み2日目より、奈良から鹿児島へ1週間行き、奈良に帰ってきてからの約1週間は、私のエネルギー枯渇で極限まで散らかったリビングにて、3人の子たちも好き放題、さらに散らかし放題、まさに空き巣被害に遭ったかのような状態のリビングで過ごした。
長男の机はその一角に置かれている。
そんな状況で、片付けができないまま、
明日が始業式という日の夜に、
「ママ、名札がない」
である。
………知るかよ、机の上にあっただろうが。
だいたい、鹿児島に行ったことでその前の記憶は消えかかってるし、自宅でも子ども3人と過ごすことでイライラしっぱなしだったし、そこを抜けてやっと入学、進級のグッズ作りを始められる、というときに、整理整頓においては特に他力本願な長男からの訴えは、聞こえないふりを決め込みたくなるものだった。
とりあえず机の周りに落ちていないかを見たが、全く見当たらず、プリントや教科書、ノートの間に挟まっていないかなどを彼自身が探し続けたが、ついぞ出てこなかった。
私がよくやるのだが、
なくしたくないあまりに、玄関のドアの内側につけたフックに掛けるとか、冷蔵庫に貼り付けるとか、バッグ(今回はランドセル)のポケットにしのばせておいたとか、
「未来の自分のために気を利かせてみたが、それを忘れてしまった」パターンだったりしない?と長男に尋ねるも、そんなことしてない、という。
学校の担任の先生からは
「もう買ったらいいんじゃない?」と少し呆れたように言われたと長男が言うので、
今日見つからなければ買いに行くつもりで、夕方、気合を入れて、昨年度のプリントなどを処分しながら、長男と探した。本当は春休み中にやりたかった作業だった。
長男は腹立たしいことに、探す気力を失って、もう諦めている。夕方買いに行くにしても、もう自分のお小遣いで買ってよねと伝えた。
「だらしないとお金を無駄にする」体験をさせる好機だと思った。
しかし、それ以上にドケチで、無くしものは絶対にこの私が見つけてやるぞという気概に燃え始めた私は、彼の机の上に積まれたZ会の封筒や教材なども全てひっくり返してみたり、机の下に敷いているカーペットをめくってみたり、机の引き出しも一度全て空にしてみたりした。
また、人のものをすぐに羨ましがる、少々ややこしい4歳長女が、自分のバッグやおもちゃ箱の中に隠し持っていたりしないかも、くまなく点検した。しかし、なかった。さすがに名札は羨ましくないか…
もう、神隠しでないのなら、
間違ってゴミ箱に落ちたか、古紙回収の中に紛れ込んだか、それしか思いつかなかった。
あちこち、掃除機をかけながら、汗をかきながら探し続け、ふと、掃除機を収納しているクローゼットにあった、ダウンのことを思い出した。
そうだ!ダウンのポケット…
もうここになければ諦めようと思った。
春休みに入る前は、ダウンを着ていたが、新学期からは着ていない。これだ!もうこれしか考えられない。
左ポケット、なし…
右ポケット………あぁ、ぐにゃりとした塩ビのあの感触。あああああ〜
あったよーーーーー!
子どもたちは大喜びで、長男は、ママありがとう!!と抱きついてきたまではいいが、
次の瞬間、テレビの前に戻り、応援している球団オリックスの順位をチェックし始めたのでムカついた。
次男が「ママすごいねぇ、嬉しい。いや〜すごいわ。今日のことは一生忘れない」とベタ褒めしてくれるので溜飲を下げたが。
話が逸れてしまったが、
無くしものをしたときは、とにかく無くす前の天候、身に付けていたもの、行動、何を考えていたかなどを思い出せるかどうかが、見つかる率を高めると改めて感じ入った。
そして見つからないときは、思い込みも想定に入れながら、あらゆる可能性をいくつも思い浮かべられるかが重要だ。
今回、長男の机の上に名札があったのを家族が見たのは、きっと終業式の前日以前だったんだ。私は、通知表をもらってきた終業式の日に見たと思い込んでいた。
終業式の日、おおかた、下校時に、あるいは登校時かもしれない、
が、名札をダウンのポケットにねじ込んだまま、忘れていたのだろう。
あぁ、スッキリした………!!
もう見つからないかもと思いながら探すと苦痛だけれど、絶対にみつけるんだと決めて探すと、苦しくもとても楽しかった。
ゴールを無理やり決めちゃえば、意外となんでも楽しめたりするのかしら。