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#15雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.IV「方言と言語」
伊太利人、西班牙語上手過問題発覚。
イタリア語とスペイン語はほとんど方言みたいなものらしい。同じレベルのクラスのはずが、イタリア人が異常なまでにスペイン語を話せすぎる。休み時間に聞いてみたが今までにスペイン語を勉強したことはないという。「スペイン語っぽくイタリア語を話せば通じる」そうだ。なんじゃそりゃ。
クラスにはアジア人は他にいなかったので、どうやら留学の目的の一つである、アジア人でつるむ現象の回避はできそうだ。
それにしても授業の進度がわやだ。この差はもはや才能の差なんて甘いものじゃない。亀はいくら努力してもうさぎより速くは走れない。他の動物と比べても仕方がない。これは人種差別の賛否というより、人種差別で片付けられる問題だったらどれだけよかっただろうか。
授業は四時頃終わったが、この国は八時過ぎまでは明るいのでまだ暗さで時間を想像できない。
昼食はマドリード名物のイカのボカディーヨ(サンドイッチ)。見た目通りパンとイカのフライの味。それ以上でもそれ以下でもない。
基本的に食事は自炊。というか、そういうことにした。ホストマザーの作る食事は金額にあまりにも見合わない内容だったため、やんわりとお断りした。家賃の300€に追加で、朝食は2€、夕食は6€と言われた。出来合いのトルティーヤと味付けのない豚肉に千円は払えない。
よし、食料品を買いに行こう。やはり外国のスーパーは楽しい。スペイン語的にはスーペルか。
入店してすぐ視界に放り込まれたのは、これでもかと並べられた生ハムの原木だ。改めてスペインに来たことを実感する。チーズも量り売りだ。日本の何倍も安い。素晴らしく悪い国に来てしまった。口角が下がりきらない。
次回予告『雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.V「パエリアとタパスと酒」』
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