IPO準備会社に求められる体制③開示体制
(1) はじめに
株式会社アクリア、コンサルタントの角です。
IPO準備会社に求められる決算早期化、内部統制、開示体制確保について取り上げていきます。
最後は開示体制の確保について取り上げます。
(2) 開示体制確保
┃概要
このように、不特定多数の投資家に対し、適切な投資判断ができるように、企業内容の開示が必要となります。
┃開示体制確保の必要性
概要に記載の通り、上場時にはⅠの部等、上場後には毎期有価証券報告書等を作成する必要があります。
また有価証券報告書等はIPO準備会社に求められる決算早期化、内部統制、開示体制確保について(その1)で記載したように、求められる提出期限があり、有価証券報告書等の項目である経理の状況については監査対象となるため、監査意見に間に合うように作成する必要があります。
特にⅠの部や有価証券報告書はその記載内容が膨大になります。また、いくら日々の会計処理が正しく行われていて、会計システム上正しく試算表が作成されていたとしても、最終的に公衆縦覧に供されるのは開示書類となります。
以上より、これらの期日を遵守し、適切に企業内容を開示するためには、開示を行う上で必要な体制を構築する必要があります。
業務プロセスに係る内部統制については、下記3点セットを作成することが一般的であり業務を可視化することで評価を行える状況に整備することが必要になります。
なお、決算財務報告プロセスのうち、全社的な観点の評価が適切なものはチェックリストによる評価が行えるように整備を行います。
また、IT統制についてもチェックリストによる評価を行うことのできる状況に整備することが一般的になります。
┃開示体制の整備
Ⅰの部は上場申請直前々期(N-2期)及び上場申請直前期(N-1期)について開示しますが、通常N-2期については、N-1期に作成します。また、四半期トライアルの実施も行われます。そのため、体制もそれに合わせ少しずつでも整備していく必要があります。
また、開示は月次決算を含む通常業務も進行している中での作業になります。当該事項も考慮した上で体制を構築していくことが求められます。
開示書類の作成において最も重要なことは、何を開示するのかを理解するということです。
記載する項目を明確に把握できていない場合には、開示書類作成の作業重複や、記載に必要な情報の管理が常態化されていないため、色々な資料を寄せ集めて必要な情報を探すといった非効率な状況が生じることも考えられます。
何を記載しなければならず、そのためにはどのような情報が必要で、その情報はどこから取得するのか又は管理されているのかを明確に把握しておくことが重要です。
また、記載項目において計算や検討が必要なものについては、誰が見ても明瞭なものである形でフォーマット化しておくことが重要です。これにより、資料作成は属人化せず、さらには必要な計算結果がスムーズに算出されます。
これらの業務は社内で構築していくことも可能ですが、一度専門家を利用することも有用と考えられます。
それによるメリットとしては、下記が挙げられます。
また、多くの会社はⅠの部作成(N-2期数値)の最初のタイミングのN-1期において構築を実施しているケースが多く見られますが、作成前からゴールを見据えた構築を行うことは、開示書類作成をスムーズに行うためにはより望ましいと考えられます。
(3)まとめ
開示は、提出期限があり、また、監査対象箇所もある一方で、通常の月次決算作業等が進行している中で並行して行わなければなりません。
そのため、それを考慮した体制で効率的に作成していくことが、業務負担を減らすためにも重要であると考えられます。
IPO準備会社に求められる決算早期化、内部統制、開示体制確保について記載してきましたが、これらのような改善や構築は、整備をするのに時間を要するものもあります。また、上記の項目以外にも会計監査を受ける前に課題を認識し、対処していく必要があります。
これらに、経験のあるアドバイザーを活用することは、改善作業の優先順位を考慮し、効率的に上場準備作業を進めていくことができます。
当社では上記のようなサポート業務を部分的に行うことができるのみならず、ショートレビューを実施することにより、IPOに関する課題事項を抽出し、サポート業務を一貫して行うことも可能です。自社での業務課題に当てはめてご検討頂けますと幸いです。
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