一種の呪い
深夜に仕事を終える。
休憩時間に摂取した完全栄養食を水に溶かしたものは完全に消化され終わってしまったのか仕事終わりは毎回空腹でどうにかなりそうになる。
約18年もの間、帰宅すると母親が作ってくれた美味しいご飯と暖かいおうちが待っているという生活をしていた自分にとって、疲れて家に帰ってきたら何か美味しいものを食べるという習慣が出来上がってしまっている。美味しいものを食べて気持ちよく眠るのがなにより1番幸せだと感じるし、なんならそれをしなければ1日が終えられないような気さえしてくる。
ただ深夜にやっている飲食店のレパートリーはハイカロリーなファストフードばかりだ。牛丼であったり、バーガーであったり。私にとってこれらは夜ご飯ドラフトの中でさほど優先順位が高くない。さほど食べたくはないのに食べるものとしてはあまりにもカロリーと脂が多すぎる。もしも深夜に大戸屋がやってくれていたら泣きながら足を運ぶし、深夜料金も喜んで払う。大戸屋に衣食住の食の柱を支えていただきたい。
学生時代は毎日自炊をしていたが、深夜に帰宅して自炊なんて今の自分には到底できない。自炊にドハマリして自分が食べたいと思ったものはレシピを調べて一通り作ってみた中で、自分の調理スキルでたどり着けるクオリティの到達点を知ってしまった。美味しいものを作れはするが、ある一定のところまでしか感動もせず、皿洗いというタスクが増えてしまう自炊に大きな魅力を感じない。自炊にかかる時間やら皿洗いのことを考えると、個人的に美味しさの瞬間最大風速が高いと思っている納豆ご飯とフルグラの2つで生活を回してしまいたいとも思う。
ただ納豆ご飯とフルグラで夜ご飯を回しているとそんな夜ご飯で大丈夫か?そんなものを食べて寝て幸せですか?という感情が湧いてくる。恩師が愛ほど歪んだ呪いはないと言っていたがそのとおりかもしれない。仕事終わりなのに年間360日ぐらいは美味しいご飯を作ってくれていた母親は今の私からすれば確かに狂っていると感じる。
大きな愛でもてなしてくれた母親からの一種のまじないから逃れられる日が来るんだろうか。