里子のホンネ/実子のホンネ
10月4日に鹿児島県里親研修大会に参加させていただきました。主催は、南さつま子どもの家を運営する社会福祉法人明澈会さんです。
この時の講演で、『どうして? あたらしいおうちにいくまでのはなし』という絵本を紹介されました。
この絵本は、虐待を受けた女の子が児童養護施設に保護され、里親家庭に引き取られるお話です。保護される側から見た時に何が起こっているのか、子どもにとって状況を理解することがどれだけ大変なことかが描かれています。
この絵本の作者が、この日の講師、樋口亜瑞佐先生(大阪公立大学現代システム科学域/臨床心理士・公認心理士)です。樋口先生は、里子の心理だけでなく、里子を迎える里親家庭の実子に心理も研究されているそうです。
里子を迎えることを親から打ち明けられ、親を喜ばせるために里子を歓迎するものの、実子にとっては大きなストレスになってしまうこともあります。親に心配かけないよう、自分がモヤモヤしている気持ちは、親には決して話さない、という実子が多いのだそうです。
私も里親になることに強い関心があるのですが、自分の子の子育てと両立することは不可能だと思っています。里子を引き取るなら、下の子が高校を卒業してから、と決めています。
ただ、それから里子を引き取るとなると、今度は自分が歳を取り過ぎて、子育てに若い時ほどのパワーを使うことができません。10年ぐらいなら支障ないかもしれませんが、歳をとってくると車の運転なども危うくなるでしょうし、病気やケガで里親の責任を果たせなくなる確率が高まります。
ですから、若いうちに里親になった方がいい、という意見もあります。自分の子どもと分け隔てなく育てることができるなら、それに越したことはありません。実子が小さいうちに里子も引き取るご家族は、本当に素晴らしいと思います。
樋口先生の研究は、里子と実子を育てるのに奮闘する里親を非難するものではなく、家庭がうまくいくように、モヤモヤが小さいうちに対処する手がかりになるものだと思います。
里親家庭への支援体制は十分とはいえないところがあるそうです。精神的、経済的に、しっかりと支援ができるよう、私たち一人ひとりも見守る必要があると思います。