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思い込みを変えると人生が変わる⁈
私たちにとって、自分の価値観や思い込みを変えるのはとても難しいことです。長年慣れ親しんだ生活習慣を変えないといけなかったり、自分の考えが間違っていると指摘されたりすると、まずは反論したり、拒否したりする人の方が圧倒的に多いと思います。そしてもちろん私もそんな一人です。
でも、だからこそ、私たちが慣れ親しんだ思い込みや生活習慣を手放すと、人格が変わるレベルの大きな変化が起こり、人生が好転していくとも言われます。ジョー・ディスペンザ氏が2015年に発表した『あなたという習慣を断つ ― 脳科学が教える新しい自分になる方法』は、量子力学の理論をもとに、思考パターンを変えることでDNAレベルまで変わることが可能だと書かれています。
例えば、私たちが怒りを感じる時、体内には怒りに関する化学物質が放出されているそうです。怒りを感じることが増えていくと、その化学物質が体内にあることが常態化し、身体がその化学物質に慣れてしまうそうです。そうなると、その化学物質が放出されない状態が「異常」になるので、怒りを常に感じることが安心できる状態になってしまうのだそうです。
この話を読んで、麻薬中毒の状態と酷似していると思ってしまいました。身体にとって異物だったものに長時間さらされ続けると、それがあることが当たり前になってしまい、ないことが「異常」になる。それはもう当然、異物を排除することの方が難しくなってしまいます。
こうなると、自分で変わることは、とてもハードルが高いですよね。実際、自主的に変化したいと思うことは稀で、危機的状況やトラウマ、病気といった「外圧」がなければ、「変わらないといけない」という危機感は働かないようです。でも、そうなるまで待つ必要はまったくなく、「喜びや幸せの中で自分を変えることも可能」と著者は指摘しています。
自分を変えるためには、新しい思考パターンと生活習慣をマスターする必要があるそうです。脳科学の世界では、人間の記憶には宣言的記憶と手続き的記憶があります。宣言的記憶というのは、漢字や数学の公式など、私たちが一般に「知識」と考えるものを指します。手続き的記憶というのは、自転車の乗り方など、一連の流れを身に付けることで、一度身に付けると忘れないと言われています。著者は、新しい思考パターンと生活習慣が手続き的知識となってしまえば、私たちは人格を変えることができるそうです。
(続く)