会員制の粉雪 【毎週ショートショートnote】

僕の街はずれに大きなテントが張られた。

サーカスでもするのかな?

ワクワクして見に行ったらテントの周りには柵があって入り口には大きな男の人が立っていた。

「ここは何?」聞いてみるとその男は丁寧な口調で教えてくれた。

「ここは会員制なので入れませんよ」

「何があるの?」

「粉雪が降っているだけですよ。粉雪を見ながら大人がお酒を飲んでいるんです。君も成人のお祝いに会員証をプレゼントしてあげますから、それまで楽しみに待っていて下さいね」

ふーん、粉雪なら冬になればいっぱい降るのに大人はつまんないことするんだな。そう思ってテントから離れると中から誰かが出てきた。

慌てて隠れると、出てきたのは弱虫っていつも馬鹿にされてる向かいのお兄ちゃん。声をかけようとしたけど、顔を見て怖くなった。

だって様子が変で、ずっと独り言を言ってたから。


「よし!やるぞ!俺は戦争に行くぞ!」って。


あんなに戦争を怖がっていたのに。





さて、このくらい集まれば上出来か。


(410文字)

たらはかにさんの企画に参加します。
お題は「会員制の粉雪」

いったいどんな粉雪が降っていたんでしょう……

なんだか暗い方へ行ってしまいました。


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