自費リハシリーズ・#1ガンプラとリハビリテーション
自費リハビリテーションで経験した、ガンプラとリハビリテーションの一例をとおして、下記の内容のリハビリテーションについて書いてみたいと思います。
①自費理学療法か自費リハビリテーションか
②利用者パーソナリティに合わせたリハビリテーションセラピスト
③その人らしいリハビリテーション、提供した時間に価値がある
①自費の理学療法か自費のリハビリテーションか
理学療法士が起業して会社を作り、店舗などで行っている自費のサービスで思い浮かぶのは、○○を改善します!や○○を治療します!や、治療やテクニック、運動を提供するサービスが多いかと思います。
しかし、自分が行っていた自費のサービスは利用者さんとガンプラを一緒に作っていました。
理学療法士が利用者さんとプラモデル製作をしてるのか、さらに保険外のため高額な自費で… またプラモデル作成は作業療法士が行うことでは…と感じる方もいるかと思います。
理学療法士として、徒手療法・物理療法といった理学療法を通して、利用者さんを良くしていくことはとても大切です。しかし、自分のリハビリテーションで大事にしていることは、今自分が提供していモノは、理学療法サービスなのか、リハビリテーションサービスか考えることで、簡単に言うと、理学療法で身体的な健康を作り出すが、精神・社会・文化的なリハビリテーションを通して健康を作り出すかだと感じています。
②利用者パーソナリティに合わせたリハビリテーションセラピスト
・導入前
関わった利用者さんは、交通外傷後の記憶障害や精神疾患のある中年の方でした。
精神疾患で入院され、家族から、退院後も結局引きこもりってお家にいても寝るだけだから健康のために運動ができないかなと、最初から一緒にプラモデルを作ってほしいとの依頼ではないところからはじまってます。(本人も短期記憶が悪いため、すぐに忘れたり、精神面的にも意欲があまりなかったりしています)
入院中に本人にお会いしたり相談員や家族から話を聞き、アセスメントの段階で、単純に一緒に運動しましょうと言ってもダメかなと予測も立ちました。※セラピストの素敵は能力はアセスメントだと思っています。
・導入開始時
退院後、ご自宅に帰ってきてから訪問リハビリテーションがスタートしました。最初の関わりは、お家に行って20分くらい話して帰る。やっていたのはそれだけです。
もちろん話すだけではなく理学療法士として、会話の中で運動も一緒に行ったりもしました。しかし、集中力が続かず、10分も持ちません。運動中は続かず落ち着かず、すぐに部屋に戻ったりしてしまいます。
※アセスメントの段階から、こうなるのは予想済みで、何もリハビリできていないと焦らずに関われていました。
ここで、運動ができないからリハビリ終了ではなく、タイミングが合えば別の訪問先の途中や帰りにお家によって、また話をしたり、気分の波もあり時間が合わない時などは、また明日きますね!と言って、すぐに帰ったりしていました。
・キーポイント
訪問時の会話の中で相手からこの話題が出るまで、それは「ガンダム」というワード。
退院前にお会いした時のアセスメントの段階から、一緒にプラモデルを作るか、一緒にお家でゲームやる、このどちらかが一番本人がやる気の出る良い方法と思っていました。本人は、障害前から戦車や飛行機のプラモデルを作ることが好きで、交通外傷の記憶障害や細かい作業がむつかしくなり作れなくなっていました。
※よくあるのが、プラモデルを作るためや、ゲームをやるために運動をしましょうと、好きなことをするために、やってほしい運動をやりませんかと、餌をつけて動かす的な方向でもっていきがちです。
運動をするに持っていく前に、ガンダムという話題が相手から話がでてきたときに、そこに「僕もガンダム好きなんですよ!今度ガンプラ買ってくるので、一緒に作りませんか?」「作るなら何がいいですかね?連邦ですかね、ジオンですかね。」と一緒になって楽しめる話題に、自分が相手の中に寄り添うことが大切だと思っています。
・リハビリテーション
話題がでた次の週にプラモデルを買って、一緒に作り始めました。もってきたときに「あー、グフだ!」「ザクとは違うのだよザクとは!」と笑顔で作り始めました。運動だと10分の集中力が、60分以上継続して作り続けられる。
記憶障害もあり、説明書を読んでもパーツの順番や次につなげるパーツなどわからないため、そこはサポート。
買ってきたプラモデルも、作るパーツの量や難しさなど、セラピスト自身もガンダムが好きだからこそ楽しめるリハビリテーション。
【プラモデルを作ることで、ここに繋げることが目的でした。】
日常に依然行っていたプラモデル作りが加わることで、引きこもりから、近くのコンビニまで歩いていき、好きなものを買って帰ってくることが増える。日常の活動性を上げその時間が運動の時間になる。(記憶障害もあるので、好きな甘いものを買いすぎたりもありますwww)
自分の部屋にあった戦車のプラモデルのストックを自ら作り出す。※記憶がむつかしいので、組みあがりは途中までだったり抜けているところもありますが笑
また、訪問の薬剤師の方も、本人からここがわからないから教えてくださいと依頼され、一緒に作ったりと、周りの方を巻き込みながら行っていました。
③その人らしいリハビリテーション、提供した時間に価値がある
利用者さんはプラモデルを作っていたことが日常で、それがなくなることが、その人にとっての障害であり、そこに対してできる支援を、リハビリテーションを知っている理学療法士が関わる。
プラモデルを作れた、過ごせた時間に価値があり、それをサービスとして満足してもらう。
特に特殊な手技やテクニックは必要なく、利用者さん自身のその人らしさに寄り添いサポートする、自費のリハビリテーション。
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長文で書いたため、内容がわかりづらい部分もあるかとおもいますが、ご質問ありましたら、コメントなどいただけたら幸いです。