【SS】忍者ラブレター
「見に行きます
ぎざぎざした木
崖までおいで
渡すものがあります」
「探偵殿、これが容疑者から共犯と思われる農家の女性に宛てられた手紙です。もう一枚は、濡れたような跡がありましたが白紙でした。この辺りにある崖に見張りをつけますか。」
「警部殿、その白紙を見せてください。」
探偵が白紙をライターで炙ると文字が浮かび上がった。
「たてよみせよ。」
「探偵殿、みぎがわとはなんのことでしょう。」
「恐らく右側の文字を縦読みするんです。」
「すきです。」
「探偵殿、これは手の込んだ手紙ですな。忍者ラブレターといったところでしょうか。」
「そうですね。他を当たりましょう。」
結局、容疑者は捕まらず、共犯と思われた女性も疑いが晴れたようだった。新聞の一面には「忍者ラブレター」という見出しに手紙の内容、探偵の推理まで載った。
共犯と疑われた農家の女性はこの記事読み、納屋にしまってある農具の鋤の下を掘った。そこには盗まれた宝石の入った袋が埋められていた。
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