【SS】デジタルバレンタイン
DXは失敗だった。
業務を整理・デジタル化したところで人の意思決定が曖昧だったためだ。
これは、DXのその先、HDX(ヒューマン・デジタル・トランスフォーメーション)が完成した世界のお話。
今日はバレンタイン。
彼女の僕への好感度は15。
好きの閾値が10だから、きっとチョコが貰えるはずだ。
デジタル化された社会では、微分を用いた最適化が行えず、数々のNP困難な問題を生じさせた。
彼女へのアプロ―チもNP困難な組み合わせ最適化問題だった。
プレゼント等の選択肢の中には交互作用が生じるものもあり、効果が最大になる組み合わせを探すのは困難を極めることになる。
しかし、それは選択肢が多い場合。
僕はすぐに最適解に辿り着き、最大の15を得たのだ。
ウキウキして待っていると、彼女が別の男にチョコをあげているところに遭遇した。なぜ?なぜだ?
すると、チョコを受け取った男が僕に向かって言った。
「ウィナーテイクオール。彼氏になれるのは一人だけだ。」
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