【SS】洞窟の奥はお子様ランチ
姉弟が洞窟に入る。
奥に生息している薬草が目当てだ。
病に伏た母のために。
姉は分岐の度にパンをちぎった。
暗くて迷子になりそうだ。
二人は幾多の仕掛けを潜り抜けた。
擦り傷切り傷で服もドロドロだ。
しかし薬草にはたどり着けなかった。
姉は出直そうと考えたが、道しるべのパンがなく絶望した。
洞窟を彷徨っていると、不思議な臭いがした。
怪我や疲労も相まって二人はバタリと倒れ込んだ。
二人はふかふかのベッドの中で目を覚ました。
誰かが助けてくれたのだろうか。
「洞窟の奥のお子様ランチだよ。」
奥から老婆の声がする。
皿には草が盛られていた。
二人はやむなくその草を食べると、傷口がふさがった。
姉は、皿に乗った草を一つまみポケットに隠した。
「風呂に入りな。」
風呂のお湯はややしょっぱい。ハーブの匂いもする。
「洞窟の奥に来るお子様がワシのランチじゃ。」
奥から老婆の独り言が。
二人はこっそり逃げ出した。
どうにか洞窟から抜け出した二人は母に薬草を食べさせた。
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