【ss】ときめきビザ

中年になると圧倒的に不足する成分がある。
ときめきだ。

少年・青年の時代に追い求めた夢のいくつかは実現し、残りのいくつかは叶わないことが確定する。

残りの人生が、消化試合だと感じ始めるのがおそらく中年なのだろう。
さて、私は中年だ。
ときめき不足とは、私自身が感じていたことなのだ。

そんなある日、不思議な世界への入国許可証の存在に気づいた。
そして、学校や職場で培った能力が一切通用しないその世界に魅了されていった。

入国できるのは日曜日に限られる。
だから日曜日になると、子供の頃に感じていたときめきを感じることができる。
少年ジャンプを待ちわびる月曜日のような、ドラゴンボールを待ちわびる水曜日のような。

今日は日曜日。
不思議の国に誘ってくれるときめきビザが届く日だ。

『こちらはショートショートのゆる募をしている企画でございます。はじめましての方はこちらからお読みいただけると幸いです。』

今日のお題は「ときめきビザ」
迷う余地はなかった。