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『恋人までの距離』偶然の出会いが恋人となるまで

列車の中で出会い、翌朝別れるまでの男女の恋模様をヴィヴィッドな会話で綴った傑作ラブ・ストーリー。

インターネットより

 この甘酸っぱいラブストーリーのVHSビデオを、高校時代TSUTAYAで眺めながら、どうせ俺には接点ねぇな、こんな恋人たちになりたいけど、ふんっ、と思って見てたっけ?
 20数年後に初見で見ると、何より会話がいい。イーサン・ホークの黒の革ジャンの似合う艶のある青年のワイルドさも、ジュディー・デルピーの知性・天使・ファニーな魅力もめっちゃいいんだけど、リチャード・リンクレイターの企画と脚本が最高!
 電車で乗り合わせたアメリカ人の旅行客の男性とフランス人の女性が、その出会いを失いたくなくて、ウィーンの街で昼から夜明けまで過ごす。その間に恋人になっていく過程。これは恋愛映画だが、実験映画でもあると思う。

訪れたレコード店の狭い試聴室で聴くキャス・ブルームの"come here"。一番好きなシーン。
ウィーンの美術の街も魅力
夜、結ばれる
でも、朝はやってくる。

 仕事の忙しさとテレビシリーズの追っかけで映画から離れていたが、映画は心に住む神と男女の間に起こる魔法を映す。
 終わりの朝は寂しくて、今は脱力感のなか、"come here"をリピートしている。続編は少し先までとっておいた方が、この魔法は素敵。
 高校生の俺から、少し恋や愛を知った中年になったが、この人生にだって魔法はあった。おじいさんになるまで、ずっと魔法を感じて生きていよう。人生の魔法だって私は知っているのだから。

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