見出し画像

今なお『そして父になる』に父は震える。胸に宿ったのは、はたして美しい感動か?痛切な罪の意識か?

 一回目映画館で観たとき、私はもう少し今以上に無邪気だったのだろうか?リリーが演じる父の子どものような親心に強く感動したのを覚えていた。
 父としての苦楽を十年、身のほど味わった今、痛切な映画だった。それぞれの登場人物を見つめるカメラのゆっくりとした動き(ときに速い移動の背景と対比して際立つ)は、しっかりと人物を映している。幸せを妬んで、赤ちゃんをわざと取り違えさせた、弱い看護師の女性にも、奥行きがあり、私は感情移入していた。自分のしてきた罪を思い出した。それは悪夢のような痛切な体験だった。福山の父親になりきれない父親にも、どんどん心が近づいていた。
ラスト20分は、タレント福山のイメージなど置いてきて、福山雅治の表現する、自分の過ちを受け入れる再生に、筆者は感動から体が震えた。こうやって、出会った人たちを引き連れて、幸せの小国を目指すのが、私の夢だ。君が加わりたいと言ってくれたら、くしゃくしゃで少し強張った笑顔で、いやできれば満面の笑顔で、君とも生きていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?