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『ブルーバレンタイン』痛いほど切ないラブストーリー。これが真実だと私は知っているのだ。

 医者の卵のシンディと風来坊のディーンが出会い、恋に落ちる。やがて子どもを授かり、2人は愛し合っていく。

夜、2人の心は近づき結ばれる

かつてはあんなに愛し合っていた結婚7年目の夫婦、ディーンとシンディ。かわいい娘と一緒に暮らしながらも2人の間の溝は深まるばかり。やがてディーンは、危機に陥った夫婦関係を修復すべく、気分を変えようとシンディをラブホテルへと誘うのだが...。

googleより

 私は医者で思いやりのある女性と結婚し、最近離婚した。彼女を幸せにできなかった。子どもは2人授かった。月2回程度みんなで会う時間を、彼女はくれる。その2回の幸せな時間のために私は今日も働く。子どもたちはとてもとてもかわいく、元妻は変わらず美しく優しい。今日も音楽を聴き、映画を観、夢を見る。でもね、彼女に再婚してほしい。俺みたいな風来坊ではなく、しっかりとして心の優しい人と幸せになってほしい。
 これはそんな俺の映画だった。ディーンの若き日のライアン・ゴズリングの美しさは、まだ輝きのあった私の若々しさと重ねていた。あんな男前ではなかったが。結婚7年目のディーンの禿げ上がった頭、いまだにのらりくらり生きているカンジは、やはり今髪の毛がなくなってきた私を見てしまう。ゴズリングは一本の映画を通して、時を経ても変わらないディーンを演じ切っている。その時間の流れを切り刻んでシャッフルしたような映画の進行。
 デレク・シアンフランスはめちゃくちゃブレる手持ちカメラで軽やかに若き2人を撮ったかと思えば、暗いブルーの美麗な映像で中年の2人を赤裸々に映す。
 ミシェル・ウィリアムズは去っていった恋人のように、若きときは無邪気で、時を経て落ち着きを持つ。あいつは俺に何度も「落ち着いて」と言ったが、私は従わなかった。

一生支えようと思っていた
産んでくれ
この人しかいないと思っていた
結婚式
「終わり以外の何ものでもない」
ブルーバレンタイン

 この映画の終わりは、私の人生の過去で、私は今とても幸せで、もっとおっきな幸せを掴むため、明日を絶対ものにする。夜遅くになってしまったが、この映画との時間は特別だった。これが真実のラブストーリーだと私は知っているのだ。

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