『エデンの東』父さん、あなたに愛されたかった
愛されたい。誰も愛せていないのに、愛を求める。そして、破綻する。ジェームズ・ディーンは観る者を不安にさせる表情で、その感情をキャプチャーしている。エリア・カザンは端正な映像表現で、美しい詩を映画に宿した。レナード・ローゼンマンのテーマまで加わると、胸を締めつけられる。
人は不完全で、だから愛を求める。それが過ちを生む。人は間違いを犯す生き物だ。それが人の最大の特性といえる。やり直すことさえできず、その流れる時間で行動を選択することで、どうにか生き永らえる。僕らは間に合わなかった。でも、この時間の急行列車に乗って、進むしかないのだ。