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『狼たちの午後』アル・パチーノ入魂の演技、その大きな目。

 アル・パチーノはこの映画で、自分のいくつもの魅力をキャプチャーしている。アジテーションも彼らしくていいが、その発声より目でもって、画面を決定づけている。
 この作品はまた、一つの実際に起こった事件を映像化しているだけでなく、時代が宿っている。
 激しい音響の中でも、小さな動きまではっきりと描いており、シドニー・ルメットは卓越な手腕を発揮している。
 ジョン・カザールもやはり素晴らしいが、彼がこの先も死なないでいたら、どんな俳優になっただろうと想像してしまう。
 高校生のとき初めて観て、20数年。感じとるものは深まるが、印象はそのままで、映画は年をとらない。時代を真空パックしている。

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