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『ザ・キラー』殺害の連鎖の先に訪れたある感情とは?

 ある任務失敗により、雇い主を相手に戦うことになった暗殺者。 世界中で追跡劇を繰り広げる彼は、それがかたき討ちであっても目的遂行に個人的な感情を持ち込まないよう自分自身と闘い続ける。
 とにかくフィンチャーの作る画が凄すぎる。決めっ決めの連続。映画的快楽を通り越して、こちらにもかなりの集中力を要求する、圧巻の映像世界。
 また、キラーがかける劇中歌のthe smithsがかわいい。レズナー&ロスの劇伴もやはり素晴らしいし、あるシーンで流れるポーティスヘッドは、ちょっと今思い出すと、震撼する。
 マイケル・ファスベンダーも相当いいんだけど、ティルダ・スウィントンの初老の女性が、思い返すと印象深い。それと、『セブン』の脚本で注目を集めたアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが、苦難の道を経て、ここで洗練された脚本を書いているのも嬉しい。
 緊張と弛緩ではなく、緊張感の続く時間で、余韻もものすごい。あぁ、映画ってモチーフじゃないんだな。トーン&マナーなんだな。殺し屋の映画だが、そのモチーフで好きなのではなく、フィンチャーを中心として形作られた語り口が、あまりに尊く、凄まじい映画だった。

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