『ケイコ 目を澄ませて』静寂を破壊するパンチ
耳が聞こえないながらも努力の末にプロボクサーとなり、リングに上がり続けるケイ子。しかし愛想笑いができず、不器用にしか生きられない彼女は、いつだって不安に襲われる。
劇伴がないので、街のノイズに恐怖のような感情が生まれる。そこを走り抜ける電車の音の暴力性。
ミット打ちのシーンの破壊のリズム。笑わない岸井ゆきのの最高の不器用な笑顔。三浦友和の物語の軸になる存在感。
三宅唱はボクシング映画を撮ることで、コロナ禍の東京の息苦しさを画面に収めるのに見事に成功している。良作。
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