財務会計の概念フレームワーク
会計情報は、投資家による企業価値の推定に資することが期待されているが、企業価値それ自体を表現するものではない。企業価値を主体的に見積もるのは自らの意思で投資を行う投資家であり、会計情報には、その見積りにあたって必要な、予想形成に役立つ基礎を提供する役割だけが期待されている。
我が国の討議資料「財務会計の概念フレームワーク」は、市場価格や利用価値を、すべてのケースにおいて優先的に適用すべきとは考えていない。また、原始取得価値や未償却原価を、市場価格などによる測定が困難な場合に限って適用される測定値として消極的に考えるのではなく、それらを積極的に並列させている。財務報告の目的を達成するためには、投資の状況においじて多様な測定値が求められているからである。資産と負債の測定値をいわゆる原価なり時価なりで統一すること自体が、財務報告の目的に役立つわけではない。
負債の測定に関して、リスクを調整した割引率による割引価値とは、測定時点で見積った将来キャッシュ・アウトフローを、その時点における報告主体の信用リスクを加味した最新の割引率で割り引いた測定値をいう。このような測定値を用いると、報告主体の倒産可能性が高まることによって純資産が増加することになる。
ディスクロージャー制度において開示される会計情報は、企業関係者の間の私的契約等を通じた利害調整、ならびに関連諸法規や政府等の規制においても副次的に利用されている。その典型例には、配当規制、税務申告制度、金融規制などがある。
財務会計の概念フレームワーク
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/begriff_20061228.pdf