本の推し活-ブックナビクラブ-
アカデミーヒルズのメンバーズ・コミュニティ「ブックナビクラブ」の5月の定例会(5/11開催)でシェアされた本を紹介します。
最初のメンバーは、「なかなか読む機会がない本だと思ったので選びました」ということで、『アーミッシュの赦し』を紹介してくれました。
アーミッシュはプロテスタントの一派で、原則として快楽を感じることは禁止されており、各地のコミュニティーの合議で定められる「オルドゥヌング」という戒律を守りながら聖書だけを信じるために、牧師はいないそうです。
本の内容は下記の出版社のサイトの紹介を参照してください。
メンバーからは、様々な意見・疑問・感想があがりました。
子を殺された親としての感情はどうなのか。
「赦す」とは何か。
社会が変化(進歩)する中で、ある意味原始的な生活をすることに「本当はどうなのか」という疑問がある。
そのようなアーミッシュを受け入れているアメリカという国の懐の深さを感じる。
次は、伊坂幸太郎氏の小説『アイネクライネナハトムジーク』です。
このタイトルは、モーツアルトが作曲したセレナードの1つですが、ドイツ語で「ひとつの・小さな・夜の音楽」という意味で、「ナハトムジーク」は多くの場合、親しい相手から贈られる「音楽のプレゼント」を意味するそうです。
伊坂氏はシンガーソングライターの斎藤和義氏のファンで、その斎藤氏から「出会い」をテーマにした作詞を依頼されたそうですが、伊坂氏は「作詞はできないが小説なら・・・」という経緯で第1章の「アイネクライネ」を書いたとのこと。そして斎藤氏がそれをもとに楽曲「ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜」を制作して、さらに伊坂氏が第2章の『ライトヘビー』を書き下ろしたというエピソードとともに紹介してくれました。
「音楽と一緒に小説を楽しむ」という“一粒で二度美味しい”感じでしょうか。
あるメンバーは、「音楽のプレゼント」繋がりということで、GW期間にラ・フォル・ジュルネ Tokyo へ行き、クラシック音楽を楽しんだ話をシェアしてくれました。
次はアートの本です。大好きな肖像画、フェルメールやマネが描いた肖像画やモナリザが掲載されているので、この本を選んだそうです。
「時間がとれず、なかなか美術館へ足を運ぶことが難しいビジネスパーソンでも、本を見て感じることはできるのではないかと思う」と語ってくれました。
メンバーからは、「自分はレンブランドの自画像が好き。様々な年齢のときに自画像を描いているが、その年齢に応じての自分を描いている。年を取ってからは『そこまでして自分の素顔を描かなくても良いのではないか』と言いたくなるほど、年老いた自分を描いている。飾らず直視しているその姿勢が凄い!」というコメントが出ていました。
次は『教養としての決済』です。
翻訳本だが自然な日本語で分かりやすかった。
過去から現在へ歴史にそった流れになっているので、突然今のシステムに飛ぶことがなく理解がしやすかった。
具体的な事例が豊富で分かりやすかった
ということで、この本を紹介しようと思われたそうです。
2022年の秋に発行されていますが、デジタル通貨等最新の情報も含まれているそうです。紹介してくれたメンバーは「読む前と後では、私の頭は確実に進化した!」と締めくくってくれました。
次は『自省録』です。
「無人島に持っていくならこの本だ!」という大切な1冊を紹介してくれました。
英語版、漫画版、日本語版(神谷美恵子訳、鈴木照雄訳)と様々なバージョンを持っているそうです。
何度も繰り返し読んでいるので、最近の読み方は「パッと開いて、そのページの内容を読んでいる」とのことです。そして、以下のように紹介してくれました。
この本は日記であって、そもそも発表するつもりでは書かれていない、自分のための日記なので様々な話が出てきます。人間臭い話、神様の話、家族、悩みごと、叱咤激励、夢や目標、宇宙の話だったりもします。
マルクス・アウレリウスはローマ帝国の皇帝であり、つまり、とても偉い人ですが、やはり根本は、同じ人間なのだなと思えるところも良いと思います。この方の思考や行動、全てを真似することはできないものの、とても参考になります。
2000年近く昔の時代の方なのですが、この頃と比較すると、科学はとても進歩していますが、人間そのものは結局変わらないのだなとも感じます。非常に興味深いことだと思います。
次のメンバーは、上記2冊をセットで紹介してくれました。
1冊目は、哲学者たちが残した名言集です。出版社のサイトでは「混沌とした時代を生き抜くための救いとなるような一冊」と紹介されています。
2冊目は少し異色で、「タイムマシンで若い時代の自分に会ったときに伝えたい言葉」を扱った本です。
例えば「人生は一度きりだから安定を手放すな」というのは、40歳で脱サラをして事業に失敗した人の言葉だそうです。
また、「睡眠をおろそかなにするな」というのは、若い頃に睡眠時間を削って働いていた友人が50歳に病気で亡くなったという人の言葉だそうです。
哲学者ではありませんが、各々含蓄のある言葉だと思います。
最後の紹介は『平家物語』です。
お子様が中学3年生で古典を学び始めたのを機会に、改めて手にした本とのことです。
平家物語は作者は不明で、琵琶法師により語り継がれたが、今で言うYoutuber的な存在だったのではないか。
普通の戦記は勝者を描くが、平家物語は敗者を描いている。その点が日本的かもしれない。
そこから派生して、切腹は何故腹を切るのか。死ぬならもっと効率よく(確実に死ねる)首などを切る方が良いのでは?腹に魂があると考えられるからか?
など、話題が拡がりました。
※番外編
参加メンバー全員の紹介が終わった後に番外編として、あるメンバーが自分の著書についても話したいと『平手友梨奈 考』を紹介してくれました。
何故、自分が平手友梨奈さんについての本を書きたいと思ったのか、書かなければならないと思ったのか、この本に対する想いを語ってくれました。
六本木ヒルズライブラリーで2005年から活動しているブックナビクラブの最後の定例会でした。19年間の活動をありがとうございました。参加してくださった皆さん、運営を支えてくださった方々に感謝いたします。どうもありがとうございました。
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子