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ウクライナってどんな国?-ボルシチは“おふくろの味”-
アカデミーヒルズのメンバーズ・コミュニティ(メンバーの自主サークル、略してMC)の1つ、「ヨーロッパ旅行研究会」が企画したイベント「ウクライナの外交官夫人が語る『日本とウクライナ』」を11月25日に開催しました。
お話をしてくださったのは、外交官夫人のラリサさんと娘のアンナさんです。
ラリサさんとアンナさんは、2013年から2018年の夏まで外交官のお父様の赴任で日本で生活をされていました。
帰国後アンナさんは国立のキエフ経済大学に進学をしましたが、現在は埼玉大学教養学部で国際関係を学んでいらっしゃいます。日本語がとてもお上手で、今回のイベントでは、お母様の通訳の役割も担われました。
また、ラリサさんは日本に駐在されたときにウクライナの料理教室を主宰するほどのお料理上手です。
ラリサさんのお料理については、こちらの記事をご覧ください。
イベント当日は、最初にアンナさんからウクライナの歴史や文化などをお話いただきました。
例えば言語について、使われる言語が西側と東側で大きく異なるそうです。西側はウクライナ語が多く、東側はロシア語の割合が大きくなります。また、民族衣装については、西側よりも東側で花柄が目立ってくるなど地域によってロシアの影響の度合いが異なっているようです。
そして、ウクライナに関係する著名人として、俳優のレオナルド・ディカプリオ氏の話になりました。母方の祖母がウクライナ人でディカプリオ氏の1/4はウクライナだそうです。
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(左下)東側の民族衣装の柄には花柄が多い (右下)様々な分野で活躍するウクライナ出身者
次に、ウクライナの主な都市のお話です。
最初に首都のKyivの素敵な街並みを紹介いただきましたが、「before after」としてロシアの侵攻による影響を画像で比べると、やはり大変な状態であることを改めて認識しました。
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その中で、今年の5月にイタリアで開催された第66回ユーロビジョン・ソング・コンテストでウクライナ代表のカルシ・オーケストラの『Stefania』が優勝したことも紹介してくれました。
下記のYouTubeの動画を是非ご覧ください。音楽だけではなく映像も印象的です。
そしてイベントの後半では、ウクライナの食文化について、お母様のラリサさんがお話をしてくれました。
やはり一押しのお料理は「ボルシチ」です。日本ではロシア料理としての認知されていますが、実はウクライナのお料理だそうです。
また、ボルシチの色は「深紅」と思っていましたが、様々な種類のボルシチがあるそうです。ウクライナの人にとってボルシチは「おふくろの味」的な存在で、各家庭のオリジナルなボルシチがあるとのこと。日本における「お雑煮」的存在なのでしょうか??
次に、ウクライナ料理は健康的というお話もありました。
ニンニクをふんだんに使うので栄養価の高いお料理になること、そして主な料理方法は窯焼き(オーブン)のため油の使用料が少なく健康的ですね。昔ながらのお家には「窯」が必ずあるそうです。
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(左下)コンポートを使った飲み物 (右下)クリスマス料理
また、伝統的にはウクライナのクリスマスは1月7日で、そのときには12種類のお料理を準備されるとのことでした。
最後に参加メンバーから、「ウクライナ国内の方々は、どのように情報を入手しているのか? 情報統制的な動きはないのか?」という質問がありました。
「日本の“Line”のようなサービス“viber”を若者は使って連絡を取っているが、国営テレビの“1+1”がメインの情報源になっている。」との回答に加えて、アンナさんは、「私のように海外の大学へ留学している同級生が多い。ロシア侵攻後に留学制度を設けてくれたヨーロッパの国が多かった。留学している学生は、戦争が終わったら、ウクライナに戻り、海外での経験をもとに新しいウクライナを創りたいと考えている。」と話してくれました。
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ラリサさん、アンナさん)
(右):イベント終了後の記念撮影(左からラリサさん、戸田さん、アンナさん)
日本では知ることができないウクライナを知ることができました。
それは、現在のウクライナ国内の状況やウクライナの方々の思いから、ウクライナの歴史や文化まで幅広く知ることができました。
その中で、留学している学生の皆さんが「ウクライナに戻って、留学先の知見を活かして、新しいウクライナをつくりあげたい」という志の高さに感銘を受けました。
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子