読書の素晴らしさ~プレゼントしたくなる本~
2023年度の新しい企画として「編集者の視点〜時代を共に創る~」(6回シリーズ)がスタートしました。シリーズを通じて干場弓子さん(ディスカヴァー・トゥエンティワンの共同創業者)にモデレーターを務めていただき、「編集者の視点」にフォーカスして、本の背景にあるストーリーから仕事のエッセンスを学ぶことを目指しています。
第1回は、ダイヤモンド社の編集者、和田史子さんをゲストにお招きして4月10日(月)に開催しました。
その中で、和田さんは「本の編集にはコンセプトが一番重要。揺るがないコンセプトをいかに創るか」というお話をされました。
当たり前のようで、コンセプトを貫くことは意外に大変です。これは本の編集だけではなく、どんな仕事にも当てはまると思います。
仕事を進める上で様々な障害が発生します。それらを乗り越えて貫くことは容易いことではなく、自分の中にしっかりとした信念(揺るがない信念)が必要です。「揺るがないコンセプト=揺るがない信念」という構図をイメージしました。
また、干場さんの「本を読むということは、時空を超えて著者とone-on-oneで対話していること」という発言がとても印象的でした。読書という行為の新しい意味付けだと思います。
また、干場さんはディスカヴァー・トゥエンティワンの社長時代に、ギフトブックというコンセプトを掲げて装丁などを工夫して「プレゼントしたくなる本」をつくられたそうです。
そこから、イベントの中で干場さんが「本をプレゼントとしたことがある人は?」と質問したところ、会場の殆どの方が手をあげました。
自分が読んで良かった本をプレゼントした方が多かったようですが、「本をプレゼントする」ことは、自分の心を露わにする感じもしますよね。
そんなことを思いつつ、アカデミーヒルズの館内の本棚を眺めて、ギフトブックとして素敵だなと思った本を紹介します。
夜の木
全てがハンドメイドという画期的な絵本です。
手漉き紙にシルクスクリーンで一枚ずつ刷られ、手作業で製本されています。インドのチェンナイ郊外の工房で一冊ずつ丁寧に仕上げられました。シリアル・ナンバー入りで、アカデミーヒルズにある1冊は「3刷の0480 of 1000」です。
あなたのための短歌集
一人ひとりから「お題」を受けて、歌人の木下龍也さんが作歌した100首の短歌から構成された本です。各々の右のページには「お題」があり、左のページにそれを受けて木下さんが作歌した作品が掲載されています。
そして、増刷を記念して詩人の谷川俊太郎さんからの「お題」とそれを受けての一首が表紙になっています。
世界の鳥
博物学者たちが描いた19世紀以前の美しい鳥の博物画が、約100点ほど掲載されています。
実は普通の本ではなく、ユニークな仕掛けがあります。各ページの型抜き加工にそって切り抜くと、世界中の鳥が本の中で飛んでいる感じの美しい博物図鑑に変身します。
(こちらのサイトの動画をみてください。)
ぼくはいったい どこにいるんだ
「いろんなことを地図にしてみると、自分が今いる場所がわかる」というお話です。
「お使いを頼まれたお店の地図」に始まって、「自分の気持ちの地図」、「時間の地図」や「人間関係の地図」などなど。
ヨシタケシンスケさんのワールドが広がっている素敵な絵本です。
大切な人へ、自分のお気に入りの素敵な本をプレゼントしてみてはいかがですか!
最後に、今回のイベントにご登壇いただいた和田史子さんと干場弓子さんのお写真です(シリーズ「編集者の視点」の特設本棚の前で記念撮影)。
アカデミーヒルズ 熊田ふみ子