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「モノ・コト・シクミ・イミ」のデザイン

アカデミーヒルズのメンバーズ・コミュニティ「デザインについての勉強会」の最後の定例会を6月9日に開催しました。
「デザインについての勉強会」は、2008年に「モノ・コト・ヒト・シクミ ラボ」としてスタートをして、2017年に「デザインについての勉強会」に名称を変更しました。

主宰者の鈴木一好さんは、デザインのコンサルティング会社を経営されているデザイナーです。
2008年に立ち上げたときに、私が「モノ・コト・ヒト・シクミ ラボ」とお聞きして「何をするコミュニティなの?」とイメージが沸かなかったので、「名称は『何をするコミュニティなのか』が分かる方が良いのではないか」と相談した記憶があります。
そして、2010年代半ば頃から「デザイン思考」という言葉がメジャーになり始め、“デザイン”という単語がデザイナーやクリエーターなど一部の人だけではなく、ビジネススキルとしても重要な位置づけになったという社会背景もあり、「もっと分かりやすい名称の方が、ライブラリーメンバーも参加しやすくなるのではないか」ということで、名称を「デザインについての勉強会」へ変更しました。

最終回になった今回の定例会のテーマは「総集編:モノ・コト・シクミ・イミで考える」でした。
私はこのテーマを最初に見たときに、「ヒトはどこへ行ったのか?イミはどこから来たんだろうか?」と素朴な疑問が湧きました。

この疑問は、定例会の冒頭の鈴木さんの説明でクリアになりました。
コミュニティを立ち上げた頃は、「デザインには、モノコトヒトシクミという4つ要素があると思っていたが、ヒトが入ることに違和感があった。そこでヒトを中心に置いてイミを加えたら、しっくりした」ということです。

鈴木さんが説明してくださった「モノ・コト・シクミ・イミ」とヒトとの関係図
(©PORSAS design)

そして、「モノのデザイン・コトのデザイン・シクミのデザイン・イミのデザイン」という多角的な視点から物事をとらえることで、新たな発見が広がると、鈴木さんは説明されました。

例えば、スマホを例にすると、

  • モノのデザイン:形状そのものです。持ち易さや重さになります。

  • コトのデザイン:ユーザーがスマホを使ってどのような体験をするか?ということです。動画を観る、メールを送る、ネット検索などが考えられます。

  • シクミのデザイン:スマホ内だけで完結することもあれば、クラウドと繋がるしくみもあります。

  • イミのデザイン:スマホを携帯電話と意味づけるならば、音声情報をやりとりする装置になります。しかし今はそれ以上のイミをスマホは持っています。より多様なコミュニケーションツール、エンタメツール等が考えられます。

スマホを4つの視点からとらえることで発想が拡がります。
ロジカルシンキングが深める思考、縦の考え方ならば、この4つの視点の思考は広げる思考、横の考え方と言えると思います。

モノのデザイン、コトのデザイン、シクミのデザイン、イミのデザインを説明した資料
(©PORSAS design)

2008年の「モノ・コト・ヒト・シクミ」から、時代の変化とともに鈴木さんのデザインの考え方も進化したのだと感じました。
同時に、このコミュニティの名称を「モノ・コト・ヒト・シクミ ラボ」としたかった鈴木さんの想いを改めて感じました。この名称は、正に鈴木さんのデザインの考え方の軸だったのです。

鈴木さんはデザインの考え方を進化させつつ、一方では、大切な考えは継承されています。
その1つが「か・かた・かたち」です。これは建築家の菊竹清訓氏の考え方です。
<か>:本質的な段階であり、思考や原理、構想
<かた>:実体論的段階であり、理解や法則性、技術
<かたち>:現象的段階であり、感覚や形態
認識のプロセス:<かたち>→<かた>→<か>。下図では青い上方向。
実践のプロセス: <か>→<かた>→<かたち>。下図では赤い下方向。

「か・かた・かたち」を説明した資料
(©PORSAS design)

「か・かた・かたち」については、下記の記事で詳しく紹介しています。


最終回ではこのように考え方の本質を紹介しながら、2018年3月の定例会以降で取り上げたテーマについて、毎回の資料を見ながら総ざらいをしてくれました。資料の総数は700ページにも及びました。
鈴木さん、毎回の資料のご準備、ありがとうございました。そして「今後の参考にして欲しい!」ということで、参加したメンバーへ700ページの資料を共有してくれました。

このアカデミーヒルズのnoteを開始した2022年1月以降は、毎回の内容を記事として紹介していますので、こちらも参考にしてください。

今までに開催した定例会の紹介記事

2024年4月「セルフブランディング」

2024年2月「デザイン活用の相談会」

2023年12月「ロゴの作り方をお教えします」

2023年10月「Canva & ChatGPTを使って架空のスタートアップのブランディングデザインを一緒に考えよう!」

2023年8月「ChatGPT活用術」

2023年6月「レイアウトで楽しむ!デザインの魅力と効果を学ぼう」

2023年3月「初めてでも簡単にウェブサイトを作成・公開できる!」

2023年1月「“文字を使うデザイン”のコツの基礎知識」

2022年11月「写真を使うデザインのコツの基礎知識」

2022年9月「インクルーシブデザインの考えを体験するワークショップ」

2022年7月「インクルーシブデザイン」

2022年5月「作戦会議!今年やって行きたいことの作戦会議をしましょう!」

2022年3月「デザインは、どう使う? 誰でも使えるの?」

各回の内容はデザインの考え方の基本が記されており、私たちが課題に取り組むときに、「課題をどのように捉えたら良いのか」の方法のヒントを示してくださっていると思います。
鈴木さん、長い期間、どうもありがとうございました。

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子


#アカデミーヒルズ #メンバーズ・コミュニティ #デザイン思考 #か・かた・かたち #菊竹清訓 #モノ・コト・シクミ・イミ

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