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マネタリーベースの拡大は、必ずしも国民の豊かの向上に直結しない


1.マネタリーベースの拡大は、必ずしも国民の豊かの向上に直結しない

図1.【新NISAで年金問題に打ち勝て】最大必要貯蓄額6000万円?のカラクリ/成長投資枠ではテンバガー株候補の狙え/インフレで最も強い資産が株式投資の理由【MONEY SKILL SET】

これまで、ベーシックインカムや貧困層に対する現金給付等を行い、マネタリーベースが拡大すれば、景気が良くなり、国民が豊かになるとの見識がありました。

実際、第二次安倍政権の頃から、アベノミクスの第二の矢として、"機動的な財政出動"が掲げられており、大胆に財政出動を行い、マネタリーベースを拡大させる事は重視されてきました。

しかし、冒頭の画像でお解りの通り、新型コロナウイルス対策をきっかけに、アメリカやその他OECD加盟国は、2020年4月から約2年間の間、マネタリーベースを大幅に拡大させましたが、貧富の格差は是正されず、全く国民の生活は豊かになりませんでした

それだけではなく、マネタリーベースを大幅に拡大させてしまったことにより、大規模なインフレが起こってしまい、それらの国々に住む貧困層の国民が、経済的により窮地に立たされてしまう事態となっております。(図2)

図2.OECD地域のインフレ率、10.5%に上昇―9月

なので、それらの事から、"ただ闇雲に、マネタリーベースの拡大を行ったとしても、国民の豊かさは向上しない"と結論付ける事が出来るでしょう。


2.マネタリーベースの拡大が国民の生活の豊かを向上に繋がらなかった原因

今回のマネタリーベースの拡大に伴うインフレによって、最も大きなダメージを受けた国は、アメリカでしょう。

そして、アメリカの社会システムと言えば、資本家によりお金が集まる仕組みになっている事から、市場に闇雲に資金が投入されれば、当然、お金持ちがよりお金持ちになるだけで、貧困層は貧しいままになる事は明白です。

なので、国民の豊かさを向上させる(=貧富の格差を是正する)ためには、マネタリーベースの大小に関係なく、貧富の格差が是正されるような"社会システム"を構築する事が最も重要であると考えられる訳です。


3.具体的な改革案

まず、単純に考えれば、富裕層へのお金の流入を抑え、貧困層へのお金の流入が増えるような仕組みが必要な訳です。

政府の視点に置き換えれば、富裕層への財政支出を徹底的に抑え、その分貧困層への財政支出を逆に増やすという事です。

そして、具体的には、過去のnoteでも述べているように、富裕層に属する高齢者への社会保障給付を大幅に抑制し大企業に対する法人税率を引き上げる事によって、その対価として、社会保険料・所得税等の減税を行って、若い世代の資金力に余裕を持たせ、尚且つ、貧困に苦しむ高齢者に対しても現金給付を行う等の方法が考えられます。

仮に、富裕層に属する個人や法人への課税や給付の抑制で、財源が十分捻出出来ないのであれば、消費税の増税も有効な手段となるでしょう。


まとめ.

本記事で最も伝えたい事は、ただ闇雲に、国債を刷ってお金をばら蒔くような事をした所で、貧困層にお金が回ってくるようなシステムが無ければ、何の意味も無く、国民の生活は全く良くならない可能性が高いと言うことです。

実際、アメリカやその他OECD諸国の新型コロナウイルス蔓延開始後から現在までの状況は、それを裏付けるようなものとなっていると言えるでしょう。

ですが、私も、一概に、マネタリーベースの拡大自体が悪いと考えてはおらず、貧困層にお金が回るようなシステムが構築されているならば、マネタリーベースの拡大に伴い、貧富の格差の是正が促進され、国民の豊かさが向上する可能性は大いにあると言えるでしょう。

なので、日本政府は、マネタリーベースの拡大を行うよりも、富裕層へのお金の流れを抑え、貧困層へのお金の流れが増えるような社会システムの構造改革を行い、まずは、マネタリーベースの拡大の土壌を作るべきであると考えられます。


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