高額納税者の意見が、優先的に政治に反映される仕組みを考える
近年、グローバル化や暗号通貨等の科学技術の発達によって、年々高所得者の租税回避が容易になっております。
なので、私は、20年後~30年後の世界においては、やろうと思えば、誰でも脱税出来る時代が来るかもしれないと考えております。
実際、現時点の日本において、2016年にリークされたパナマ文書には、多数の日本人や日本企業が、租税回避を行っていた事が発覚し、更には、海外永住者が年々増加しております。
更に、アメリカにおいては、貧富の格差が一向に改善されず、高所得者や富裕層への有効な課税が行われない状況となっており、実質的に租税回避を行っているものと大差が無いと考える事が出来ます。
また、最近話題の2024年アメリカ大統領選においては、民主党候補のJoe Bidenと、共和党候補のDonald Trumpの公開討論会が実施されましたが、その内容と言えば、国家としてのアメリカの将来性について、赤の他人である日本人が懸念を覚えてしまう程、酷いものでした。
詳細は後述いたしますが、私は、現在のアメリカ大統領選こそ、言わば、"資本家が、国家をコントロールをしようとした結果、生じた歪みである"と考えております。
なので、そういった国際社会情勢がある中、高額納税者も、低額納税者も、同列に扱われてしまう旧時代の制度のままでは、最終的に納税者が居なくなり、国家が存続出来なくなってしまうであろう事は火を見るより明らかです。
更には、アメリカ政治のように、資本家が、直接的・間接的に政治に介入し、民主主義自体が機能しなくなってしまう事も考えられるでしょう。
なので、本noteにおいては、今後の時代においても、国家が満足に運営出来る程の税収を確保するため、国家の防衛策として、"如何に、高額納税者達に、税金を支払う事へのインセンティブを与える事が出来るのか?"について検討し、具体案等を提唱させていただきたいと思います。
1.具体案
①選挙権を複数付与する
まずは、高額納税者に対し、国政や地方レベルの選挙の際、会社の議決権のように、複数の投票権を付与するような案が考えられます。
②法案提出権を認める
次に、国会や地方議会に対し、一定の要件の下、法案提出を行える権利を付与する案が考えられます。
③法案拒否権を認める
②と同様に、国会や地方議会で可決された法案について、一定の要件の下、その可決を覆せるような拒否権を付与する案が考えられます。
④高額納税者集会を開催する
例えば、株主総会のように、高額納税者を集め、政府の関係者が、その意見を聴取する場を設けるという案になります。
2.2024年のアメリカ大統領選から言える事
2024年の大統領選候補者と言えば、片や、"痴呆症なのではないか?"という疑惑を持たれるような81歳の高齢者であり、もう一方は、言い方は悪いですが、常識が無く、"法律や政治について基礎知識は持っているのか?"と思えるような、34個の罪で刑事実刑判決を受けてしまった78歳のビジネスマンです。
大して前提知識をお持ちでない方は、"他にもっとマシな候補者は居ないのか?"と疑問に持たれる事でしょう。
ここで、私が、本記事の冒頭で、"現在のアメリカ大統領選は、資本家が、国家をコントロールをしようとした結果、生じた歪みである"という発言の趣旨の説明いたします。
まず、一般的に、アメリカ大統領選において、正式な候補者として選任されるために、最も必要な物は"資金力"であるとされています。
実際、今回の共和党の候補を決める予備選挙においては、Trump氏以外にも、候補者は存在いたしましたが、Trump氏以外の候補者は、資金力の枯渇を理由に撤退しております。
つまり、この事を簡単に言い表せば、アメリカ大統領選においては、"資本家による大統領候補者のスクリーニングが、事前に行われる"という事です。
何故なら、大統領候補者は、多数の資本家から、資本を集めなければ、選挙活動を行う事も許されないので、大統領選においては、"何人の国民から支持されるか?"よりも、"どれだけ資本家に好かれるか?"が重要視されると言えるからです。
基本的に、アメリカ合衆国は、建国当初から、資本家を尊重する理念を大切にしており、歴史的に見ても、社会主義国家に対し、徹底抗戦を繰り返してきたような資本主義の権化と呼ぶにふさわしい国家です。
なので、民主主義の帰結とも言えないような、大統領選の仕組みであったとしても、正式に受け入れられているのであると思います。
しかし、ここで考えていただきたいのですが、果たして、そういった形で、資本家の意見を、政治に反映させた所で、本当にアメリカ合衆国の利益、あるいは、アメリカ国民の利益となっていると言えるのでしょうか?
私は、個人的に、2024年の大統領選の勝者がどちらであっても、アメリカ合衆国やアメリカ国民にとっては損でしかないのではないかと考えております。
ですので、正式に、高額納税者の意見を、政治に反映させられる仕組みを採用し、"資本家の意見を取り入れた結果、国家や国民全体が得をした"状態を作り出すべきなのではないかと考えております。
3.本記事を執筆した理由
1970年頃から現在に至るまで、グローバル化によって、法人税が殆ど形骸化し、実質的に機能しなくなってしまった事、更には、その後、グローバル企業に対し、各国とも、有効な課税手段を確立出来てない事等から、他の税制についても、同様に、機能不全に陥ってしまう可能性は十分に考えられます。
そして、現在の日本においては、高額納税者とは呼べないような、一般企業のサラリーマンであっても、所得の半分以上を税金(社会保険料を含む)として取られてしまっております。
しかし、そんな状況にある中、今の政治は、高齢者や非課税世帯等、"税金を納めていない人々"に向けて行われている事が大半です。
なので、私は、そういう日本の政治の状況や、アメリカ社会の現状を鑑みて、"果たして、20年~30年後の社会においては、国家は存在しているのか?"、あるいは、"20年~30年後にも、税金は存在しているんだろうか?"と非常に強い危機感を抱いたというのが、本記事を執筆した主な理由となります。
アメリカの建国に関わった四代目アメリカ大統領のジェームズ・マディソンは、「民主主義が実現すれば、資本主義は成り立たない。故に、民主主義は破壊しなければならない。」という趣旨の発言をしており、民主主義が実現してしまえば、資本家の富は全て奪われてしまうという事を懸念しておりました。
なので、資本家にとって都合の悪い政治が行われ続けてしまったりするような懸念が高まれば、それは最終的に、資本家によって、民主主義自体が破壊されてしまう事態となるでしょう。
実際、日本においては、自民党がどんな不祥事を起こしたとしても、自民党一強の状態が続いておりますが、それも、一種の資本家の抵抗なのではないかと考えております。
ですので、野党が政権を奪取する際は、資本家を念頭に置いた政治を行う事も、必須条件になるであろうと考えております。
少なくとも、今の日本においては、大企業や富裕層にとっては、多少の不満はあれど、許容できるような政治が行われていると考えられます。
しかし、今後、高額納税者が納得しないような政治が行われ続けてしまえば、国家は税収を失い、日本国家自体が消失してしまう可能性も考えられます。
ですが、逆に、高額納税者に納得出来るような政治が行われる事が保障されるならば、20年~30年後の世界において、租税回避の技術が発達しても、国家に納税し続けてくれるのではないかと考えております。
確かに、私の案は、現在の日本国憲法のいくつかの規定に違反してしまうであろう事は百も承知です。
しかし、現在の憲法が制定された当時は、ほぼ全ての国家が、膨大な予算を必要とする社会保障事業を行っておりませんでした。
国家が、社会保障を導入する前後の社会においては、税金の観点だけを見ても、導入以前であれば、税金の額も軽微であり、一種の社会貢献として支払えていたものが、導入以後になると、各個人の人生をも左右するような額にまで、課される税金が巨額化しており、大きな隔たりございます。
なので、現在の日本国憲法についても、社会保障導入以後の社会に適合するような内容に、改革すべきであると考えております。
以上の事から、高額納税者の意見を強く政治に反映させる仕組みを設ける事は、合理的であり、最終的には、日本国民全体のためになる事は間違い無いと考えております。
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