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政治に参加する事は、必ず自分自身の利益に繋がる

これまで、政治参加というのは、国民の義務であり、社会貢献の一種として、"公益のため"に行う事という論調が主であったと思います。

ただ、私は、"政治に参加をする事は、公益性を持つ事のみならず、自分自身の利益にもなり得る"と考えております。

なので、本noteにおいては、"政治参加をする事で、一体どのようなメリットが得られるのか?"という点について、私なりの考察を述べさせていただき、それに加え、政治参加を志す全ての国民の指針となるような、シティズンシップに関する理念についても紹介させていただきます。




1.職業選択・起業・投資のための知見が手に入る

まず、2006年頃に発表された経産省による"シティズンシップ教育宣言"と称される声明により、"現代社会における市民の役割はどうあるべきか?"という問いについて、下記の定義が成されました。

成熟した市民社会が形成されていくためには、市民一人ひとりが、社会の一員として、地域や社会での課題を見つけ、その解決やサービス提供に関する企画・検討、決定、実施、評価の過程に関わることによって、急速に変革する社会の中でも、自分を守ると同時に他者との適切な関係を築き、職について豊かな生活を送り、個性を発揮し、自己実現を行い、さらによりよい社会づくりに関わるために必要な能力を身に付けることが大切だと考える。

シティズンシップ教育宣言

つまり、政治に参加するという事の過程において、"地域や社会での課題を見付ける"という事が必須になる訳です。

更に、"地域や社会での課題を見付ける"という能力は、国内外の社会情勢に対し、ある程度の見識を得ていなければ、身に付ける事は出来ないと言えるでしょう。

そして、国内外の社会情勢についての見識を身に付け、尚且つ、地域や社会での課題を見付けるという事が出来るようになれば、"将来、日本社会がどのように変わっていくのか?"について、自らの力で推測出来るようになり、その結果、自身の職業選択・企業・投資等のライフワークにも、良い結果を及ぼすと考えられる訳です。


例えば、政治にある程度見識のある方々にとっては、"今後の日本が、超高齢化社会を迎える"事や"日本においては、消費税増税への反感が多い"事は、常識レベルで頭に入っている事柄であると思います。

ですから、前者で言えば、"今後は、高齢者をターゲットにしたビジネスが上手くいくであろう"と言う事、更には、"今後も、国民負担率は上がり続けるに違いない"という予測が立ち、将来の選択肢に対し、最良の選択を行える可能性が高まる訳です。

また、後者であれば、公的セクターで従事されている方々には恐縮ですが、"社会保障費は今後も増大し、中々増税も実施され難い事から、公的セクターは、今後も割に合わない仕事になっていく可能性が高い"という見通しが立ち、職業選択の判断材料としても役立ちます。

更に、社会の課題やニーズを見つけ、解決策を提示するというのは、政治に限らず、起業やビジネスを行う上でも、必須のスキルでありますので、起業やビジネスを行う場合においても、有用であると言える訳です。


2.合意形成力が身に付く

現代社会において、政治活動を行うにあたっては、基本的には、多数決によって方針やルールが決まる場合が多く、"如何に、他人を説得し、多数派に及ぶ程の味方を作れるか?"という事を考え、実行する能力が必要とされます。

しかし、そういった能力は、社会全体に対する政治活動においてのみならず、学校や職場等の小さいコミュニティにおいても、同様に必要とされる事があります。

例えば、我々は、学校や職場等のローカルなコミュニティ内においても、そのコミュニティに居座り続けるという目的のため、大なり小なり、自分にとって都合の良いルールを作る必要があります。

ですから、政治活動を行うにあたって必要とされる合意形成力は、そういう日常の各場面においても役立つ事もある訳です。


3.社会が良くなれば、必ず自分にもメリットが返ってくる

まず、私が考える最良の社会とは、その社会に属する全ての人々が、善良な心を持ち、無償での助け合いが行えるような社会であると思っております。

逆に、最悪の社会というのは、その社会に属する全ての人々が、心に余裕を持てず、他者と足の引っ張り合いに終始し、自己利益の追求のみを考えるような社会であると思っております。

残念ながら、今の日本社会は、最悪の社会の側に属していると考えられますので、人身事故の多発犯罪の急増ネットでの誹謗中傷というような社会からの悪いアウトプットが、自分自身に跳ね返ってくる場合が多いと言えます。


そして、良い社会を作るために必要な事こそ、全ての国民が、各々主権者意識を持ち、政治に参加する事であると考えております。

何故なら、良い社会と言うのは、各々が不平不満等のありとあらゆる主義主張をぶつけ合い、全ての国民が納得するような妥協点に至った状態であると言えるからです。

なので、今の日本社会に当てはめれば、国家予算の大半が、医療費等の社会保障に割かれている事から、基本的には、豊かな高齢者が得をするような社会構造であると言えますから、現役世代の若者年金に頼って生活するしかない高齢者こそ、政治に参加すべきであり、そういった層の方々がより積極的に政治参加を行う事で、日本社会は良くなっていくと思っております。


4.政治参加を志す全ての人々に共有されるべき理念

2015年に、文部科学省から、高等教育における主権者教育の指針について、下記のような通知が公表されました。

習得した知識を活用し、主体的な選択・判断を行い、他者と協働しながら様々な課題を解決していくという国家・社会の形成者としての資質・能力を生徒に育むことを一層期待し、政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象を扱うことや、実践的な教育活動を積極的に行うことを明確化するとともに、例えば生徒が自分の意見を持ちながら、異なる意見や対立する意見を整理し、議論を交わすことを通して、自分の意見を批判的に検討し、吟味していくことが重要である。

高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知

私は、この指針について、たとえ、どんな主義主張を持っていたとしても、政治参加を志す国民全員が、共通して持つべき理念になり得ると考えております。


現在の日本社会においては、プロの政治家であっても、言いたい事を一方的に主張するだけで、異なる価値観を持った人々とは、議論も行わないという考えを持った方々が、数多く見受けられます。

しかし、そのような指針で活動し続ければ、野党の立場である場合は、絶対に国政にその意見が反映される事は無いでしょうし、また、仮に、政権与党になった場合であっても、反対は一切受け付けないのであれば、国民からの支持が得られる可能性も低いでしょうから、全くもって、無意味な政治活動であると見做されてしまう訳です。

ですから、現実問題、全く主義主張が同一である他人というのは、存在し得ない訳ですので、"他者と協働しながら様々な課題を解決していく"姿勢や、"異なる意見や対立する意見を整理し、議論を交わすことを通して、自分の意見を批判的に検討し、吟味していく"事が、自身の政治活動に実効性を持たせるために必要となる訳です。


まとめ.

私は、これまでの日本において、主権者教育が殆ど行われてこなかった事について、主な原因は、55年体制にあったのではないかと考えております。


55年体制とは何だったのか?

私は、55年体制とは、簡単に言えば、明治維新から続く、中央官僚による独裁体制を、中央官僚と自民党が結託して、戦後においても、維持し続けようとする流れであると思っております。

しかし、日本国民が豊かになってきた事も相まって、各々の国民に主権者意識が芽生えはじめ、小泉内閣の成立以後、段々と"政治主導"への転換が図られてきた訳ですが、その一方で、55年体制の維持というお題目の下、戦後から継続的に、日本国民は、主権者教育や政治参加、あるいは政治そのものから遠ざけられ続けてきた訳です。

なので、最近では、高等教育において、しっかりと主権者教育を受けている日本国民も一部存在するものの、基本的には、政治に関する知識を持たず、政治参加のやり方も解らない国民が大多数であり、そういう状況下で、中途半端に、55年体制からの脱却が図られてしまった事が、長期に渡る政治停滞の原因にもなっているのではないかと考えております。


やはり、中央官僚が全てを決めてしまうような55年体制からの脱却を図るためには、大多数の国民が、主権者意識を持ち、政治に参加する事は必須であると考えております。

戦後から現代まで、日本の社会情勢は、様々な面での変化が起こっており、特に、グローバル化やデジタル化の影響によって、世界情勢が一瞬で変化するようになってしまった事の影響は大きく、様々な要因を考慮しても、今後、再び55年体制が上手く機能するようになる可能性はほぼ考えられず、基本的には、国民主導で国を動かしていかねばならない事が予想されます。

ですから、今後の日本社会においては、子供に対する主権者教育を行う事は当然として、社会人への主権者教育にも、しっかりと予算を投じ、力を入れる必要性があるのではないかと考えております。


以上より、これまでの内容を総括すれば、政治に参加する事は、あらゆる面で、自分自身に恩恵をもたらすと言い切る事は出来ます。

ですが、根本的には、政治参加というのは、"長期投資"の一種であり、短期的な利益が目に見える事は少ないかもしれませんが、社会が良くなる事によって、長期的には、必ず恩恵を受けられるようになると思っております。


しかし、現代においては、グローバル化の恩恵によって、最悪の場合は、日本から脱出するという選択肢も自由に取り得ますので、昔程、万人にとって、政治参加が重要であると言い切れる訳ではありません

なので、各々の国民には、"誰が何と言おうと、選挙にも行かないし、政治参加はしない"という主張を行う自由もある事は事実ですので、"政治参加よりも、自身にとってもっと有益な活動をしたい"という場合は、そうするべきであり、むしろ、その方が社会を良くする場合もある事でしょう。


また、"じゃあ、どの程度まで政治参加を行えば良いのか?"という問いには、答え難いのは事実でありますし、過度に政治に参加してしまえば、日常生活にも支障をきたしてしまうという事も事実であると思います。

ですから、各々が可能な範囲で政治に参加し、その上で、政治参加を自身の利益に還元するという観点を持ち、自身の利益が最大化する限度において、各々政治に参加していただければ良いのではないかと思っております。


参考文献.

・世界に学ぶ 主権者教育の最前線


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