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『非正規労働者の救済策』:アルバイト・パートのための小型社会保険制度創設の提言

まず、今現在、基本的に、アルバイトパート等の非正規労働者の方々は、優良企業に勤務出来ているという事情でも無い限り、国民年金に加入する他ありません。

しかし、過去のnoteでも触れている通り、元来、国民年金というのは、老後になっても、自身の生業を続ける事が出来るような、"自営業者のための年金制度"であり、アルバイトやパートのための社会保険制度ではありません


そして、現状、正社員や契約社員等の社会保険加入者達と比べ、アルバイトやパートの労働者というのは、一切、会社が社会保険料を負担してくれない訳ですから、社会保険料の全額を労働者が負担する羽目になります

なので、一般的に、同等の賃金であった場合、正社員や契約社員等の正規労働者が支払う社会保険料に比べ、アルバイトやパートの労働者が支払う社会保険料の方が高額である場合が多い訳です。


更に、正規労働者と非正規労働者の間では、一生涯に得られる収入に大きな差があります

そして、そういった事情があるにも関わらず、国民年金にしか加入出来ていないため、仮に、満額社会保険料を納めていたとしても、老後に貰えるのは、月7万~8万円と、最低限の生活をも送る事が出来ない程低額である訳です。

ですので、一先ず、正規労働者と非正規労働者の格差を是正するためには、全ての非正規労働者を社会保険に加入させるという事が、最低条件であると言える訳です。


なので、今回は、"全ての労働者を社会保険に加入させる"という目的の下、アルバイトやパートが加入出来るような小型社会保険を導入するという政策を提言し、そのために必要な改革等について、私なりの考えを述べさせていただこうと思います。




1.アルバイトやパートが、国民年金にしか加入出来ないのはおかしい

冒頭でも述べた通り、アルバイトやパートは、国民年金にしか加入出来ない訳ですが、それは、国民年金が、アルバイトやパートのための年金制度であるからではなく、他に加入する年金保険が無いから、仕方が無く国民年金に加入させているというような状況である訳です。

しかし、普通の正社員や契約社員の被用者達が、企業に、社会保険料を折半して払って貰っている事を考えると、アルバイトやパートであるからという理由だけで、企業側が、一円も社会保険料を負担する必要が無いというのは、余りにも不合理であると思っております。

なので、私は、アルバイトやパートであっても、人を雇用する以上、雇用形態に関わらず、企業は、相応の社会保険料を負担すべきであると思っております。


2.社会保険の適用拡大について

最近、106万円の壁の撤廃社会保険加入対象の更なる拡大等の改革が議論が政府内で行われているようですが、私は、全く意味を成さない改革であると思っております。

何故なら、現行の社会保険を維持したまま、アルバイトやパートにまで、対象を拡大出来るならば、そもそも、大半のアルバイトやパートは、既に正社員として雇用されているはずであると思っているからです。


今や、人手不足倒産が相次いでいる中、喉から手が出る程、人手が欲しい企業は山のように存在すると思います。

ですから、本当に企業に余裕があるのであれば、正社員の雇用をもっと増やすでしょうし、少なくとも、自発的に、アルバイトやパートを社会保険に加入させている事でしょう。


つまり、現行の社会保険のままでは、企業の社会保険料負担が重すぎるため、アルバイトやパートの更なる加入は望めないという事です。

ですから、アルバイトやパートであっても、無理なく加入が行えるような、小型社会保険を創設し、企業の支払う社会保険料の負担が、より少なく済む新年金制度を作る必要がある事は間違いないと思っております。


3.必要な改革

①正社員や契約社員の社会保険料を減額する

まず、現行の社会保険制度では、正社員等の正規労働者達は、社会保険料を払い過ぎているのではないかと思う訳です。

そして、その正規労働者達が、社会保険料を支払い過ぎているからこそ、アルバイトやパートに回せる資金が無くなってしまうと言える訳です。

ですから、現行の厚生年金制度についても見直し、将来的に、従来の厚生年金の支給額を減らすという改革も必要であると思っております。


②アルバイトやパートも含む、全従業員数に応じて、消費税を減税する

更に、消費税というのは、社会保険料の代替えとなる税金と言っても過言では無いため、従業員をある程度雇っている企業については、消費税を減免する措置を講じるべきだと思います


③消費税の増税

そして、制度の移行に際し、生じる費用を賄うため、追加の消費増税によって、その費用を賄うべきであると思っております。

また、②の改革を上手く機能させる上で、ベースの消費税を引き上げる事で、従業員を雇えば雇う程、得をするという構造を作る事も出来ると思っております。


4.本改革の副次的なメリット

①現行の国民年金受給者の年金受給額を増やせる

まず、兼ねてから、国民年金の支給額が、低過ぎる事が問題となっております。

しかし、本改革を実施すれば、国の社会保険料収入は増えるはずですので、それを原資に、現在の国民年金受給者への支給額を増やせるのではないかと思っております。


②雇用の流動性が向上する

更に、雇用形態に関わらず、社会保険が完備されているという状況を作れれば、転職者は、間違いなく増えると思っております。

現行の社会制度の下では、事実上、正社員しか、手厚い社会保障は完備されていないという状況であり、その事が、転職希望者の転職を阻んでしまっているのではないかと思っております。

また、企業が、正社員の身分の喪失を引き合いに出す事により、過酷な労働を正社員に課すような労働慣行も緩和され、全体的に、日本の労働環境のホワイト化が進むのではないかとも思っております。


5.ただし、原則、任意加入制にすべき

ただし、各企業の財務状況や各労働者の労働時間に限らず、一律に全ての労働者を社会保険に加入させるような事を実施する事は、現実的ではありませんし、特に、小規模事業者の足を引っ張る形にしかならないでしょう。

そして、仮に実現出来たとしても、失業率が一定程度上昇してしまう懸念があります。


ですから、本案の小型社会保険制度は、原則、任意加入制とし、あくまでも、企業が人材獲得を行う上での優位性を保つための手段の一つとして、活用されるべきであると思います。

ただ、労働時間が週40時間を超えているような労働者については、アルバイトだろうが、パートだろうが、あるいは継続的な業務請負契約者派遣労働者であったとしても、強制加入措置を講じるべきで、企業には、しっかりと社会保険料を支払わせる必要があると思っております。


まとめ.

勿論、今の社会保険制度に納得している正規労働者の方々は一定数居るとは思っておりますが、今の社会保障制度は、労働者のための制度というより、高齢者のための制度にしかなっていない訳で、ただただ、正規労働者達は、高齢者のために高い税金や社会保険料を支払わされているだけと言える状況である訳です。

現に、正規労働者達に課されている税金や社会保険料が高過ぎるからこそ、長時間労働やサービス残業を、正規雇用者達に課さなければ、会社が成り立たない構造が出来上がっている訳です。

ですから、正規労働者達の負担を、アルバイトやパートにも分配すれば、正規労働者達の労働環境も改善されるため、将来の厚生年金支給額が減ってしまうというリスクはあるものの、一概に、正規労働者達にとって、デメリットしかない改革であるとは言い切れない訳です。


最後に成りますが、政治家達が、"アルバイトやパートは、国民年金に加入しておけばいい"とか、"国民年金支給額は、低額のままで良い"と考えてしまっているのは、ただの職務放棄に他ならないと思う訳です。

普通に考えて、老後の収入も持ち得える可能性も薄いようなアルバイトやパートが、満額払ったとしても、将来月7~8万円しか貰えないような年金制度に対し、"社会保険料を支払いたい"と思う訳がありません。

それに加え、現時点で、国民年金支給額が少なすぎて、老体に鞭を打って、アルバイトやパートとして、必死に働き続けている高齢者が数多く存在する中、"貧乏な国民年金受給者は、死ぬまで働けば良い"という考えを持ってしまうのは、一般庶民の感覚を微塵も理解できていないという証拠に他ならないと思います。


ですから、私も含め、一般庶民に属する方々には、そういう一般庶民の感覚が解らない政治家に投票する事を控えていただき、更には、今後とも、ご自身の処遇の改善を求め、積極的に、政治活動にご参加いただきたいと思っております。

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