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社会保障費の増大と緊縮財政が、デフレ不況を招く!!
まず、私が何故そう考えたかと言いますと、"基本的に、高齢者は、デフレ経済である事を望んでいる"と言えるからです。
何故なら、現在、日本の富裕層の大半は、60代以上の高齢者であり、インフレによって、預貯金が目減りしてしまうと困るからです。
それに加え、マクロ経済スライドによって、インフレが起こる事によって、年金支給額が減額されてしまうという悪影響もあります。
なので、本noteにおいては、日本において、如何にして、長期間デフレが続くような不況大国になってしまったのかというメカニズムについて、個人的な考察を述べさせていただきたいと思います。
1.慢性的なデフレが発生したメカニズム
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まず、これまでの30年間の日本の財政政策の在り方というのは、基本的には、現役世代から税金を取り、更には、赤字国債を大量に発行し、その大半を、高齢者の社会保障費に充てるというものでした。
しかし、高齢者というのは、基本的に、散財をせずに、将来不安に備え、貯蓄をする傾向があると思います。
ですから、単純に考えて、お金を散財する傾向がある若い世代から、お金を貯蓄する高齢者世代に、富の移転行われ続けてしまったため、デフレが進行し続けてしまったと言える訳です。
2.今の日本は"イギリス病"に罹っている
まず、古代ローマの衰退を象徴するような有名な標語として、"パンとサーカス"という言葉がございます。
古代ローマ帝国は、"食料(パン)と見世物(サーカス)を国民に与えておけば、古代ローマ市民達は、政治に無関心となり、支配は容易くなる"と考え、過剰な社会保障を提供し続けた事により、怠惰なローマ市民が量産し続けていった訳です。
そして、古代ローマ帝国は、拡大し続ける財政赤字を打開するため、通貨に含まれる銀の含有量を減らし、粗悪な通貨を量産するという"その場しのぎの対策"で解決しようとした結果、最終的には、ハイパーインフレを招き、滅亡してしまったとされております。
次に、1978年に執筆された『英国病の教訓』という本には、次のような記述があります。
栄えた文明というのは、①医療、年金、教育、住宅など公共サービスの量的拡大→②公共財への依存心の増大、自立精神の衰弱→③自由競争原理の後退と自立自助の努力の低下、エゴの拡大→④公共財の一層の拡大→⑤国家財政の膨張、非市場経済部門の肥大化と市場経済部門の縮小、租税負担率の高騰→⑥高度累進所得税、高い法人税、産業国有化→⑦勤労意欲、創意工夫意欲の低下、投資意欲、生産性向上のインセンティブの低下→⑧経済の停滞、生産性の低下→⑨歳出・歳入のアンバランスによる財政破綻→⑩社会的責任感の衰退と社会的統合の崩壊、政局不安定という悪循環に陥る。
そして、今の日本も、上記のような悪循環に陥り、深刻な"イギリス病"に罹っていると断定する事が出来ます。
一般的に、社会保障が手厚いと、弱い立場にある国民や企業は手厚く保護されるため、国民の全体的な労働意欲が減退し、労働生産性や国内投資が低迷し、最終的に経済が低迷すると考えられております。
なので、手厚い社会保障を導入する豊かな国においては、少なからず、"怠け者が得をする社会"というのが、どうしても出来上がってしまう訳です。
また、その傾向が強まっていけば、最終的に、国家は、あらゆる競争原理を否定し、国民生活のあらゆる場面に顔を出し、余計なお節介をし続けるため、前述のような労働意欲の減退等の影響も相まって、財政赤字も一方的に積みあがっていく事になります。
そして、そういう過程を経て、ローマ帝国等、過去に栄えた大国は、段々と衰退していき、最終的には滅びてしまったという訳です。
3.社会保障制度が持つ負の側面
社会保障というのは、"社会的弱者を救済する"という良い側面を持っている訳ですが、それと同時に、"働かない者に対し、お金を配る"という負の側面をも持っている訳です。
つまり、言い換えるならば、社会保障制度というのは、"怠ければ怠ける程、お金が貰える"制度でもあるという事です。
ですから、必然的に、社会保障費を増やせば増やす程、怠け者が増えてしまうという性質がある訳で、一概に、社会保障費を増やしさえすれば、良い国家が作れると言える訳ではないと思います。
なので、何処かで、社会保障費の支出に上限を設けなければ、社会保障の悪い側面に誘発され、怠け者が増え続ける事によって、歳出は際限なく拡大し続けるでしょうし、最終的には、財政赤字の拡大の影響や、怠け者が量産され続ける等の悪影響によって、日本国も、ローマ帝国の後追いをする事になると考えております。
4.もはや、政治家のモラルの問題である
これまでの日本の政治家達と言うのは、自身の政治生命を延命する事を第一目標とし、"デフレが経済に悪影響を及ぼす"という事や、"このままでは、社会保障制度は破綻する"という現実を直視せず、第二次安倍政権を除き、そういった日本の危機に対し、特に対策を講じておりませんでした。
そして、これまでの投票率や人口動体を考えたとしても、高齢者が大きな票田であり続けることには変わりがありません。
なので、政治家達が、その気になれば、このまま、デフレ経済を存続させ、社会保障制度の改革も行なわず、日本を滅亡させる事も可能であると言えます。
ですから、最終的に、そういった問題が解決するのか否かというのは、"政治家達が、自身の利益を土返しにしてでも、国家を守る事が出来るのか?"という政治家達のモラルに掛かっていると言える訳です。
5.現状を維持し続ければ、高齢者にもデメリットがある
ただ、現行の社会制度を維持する事によって、全ての高齢者が得をする訳ではなく、大きく得をするのは、"資産を持っている富裕層"に限られると考えております。
今後、社会保障費の増大が続くという事は、デフレが継続するという事に等しく、そうなれば、国家予算に占める国債費の割合が増加していきます。
そうすると、高齢者の方々であっても、膨らみ続ける国債費を償還するために、益々多額の税金を支払わなければならなくなります。
更に、それに加えて、国債費の膨張による国家予算のひっ迫によって、高齢者への福祉の予算は、益々減っていく事となります。
つまり、財政赤字が拡大する事よって、高い税金や社会保険料だけが取られる一方で、全く、手厚い社会保障・公共サービスが受けられないという状況に至ってしまう訳です。
また、今後も、財政赤字が拡大し、国債費が増大し続けますと、国家予算に占める国債費の割合が、50%~100%まで高まる事も予想されますので、そうなってしまった場合は、預金封鎖や大増税が起こる事は当然として、社会保障の全撤廃のみならず、公務員が全員解雇される等厳しい歳出カットを要するまでに至る可能性もあり、最終的には、正常な社会運営が出来なくなってしまう事が予想されます。
更に、医療・介護制度の改革が実施されない場合、いわゆる寝たきり老人と呼ばれる方々に対する給付額が増加していく事から、高齢者の方々が負担する社会保険料も、年々増加していく事が予想されます。
最後に、デフレ経済の継続、消費税や社会保険料の増税、少子高齢化等による様々な悪影響によって、高齢者の雇用の減少や税収減による高齢者福祉に対する更なる予算の縮小も考えられます。
つまり、高齢者の方々であっても、所謂、"富裕層"に該当しない、一般の高齢者の方々にとっては、この状況が続いてしまう事は、一概に、悪影響しか無いと言う事が出来ます。
まとめ.
今現在の日本においては、自民党が長年に渡って作り上げてきた"地獄の社会保障制度"によって、全ての日本国民が、高い税金や社会保険料に苦しみ、貧しい生活を強いられております。
そもそも、大多数の国民にとって、不本意な形で、高い税金や社会保険料を徴収し、国民の購買力を落とし続けたり、更には、少子高齢化も加速させ、景気や国力までも減退させる一翼を担っているならば、"もはや、社会保障でも何でもない"と評する事が出来、ただの日本滅亡政策に過ぎないと思う訳です。
なので、税金や社会保険料の高さに納得していない国民が大多数である事からも解る通り、現行の社会保障制度というのは、自民党によって、選挙活動の一環として、勝手に作られてきた制度であると見做す事が出来る訳で、全く、国家や国民の事を考えたような制度設計にはなっていないと言えます。
ですから、今後、日本国民に納得いく形の社会保障制度を、日本国民が主体となって、作り直す必要があると思っております。
また、過去30年から現在に至るまでの日本経済を鑑みれば、言わば、"社会保障デフレ"と呼ばれるような状態に陥っていたと考えております。
そして、今後、日本の景気を回復させるために必要な事として、大まかに大別すれば、若者への減税や現金給付と社会保障改革の二つが挙げられると思っております。
その理由と致しまして、まず、若者というのは、他の年代と比べ、基本的に何も考えていない傾向があるため、減税や現金給付によって、収入が増えたら、即座に使うという事を行います。
ですが、50代以上の年配層の方々や企業に至っては、社会保障制度への不安や将来的な内需の低迷という不安要素を意識している事から、いくら減税や現金給付を行ったとしても、困窮している年金生活者の方々を除き、消費や設備投資を、積極的に行う事は無いと思っております。
例えば、1990年代のバブル崩壊後においては、不良債権の問題が浮上した事によって、企業間で、お互いに警戒心を抱いてしまい、経済活動が低迷してしまったという説がございます。
ですから、全世代の国民や企業が、消費や設備投資を積極的に行うようになるためには、社会保障制度への不安や将来的な内需の低迷という不安要素を、しっかりと解消する必要があると思っております。
なので、結論と致しましては、まずは、主に若年層を対象に、徹底的に、減税や現金給付を行い、消費を盛り上げ、インフレ経済を作りだしつつ、社会保障改革を推し進め、少子高齢化等の不安要素を解消し、最終的には、全世代の国民や企業の消費や投資を促すというような方針で、経済政策を実施する事によって、日本の景気は再び活性化するだろうと考えております。
また、2章において、イギリス病について取り上げさせていただきましたが、手厚すぎる社会保障や国家の余計なお節介を繰り返し、国の財政赤字が拡大してしまうという現象は、何も、日本に限った話ではなく、他の先進国でも起こっている事であります。
しかし、日本の政治家達は、他の国の政治家とは異なり、基本的に、"勉強する"という事をやらないので、まさか、自分の国が、ローマ帝国等、歴史上の大国と同じ衰退の道を歩んでいるという事に一切気が付いていないので、これまで、財政赤字を削減するための施策を、何も講じてこなかったのであろうと考えられます。
なので、そういった事を鑑みても、こういった現状が作り出されてしまった事について、最大の責任を負っているのは、"自民党の政治家達"に他ならない訳です。
ですが、日本国民が、政治や経済について、自ら勉強せず、おかしな政治家達を当選させ続けてしまった事も事実である訳ですから、日本国民にも、責任の一端があると言えると思います。
しかし、逆に言えば、一人でも多くの国民が、政治や経済について、多少なりとも、勉強するようになれば、2024年度の衆院選の結果にも現れているように、今からであっても、確実に、政治を良くする事は可能であると思っております。
なので、今後とも、日本の未来や自身の将来の生活に悲観するのではなく、これからの日本政治について、政治家に一任するのではなく、しっかりと御自身の頭で考え、主体的に、政治活動にご参加いただければと思っております。
参考文献.
・英国病の教訓
・日本の経済政策 「失われた30年」をいかに克服するか (中公新書)
・なぜデフレを放置してはいけないか 人手不足経済で甦るアベノミクス (PHP新書)
・なぜ国家は衰亡するのか (PHP新書)
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