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何故日本の投票率は低いのか?:日本からGAFAMが産まれない理由
1.昔から日本の投票率は低かった
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よく、メディアなどでは、"近年の投票率は下がった"等と言われておりますが、今回は戦後直後の投票率に着目します。
現代には、90%~80%台の投票率の高さを誇る海外諸国は、山ほど存在します。
ですから、それを基準にすると、65%~80%の間を推移する戦後の日本の選挙率は決して高いとは言えない訳です。
つまり、"戦後直後から続く、構造的な欠陥が、日本の投票率を下げているのではないか?"と考えられる訳です。
そして、戦前から有り、戦後も続く構造と言えば、官僚制です。
私の過去のnoteでは、幾度となく、官僚制を批判しておりますが、日本の投票率の低さという点においても、悪影響を及ぼしている可能性があるという事です。
おそらく、一般国民の心には官僚制の下では、"誰が政治家でも意味がない"という諦めが、戦後から根付いているのかもしれません。
なので、脱官僚制の改革、すなわち、地方分権を呼び掛けることで、官僚の支配からの解放や住民自治の余地の向上という観点から、日本国民は投票に行く可能性は増えるかもしれないという事です。
2.投票率が高い国は人口自体が少ない
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国際投票率ランキングを見ても、選挙の法整備が特異であるベトナムなどを除き、上位20ヶ国の大半は、人口が1000万人以下か、1000万人台である国がほとんどです。
例えば、ラオスの人口は742.5万人、シンガポールは545.4万人、ルクセンブルクは64.01万人となっております。
結局、人口が少なければ少ないほど、各国民の影響力が増し、政治や政府をコントロール出来るようになるため、投票率は上がると言う事です。
また、何度も申し上げている通り、地方分権改革を行えば、実質的に、日本を1000万人以下の小国に分割した状態に出来るため、疑似的に、1000万人以下の国を作る事が可能です。
つまり、1章から引き続き、地方分権が、投票率を高める要因の一つとなると考えられます。
3.政治教育が足りない
ですが、人口を8320万人も抱え、先進国という枠組みの中で、高い選挙率を誇っている国があります。
それが、世界投票率ランキング50位のドイツです。
ドイツの政治教育
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ドイツは、高いレベルの政治教育が実施されている事が有名です。
1947年当時のドイツでは、国民の間で、"政治は自ら参加し、責任を持つものではなく、政府に任せるもの"という認識があったそうです。
しかし、"各市民には、政治を理解し、批判し、参加する能力を身につけるために政治教育を受ける権利がある"という考えの下、連邦立政治教育センターや州立政治教育センターを開設するなど、終戦直後から、国家を挙げて、政治教育に熱心に取り組んでいるようです。
連邦立政治教育センターや州立政治教育センターでは、成人教育の支援や、政治教育に関する教材や資料の作成と提供を行っているそうです。
また、2005年時点で、連邦立教育センターや州立教育センター以外にも、労働組合や教会等、100以上もの政治教育機関があるそうです。
では、実際に、どんな政治教育が成されているのかという事ですが、本項では、『政治教育コンクール』と『ジュニア選挙』と呼ばれる二つの事例を紹介いたします。
①政治教育コンクール
政治教育コンクールは、州や連邦レベルで、あるテーマ毎に、全学校の一クラスが一体となり、研究成果を発表し合い、どのクラスの研究成果が優れているのかを競い合うというものです。
各テーマとしては、学校でのイジメ問題や資源としての飲料水、障碍者との共生、ナチズムの跡など多岐にわたるとのことです。
そして、優勝したクラスには、海外旅行が贈呈される事が、定例のようです。
その研究成果の作成過程において、各当事者へのインタビューや実地調査と言った、本物政治家さながらの活動を行うようで、実際に政治家のような調査活動を経験させとして、学生に政治を経験させるのが目的だと思われます。
②ジュニア選挙の実施
もう一つ、政治教育に関する有名な行事として、ジュニア選挙と言うものが実施されているようです。
ジュニア選挙の目的は、18歳になってからいきなり選挙に行かせるのではなく、本物の選挙をほぼ完全に再現した子供でも投票できる選挙を、連邦レベルまたは州レベルで実施し、学生達に選挙のやり方を教え、慣れさせるというものです。
投票先には、実現の政党を使い、実現の政治家の討論を見たり、各メディアの実際のニュース等を見て、実際の選挙に合わせて、投票先を決めさせるとの事です。
このジュニア選挙の投票率は、毎回80%以上を記録しているという事です。
以下の図が、ある年のブランデンブルク州で実施されたジュニア選挙の結果となります。
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また、余談ですが、ドイツでは、各州が、教育課程の決定権や教科書を検定する権利を有しているという事です。
この点については、日本と対照的で、現在の日本では、文部科学省という中央政府が、全国の教育課程を決定し、教科書を検定しているので、各地方政府が、その地域毎の教育課程を作成する事ができません。
ですから、ドイツでは、教育に関する地方分権が成されている事も、良質な政治教育が行われている一要因となっていると考えられます。
その一方で、最近の日本の子供は、自力で考え、自分なりの答えを出す力に欠けていると感じます。
ルールメーカーを産み出す教育こそ日本に必要である
現代の日本は、国際社会でのルールメイキング能力が極端に低く、日本から半導体産業が消失してしまった理由も、それが主な要因でしょう。
ルールメーカーと言うのは、ベンチャー企業にとっても、重要な役割を果たします。
既存の法整備を変えるため、海外のベンチャー企業のルールメーカー達は、ロビー活動をしっかり行い、自分達の企業が不当に邪魔をされないようなルールメイキングを怠りません。
例えば、グーグルやフェイスブックが、創業当時からロビー活動に熱心な事は有名で、"グーグルとフェイスブック、18年米ロビー活動費が過去最高に"というニュース記事もございます。
特に、IT業界と言うのは、既得権益の壁や規制の壁を取り払い、新しいルールを作る能力が最も求められる分野でしょう。
結局、日本人のルールメイキング能力が足りなかった事が、日本からGAFAMが産まれない最大の要因となっている訳です。
子供のイジメや自殺問題にも通ずる
政治力というのは、学校内や職場内といった、国や自治体よりも小さいコミュニティで生きていくためにも必要とされます。
結局、イジメや自殺と言うのは、問題が起きた時に、自分はどう動くべきなのか、どう周りを動かすべきなのかが解らないから問題が起こる訳です。
それを学ぶために、学校生活というのは大変有意義である訳ですが、もっと、学校や行政が主体的に、社会の数々の問題を教材とする政治教育を行う事により、どうやって身にかかる紛争を解決するのか?という力を身に着けさせることが、イジメや自殺を減らす事にも繋がるのではないかと考えております。
若者が闇バイトの犠牲になっている現状を変えるためにも
政治教育を行うには、国の基本ルールである憲法や六法を教えなければ、成り立ちません。
現代の子供は、最低限の法律も知らない場合が増えています。
ですから、子供が、犯罪に手を染める事を防ぐという副次的な効果を期待する意味でも、政治教育は役立つという事です。
4.消費税増税が若者を救済するか?
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"ドイツは、何故投票率が高いのか?"と考えた時に、次に思い浮かんだ要因は、税金の高さです。
上図では、各国の消費税の高さランキングが示されておりますが、確かに、スウェーデンやデンマークといった、投票率が高い事で有名な北欧の国も、消費税ランキングの上位に位置しています。
つまり、"消費税の高さが、投票率の高さに繋がり、最終的には、若者達に利益をもたらすような政治が行われているのではないか?"と考えた訳です。
若者の武器としての消費税増税
消費税は、一般的に、富裕層であればある程、損をする税金だと言われております。
特に、企業であれば、個人と比べて、高額の取引を高頻度で行いますから、消費税を納める額は、企業の方が圧倒的に多いはずです。
その次点で、個人の富裕層が、高額な買い物をする訳です。
インターネットを探しても、消費税納付者の内訳を載せている資料が無かったため、予想ではありますが、消費税納付者の大部分の割合を占めるのが企業であり、その次に、富裕層で、最後に小さい割合で、一般消費者という内訳になっているはずです。
つまり、消費税は、企業や高齢者(富裕層)に不利な税金であって、若者は損をしない税金と言える側面もあるという事です。
現在、企業や高齢者(富裕層)に富が片寄っており、企業の内部留保は年々増え続け、2000兆円に達したと言われる高齢者(富裕層)の金融資産も、年々増え続けています。
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ですから、それらの層から、富を回収する手段として、消費税はかなり有効である訳です。
勿論、富裕税のような、富裕層の預金に直接課税をするという手段もありますが、現在存在する税制の中では、消費税が、最も有効な武器と言えるでしょう。
消費税25%にしたら、どうなるか?
例えば、消費税を25%に上げれば、大学の授業料無償化や若者への公共住宅、追加の子育て支援など、若者が得をする支援も沢山行える訳です。
また、氷河期世代等、就職難で苦しむ中高年を救うためにも、税金を財源とする財政出動しか方法はございませんので、そういった方々の層にとっても、消費税増税が味方する可能性は高いです。
ただ、中零細企業は傾く会社も、一部あるでしょうから、そういった弱小企業に対しても、新たな支援は必要となるでしょう。
ですから、以上をまとめると、増税された消費税の税収を使い、10代以下の子供から、20代~30代の若者を重点的に支援し、次に、貧困に苦しむ40代~50代の氷河期世代の救済を行えば、本当の意味での富の再分配が起こり、多少日本経済は成長するだろうという事です。
消費税増税に対する最大の懸念点
ただ、私が懸念しているのは、日本人の政治に関する興味の低さや、住民自治のレベルの低さによって、消費税増税が、逆に、貧困若年層にマイナスに作用するのではないかという事です。
やはり、ドイツやスウェーデン、デンマークというのは、全世代で政治に参加しているという特徴があり、国民全体の政治リテラシーが高いと言えます。
かたや、日本では、高齢者が、一部高い割合で政治に参加しているだけです。
今の現状で、消費税増税が成されれば、政治家や官僚の懐に税金が流れたり、高齢者の社会保障だけが手厚くなったりと、逆に現状よりも悪化してしまう可能性が高い訳です。
ですから、消費税を、若者や貧困層の武器にするためにも、国民の政治リテラシーを高め、積極的な政治参加を行う事が、重税高福祉国家において、社会を上手く回すための必要最低限の条件であるという事です。
5.投票の義務化も考えるべき
結局、今の政治の状況と言うのは、大まかに言えば、議会と官僚の対立構造が全てと言える訳で、議会側の戦力を増やすと言う意味で、投票を義務化する事は、真っ当な議員達にとっては、プラスに働くはずです。
そして、国民負担率の増加や、大増税を行う場合には、さらに住民による自治や政治参加が、国家を存続させる上でも重要になりますから、投票の義務化というのは、大変意義のある改革だと思います。
また、選挙に行く事を妨げるブラック企業などを、過料等を徹底的に課し、潰ていく必要があるため、そういった国家の法益を守る側面もあるはずです。
まとめ.
やはり、日本国民のための政治を実現するために、地方分権やそれを訴える重要性は高いという事です。
そして、子供に対する政治教育は、日本においては、全く行われておらず、それが、イジメや自殺等の社会問題への解決や、ベンチャー企業の創出に繋がる可能性も高い事から、きちんと政治教育を行うことは、日本における喫緊の課題である訳です。
また、国民の政治リテラシーが高まれば、消費税増税が、若者や氷河期世代を救う切り札になり得るという事です。
自民党や立憲民主党に騙されてはいけない
最後に、自民党や立憲民主党というのは、国民や税金への尊重の念を一切持っていない自分勝手な政治家の集まりです。
国民や税金への尊重の念を持っているならば、しっかり身を切る改革を行っているはずです。
例えば、吉村洋文大阪府知事は、本来なら、3000万円を超える退職金報酬を貰えるはずなのに、一円たりとも受け取っておりません。
良い政治と言うのは、国民や税金への尊重の念が、政治家達の根本に無ければ行われません。
特権階級のような給与や手当しかり、全く議論が行われていない国会制度しかり、全て、国民や税金への尊重の念が全く足りていない事に起因しているでしょう。
ですから、そういった国民や国家のために働けない、不誠実な議員達を、徹底的に落としていく事が、今後の日本を良い社会にするためにも、より重要であると言う事です。
参考文献.
・ドイツの政治教育 成熟した民主社会への課題
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