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「今後の日本に求められる改革」社会保障の質を落とさねば、日本は確実に破綻する!!

本noteにおいては、生産労働人口の減少と、それに伴う高齢者人口の増加という観点から、"如何に、社会保障制度の質を落とすべきか?"について、述べさせていただきます。

前回に投稿させていただいた『医療制度改革案 最終版』医療費の問題は、国が医療機関を完全国有化すれば解決するの続編に位置する記事ですので、宜しければ、前回のnoteも、ご覧下さい。


1.生産年齢人口は、確実に減り続ける

我が国が直面する社会・経済課題

まず、2060年までに、高齢者(65歳以上)の数は、1990年の時と比較して、1,997万増え、その一方で、生産年齢人口(15歳~65歳)の数は、4,183万人減ると言われております。

具体的に、推定値を見ると、2065年時点で、生産年齢人口は、約4,529万人であり、高齢者の数は、約3,381万人となっております。

そして、現時点(2024年)の統計値を見ると、生産年齢人口は、約7,397万であり、高齢者の数は、約3,622万であるそうです。

なので、これらの値を単純に比べれば、現時点(2024年)においては、生産年齢人口と高齢者の比率は、現時点では、辛うじて2.0に収まっておりますが、2065年になると、1.33と、約1.0に近い値となってしまいます。

これは、何を意味するかと言うと、労働者一人で、高齢者一人分の医療と年金を、丸々負担する事になるという事です。

今現在、厚生年金の平均支給額は、一ヶ月当たり14.4万円であり、後期高齢者の医療費は、一ヶ月当たり7.6万円(年92.1万円)だそうですから、2065年のサラリーマンは、月22万円の社会保険料を払う必要があるという事になります。

勿論、この算定値には、会社負担分も含まれておりますが、再三申し上げている通り、会社負担分であっても、結局は、従業員が稼いだ利益から、天引きされる事となるので、本来貰えるはずの給与から、月22万円が毎月引かれると考えて問題ございません。


2.2060年になっても、日本人の職があるとは限らない

非正規雇用の活用を30年前に提言したら…「今ほど増えるとは」 労組側「やっぱりこうなった」

そして、年々、正規労働者の数は、横ばいで推移する一方、非正規労働者の数は、急激に増え続けております

労働生産性と言う観点から見れば、正規労働者というのは、多額の社会保険料や税金を納めている事から、労働生産性が高い労働者であると言う事が出来て、同時に、非正規労働者というのは、労働生産性が低い労働者であると言う事ができます。

なので、このまま、2065年に向かって、非正規労働者が増え続ければ、社会保険料の徴収額自体が減り続けてしまうため、社会保障制度に大きな悪影響を及ぼすと言えるでしょう。



ゴールドマンサックスによる世界GDPランキングの将来予測

更に、ゴールドマン・サックスが予想した世界GDPランキングにおいては、日本は、それぞれ、2050年には6位2075年には12位に下落すると予想されております。

なので、相対的に見れば、日本のGDPは、世界に比べて、段々縮小していく事から、その分、日本のパイが減り、日本人の雇用が減っていく事が予想出来るでしょう。


また、そうでなくとも、技術革新によって、"10年後には、49%の日本人が機械にとって代わられる"というような事が言われておりますので、2060年頃においても、今のように職に溢れている状態とは、限らない訳です。


3.社会保障の質を落とすしかない!!

結局、何が言いたいかと申しますと、これ以上、社会保険料や税金を上げて、社会保障の質を維持したり、ましてや、今以上の質にする事は到底不可能であるという事です。

これまで、日本は、国債を発行しまくる事によって作った借金によって、社会保障費に充てておりましたが、2024年時点で、国家予算における国債費の占める割合が、25%に達してしまう等、今後、国債に頼った財政運営は、年々難しくなると言えるでしょう。

ですから、それを考慮すると、現状を維持するだけでも、社会保険料や税金を大幅に引き上げなければならないと、考えられます。

そして、社会保険料や税金を上げ、その分を高齢者に分配してしまえば、若者の可処分所得は減りますから、更に少子化が加速し、若者の海外移住も、更に加速してしまう事でしょう。


4.医療制度の将来像

私は、社会保障制度の中でも、医療制度を、真っ先に改革すべきであると考えております。

具体的に、どういった改革案にするのかについては、以前に投稿したnote「『医療制度改革案 最終版』医療費の問題は、国が医療機関を完全国有化すれば解決する」をご確認ください。


そして、仮に、それが実現した場合、どのような社会になるかと予想を述べますと、

・従来通り保険適用を使い、3割の自己負担率で受診出来るような病院は、公営病院や、政府から許認可を貰った民間病院に限られる

・政府から許認可を貰えなかった民間病院については、自己負担率5割~10割で医療を提供する

と言ったようになると、予想しております。

つまり、公営病院や政府から許認可を貰っている民間病院は、その絶対数が制限される事になりますから、受診までの待ち時間が増えてしまい、"高いお金を払ってでも、すぐに病院に掛かりたい!"と、お金に余裕のある方は、自己負担率の高い病院で受診するという事となるでしょう。

誰を優先的に、自己負担率の低い病院に受診させるかについては、政治の裁量に依りますが、単純に考えれば、上記のような内容となると思います。


5.結局、他国と異なる政策は行い難い

実は、4章で語ったような、医療制度の状況と言うのは、イギリスや北欧の医療制度の現状を述べたものとなります。

イギリスにも、国民皆保険制度があり、今でも、"全国民が、無料で医療を受ける事が出来る"と言われております。

そして、北欧でも、ほぼ無料に近い金額で、医療サービスを受けられるそうです。

つまり、イギリスや北欧においては、国民が、無料で、もしくは、ほぼ無料に近い金額で、医療サービスを受ける事が出来る一方で、"受診待ちの患者が数多く発生し、受診して貰えるのは数ヶ月先"と言った事であったり、"寝たきり状態のお年寄りには一切延命措置を施さない"というように、敢えて、医療の質を落とす事で、その制度を維持しているのです。


そして、日本の話に戻りますが、日本の今の高品質な医療制度というのは、大量の国債を発行し、1200兆円を超えるような借金を作り、それを社会保障に全振りする事によって、作り上げたものであるという事が出来ます。

しかし、様々な要因によって、国債に頼れなくなった今、日本は、イギリスや北欧と、同じ立場に立っていると見做す事が出来、"国民皆保険を前提とするのであれば、イギリスや北欧のように、医療の質を落とすしかない"と言う事が出来ると思います。


まとめ.

やはり、5章でも述べた通り、国民皆保険を維持する選択をした場合は、医療の質を落とす事は、必須であると言えるでしょう。


更に、私は、個人的に、今現在のように、あらゆるものへの投資を捨て、国家の全てを医療制度、社会保障制度に注ぎ込むといった事には、賛同し兼ねますし、そのせいで、日本は、30年間衰退してしまっているとも考えております。

ですから、仮に、財政的にまだ余裕がある場合であっても、医療の質を落とし、教育やインフラ等、他の部門へ予算を流すべきだと考えているという事です。


また、今回は、医療制度に限った話となりますが、年金制度に関しては、今以上の水準であるべきだと考えております。

何故なら、湯水のように税金や社会保険料が使われてしまう現状の医療制度を改革しさえすれば、富裕層や大企業も、更なる課税を受け入れてくれる可能性があるため、そうすれば、お金に余裕が無い高齢者の方々へ支給する年金の額も、自ずと、増やせる事となるでしょう。


最後に、医療制度や社会保障制度の理想像と言うのは、人それぞれだと思いますので、"税金や社会保険料を引き上げてでも、今に近いような制度を維持したい"と言う考えを持つ国民が大多数であるならば、そうあるべきである事は、間違いありません。

ですが、今後の日本が、ハイパーインフレ等、円の価値が下落し続けるような、実質的な財政破綻に至ってしまえば、あらゆる社会保険制度が無くなってしまい、日本人全員が、まともに生活できる状況ではなくなってしまう事も間違いないと思っております。

ですから、そういった事態を避けるためにも、現実的に、医療制度の質を落とす事は、今後、安定した国家財政運営をする上で、必要であると、結論付けさせていただきます。


参考文献.

・給料の上げ方―日本人みんなで豊かになる


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