見出し画像

日本版シンクタンクを活用した地方創生案

私は、常日頃から、"民間から、もっと良い政策が次々に出てくるようになれば、日本の政治はもっと良くなる"と思っております。

かたや、アメリカに目を向けてみれば、"シンクタンク"と呼ばれるような、民間サイドに立った政策集団が多数存在する訳です。

なので、本noteにおいては、"何故、日本においては、シンクタンク等、民間の政策集団が成長しないのか?"という謎を解き明かし、更には、"日本版シンクタンクを活用して、地方創生を行う案"を提言させていただこうと思います。




1.アメリカのシンクタンク

Introduction to Think Tanks

一般的に、シンクタンクとは、政策起業家の集団と定義され、アメリカにおいては、1930年の世界恐慌やリーマンショック等、歴史の転換点において、既存の政治に対する不満を解消するため、代案を提示する集団として、次々に誕生してきました。

ですから、基本的には、民間の立場から、政策を作って、政府に助言をするという組織である訳です。

実際、日本で実施される政策の大半が、官僚達が作成しているような政府サイドから上がってくる案であるのに対し、アメリカで実施される政策の大半は、シンクタンク等が考えたような民間サイドから上がってくる案が元になっているとされております。


それに加え、私の過去のnoteにおいて、度々言及しておりますが、アメリカの行政府というのは、大統領が変わる度に、数千人規模の上級官僚が一斉に入れ替わるような政治任用制を採用しておりますから、民間サイドから、政府の人材を調達してくる必要がある訳です。

そして、アメリカのシンクタンクは、政府の人材庫としての側面も持っており、政権交代が起こる度に、政府への人材の提供を行っております。


2.何故、日本においては、アメリカのようなシンクタンクが出てこないのか?

まず、単刀直入に、その大きな要因を述べるとすれば、"政治任用制が日本においては導入されていないから"であると考えております。

やはり、民間が政策を考えると言っても、官僚達のように国家から給与が支払われる訳ではありませんから、それなりのキャリアや学歴がある有識者達が、ボランティア活動の一環として、質の高い政策を考えるというのは、現実的ではありません。


一方、政治任用制を採用するアメリカにおいては、良い政策を考えて、時の権力者に助言し、それが気に入られた場合は、政府内部の職員として採用され、働く事が出来ます

なので、政治任用制は、そういった民間サイドの有識者達が、政策立案をするためのインセンティブとして機能している訳です。


3.シンクタンクを活用した地方分権型の地方創生案

私は、兼ねてから、地方創生を行うためには、地方政府が主導となって、政策や事業を推進する必要があると述べております。

また、地方分権を更に進める場合は、必然的に、政府の人材を増やす必要がある事は間違いないでしょう。

そして、その人材の供給源を考えた場合、当然中央省庁の官僚が、筆頭候補に挙げられる訳ですが、私は個人的に、上級役職に限り、政治任用制を採用し、官僚OB大学教授シンクタンク等、民間の人材をもっと活用すべきなのではないかと思っております。


やはり、地方分権を成功させるための鍵としては、その地域に新たに移動しようと考えるような企業や富裕層等の資本家達、あるいは、その地域に元々活動拠点を置いている資本家達の意向が強く反映され、そういった人々が活動しやすい街作りが出来るか否かという点にあると思える訳です。

ですから、そういった民間サイドの需要を強く政策に反映させるためには、地方政府に、政治任用制を導入し、民間サイドの人材を入れるという事が、最も効果的であると考えております。


4.今後の日本政治の展望

まず、日本政治が停滞している事の主な要因として、中央官僚組織の衰退が挙げられる訳です。

過去30年に渡り、政治主導で、官僚組織の改革を繰り返した結果、天下りの撲滅等の良い面があった事も事実ですが、官公庁の予算不足人材不足過酷な労働環境等、様々な要因から、もはや、官僚組織からは、日本の政治を覆すような活気的な案は上がってくる事は起こり得ず、現状維持を図るだけで精一杯の組織になってしまったと分析しております。

ですから、必然的に、今後、日本を改革するような政治を実現する場合には、その基となる政策は、民間サイドが作るしかないと言える訳です。


ですが、現状、日本でシンクタンクが誕生するためには、政治任用制を導入する必要がありますし、実際に導入した後、日本版のシンクタンクが組織されるまでは、一定の年月を必要とする事は間違いないでしょう。

ですから、今から執れる現実的な手段として、有志の大学教授や有識者達が結集し、政策集団として、政策を生み出すような体制を構築する必要があると考えております。


今現在の日本の大学教授や研究者達間においては、政策を作って、それを提示する程、政治に率先して参加するような風潮が殆どありません。

ですが、各大学が予算不足に悩まされる中、大学教授や研究者達の社会的な影響力の向上を図るためには、もっと前進的な政治参加が求められるのではないでしょうか。

仮に、大学教授や研究者達が組織するような、言わば、シンクタンクに分類されるような組織が、政策を提言し、それが実行され、現実的に日本社会に恩恵をもたらした場合は、民意によって、そういった方々の評判が上がり、影響力が拡大するであろう事は間違いないと思っております。


まとめ.

かくいう私自身も、定義上で考えれば、小規模シンクタンクに分類されるのではないかと自負しております。

ですから、私のように、簡易的にでも、民間の個人という立場から、政策を考えて、立案するような人々が増えていけば、日本社会の政治への見識が高まり、結果的に日本政治が良くなるのではないかと思っており、日々そういう風潮が作られる事を願い、私自身も活動を続けております。


また、本記事を執筆しようと思った主な切っ掛けとしては、"今後、政府の職員の人材の不足をどう補うか?"という事に対し、疑問と危惧を抱いた事が挙げられます。


やはり、中央省庁であれば、予算の観点だけで言えば、今後も人材は集まり続けるとは思いますが、地方政府については、従来通りの行政を行い続けたとしても、人員が不足してくるのではないかと予想しております。

更に、地方創生地方分権等、地方の再起を図るような政策を実施する場合は、確実に追加人員が必要となる事が予想されます。

ですから、慢性的に予算不足に悩まされる地方の状況を鑑みた中で、現実的に、良質な人材を集めるためには、どうすれば良いのか?という事を考える必要がある訳です。

そして、その為の施策として、本記事においては、"部分的な政治任用制の導入"を掲げております。


実際、アメリカにおいても、政治任用制で採用された職員というのは、高い給与が目当てと言うより、"履歴書に書けるようなキャリアを積める"という利点を求めて、政府の政権運営に参加すると言われております。

ですから、予算の支出を抑えつつ、優秀な人材を集めるための手段として、政治任用制は有効であり、消滅仕掛かっているような、予算に余裕が無い地方政府においては、実験的に導入しても良いのではないかと考えております。


参考文献.

・シンクタンクとは何か 政策起業力の時代 (中公新書)


いいなと思ったら応援しよう!

Academic Agent
この度は、記事を最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。 Amazon Kindleにて、勉強法などの電子書籍を販売中です。 詳細は、下記公式サイトをご覧ください。 公式Webサイト:https://www.academicagent.net